「ユダの窓」の版間の差分

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そして、その日の午後6時10分、約束の時間より少し遅れてヒューム家を訪ねたジェームズは、エイヴォリーの待つ書斎に通された。そこは天井の高い事務室風の部屋で、二つ並んだ窓にはスティール製のシャッターが付けられており、正面の壁には[[アーチェリー]]の矢が3本、三角形に組み合わされて飾られていた。その矢はアーチェリーが趣味のエイヴォリーが、「森の狩人クラブ」の大会で最初に金的を射た際の賞品であった。ジェームズがエイヴォリーに勧められてウィスキーソーダを飲んだところ、たちまち意識を失い、薄れゆく意識の中で「ウィスキーに何か入っていた」という認識だけが頭の中をかけ巡っていた。
 
しばらくして気がついたジェームズが時計を見ると6時30分だった。そして、床にはエイヴォリーが胸に深々と矢を突き刺されて死んでいた。3枚の矢羽根のうち中央の1枚は半分ちぎれており、正面の壁の矢が2本になっていた。[[オーク]]材の重く頑丈なドアには内側から差し錠が掛かっており、窓は二つともスティール製のシャッターが閉まっており、さらに内側から差し錠が掛かっており、外部からの侵入を阻んでいた。そして、ほかには出入り口はなかった。ドアを叩く音にやむなくジェームズはドアを開け、[[執事]]のダイアーとエイヴォリーの秘書のアメリア・ジョーダン、隣家に住むランドルフ・フレミングが部屋に入ってきて事件の発覚するところとなった。
 
ジェームズは、ウィスキーソーダに混ぜられた薬を飲まされ、その後は何も知らないと主張したが、部屋の中のウィスキーのデカンターとソーダ水のサイフォン、4つの[[タンブラーグラス]] には薬を入れられた形跡はなく、ジェームズの身体からも薬の徴候は見つからなかった。また、ジェームズが着ていたコートのポケットにはアンズウェル大尉の[[拳銃|ピストル]]が入っていた。さらにエイヴォリーの胸に刺さった矢からはジェームズの指紋だけが検出された。