「小言幸兵衛」の版間の差分
削除された内容 追加された内容
m編集の要約なし |
|||
6行目:
== あらすじ ==
麻布
その日も、豆腐屋だという男が店を借りに来た。
25 ⟶ 23行目:
=== 仕立屋 ===
次に来たのは仕立屋。物腰も低く、身持ちも堅そうで申し分ないと見えたが、二十歳になるせがれがいるという話で、にわかに雲行きが怪しくな
「ほほう、どんな面構えだね」
31 ⟶ 29行目:
「へぇ……お恥ずかしながら、町内の人には『鳶が鷹を生んだ』と言われております」
「
「'''六三郎'''<ref>時間の都合で、息子の名前を『鷲塚与太左右衛門(わしづか よたざえもん)』にして切る演者が多い。</ref>と申します」
「六三郎!? ……まずいなぁ。『おその六三』とか『かしく六三』とか、女と心中しそうな名前だ……そうですか? ソウデスカじゃないよ。いいかい、おまえさんが入りたいって空き店のドまん前が古着屋だ。そこの一人娘がお園という名前。今年十九で、麻布小町と評判の器量良しだ。年回りもいいし、何せ仕立て屋と古着屋は相性がいい」
「左様でございますか。で、お店は……」
49 ⟶ 42行目:
=== 家主芝居 ===
「おまえのせがれは図々しい野郎だからすぐお園に目をつけて、古着屋夫婦の留守に上がり込んで、いつしかいい仲になる。女は受け身だ、たちまち腹がポンポコリンのボテレンになる。涙ながらに白状するが、あそこの
「困ります。ウチも一人息子でして」
「いかん、駄目じゃあないか。親の板挟みにあって、『極楽の蓮の台で添いましょう』なんて
ここで幸兵衛、突然身を乗り出し芝居がかりになった――
「『おその六三』と言やぁ、舞台は[[深川 (江東区)|深川]]は[[洲崎 (東京都)|洲崎]]の堤、だな。幕が開くと、向こうは一面の土手。幕開きは、長屋の連中が「迷子やーい」なんていう呼び声だ。最初に大家が出てきて、後から長屋の衆がゾロゾロ……舞台中央に来ると、大家が何か拾う
やけに詳しい。幸兵衛、実は芝居好きと見える。
「長屋の連中が遠ざかる
'''『七つの鐘を六つ聞いて、残る一つは来世の土産。覚悟はよいか』'''
69 ⟶ 60行目:
'''『うれしゅうござんす』'''
'''『[[南無阿弥陀仏]]』'''
あっけにとられつつ仕立屋「[[法華宗|法華]]です」<ref>[[落語立川流]]では、仕立て屋の宗旨を「[[天理教]]」とする場合がある。</ref>。
「ホッケ! 駄目だ、[[題目]]じゃサマにならん! 心中の道行きと来たらな、芝居じゃナムアミダブツと決まってる! おまえ宗旨を変えろ!」
無茶苦茶の極致に、仕立屋、もはや言葉を失う。▼
「とにかくお前が越してくるとこんな騒動になるから店は貸せない。とっとと帰っとくれっ!」▼
=== サゲ ===
84 ⟶ 77行目:
「やい、家主の幸兵衛ってのはてめえか。あのうすぎたねえ家を借りるからそう思え。店賃なんぞ高えことォ抜かしゃがると……」
幸兵衛も「いや、乱暴な人だな」とけげん
「鉄砲鍛冶だ」
98 ⟶ 89行目:
=== 内容 ===
「仏壇の先妻の位牌が毎日後ろ向きになっているので、後妻が、亡霊に祟られているのではないかと気にして病気になり、死ん
あとでその原因が、隣家の搗米屋が夜明けにドンドンと米をつくためだと判明。精白されていない米を、力を込めて杵で搗きつぶすので、
「同業のてめえも仇の片割れだ。覚悟しゃあがれ!」
幸兵衛に因果話で脅かされて、搗米屋はほうほうの体で逃げ出
== 江戸の家主 ==
家主の立場は、普通は地主に雇われた「管理人」に過ぎない
一方で家主は、万一の場合、店子との連帯責任を負わされることが決まりとなっていた。そのため、店子の選択に注意を払うのは当然のことであった(幸兵衛の猜疑心はもはや常軌を逸しているが)。
また、トラブルを避けるために町内の職業分布にも気を配る必要があり、相応にストレスがたまる
== 派生 ==
|