「用法基盤モデル」の版間の差分

削除された内容 追加された内容
編集の要約なし
編集の要約なし
1行目:
'''用法基盤モデル'''、または、'''使用依拠モデル'''(ようほうきばんもでる・しよういきょもでる、{{lang-en-short|Usage-Based Model}})は、[[認知言語学]]・[[認知文法]]の用語で、言語の構造を、実際の言語使用によって形作られるものとして説明するモデルである。この用語は初めに[[ロナルド・ラネカー]]によって提唱された。認知言語学では、言語を閉じた規則と[[レキシコン]]の体系として規定していくのではなく、実際の言語使用の定着度、慣用度という観点から言語の体系を記述していく。この用法基盤モデルのアプローチでは、認知主体が言語使用をすることで、認知主体の言語活動、言語の体系にどのような影響が見受けられるか、というボトムアップ的アプローチを重視する。
 
このアプローチの特徴のひとつに、いわゆる「[[普遍文法]]」の仮説に含まれるうちの、言語についての特別の生得的な能力があるものとする立場を取らないことが挙げられる。たとえばBybeeの一連の研究に見られるように、普遍文法仮説では能力 (competence)であるとしていわば「天与」として扱われてきたものを、使用(performance)の面から記述・説明する。具体例としては、[[英語]]の過去形における規則活用と不規則活用において、トークン頻度の高い[[動詞]]においては、不規則活用がそのまま残り、トークン頻度が低い動詞においては、-edに置き換わるという事例が挙げられる<ref>Bybee 1985: 119-120.</ref>。実際に発話中にどのくらいの頻度で、ある形式が産出されるか、という言語使用の側面が、言語システムそのものに影響を及ぼすということが、特にBybeeの一連の研究によって示されてきている。