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=== ドイツ側の反応 ===
当初、ドイツ海軍最高司令部がU-570の状況について知り得たことは、艦が敵航空機からの攻撃を受け潜水不能という無電から通信内容が全てであり、後に英国側の報道で鹵獲されたことをようやく知った。ドイツ側は自軍の通信の安全性を憂慮して、海軍通信部門(Marinenachrichtendienst, MND)の長であるエリックアハルトマーエルテンス(Eric(Erhard Maertens)中将にこの件についての報告を命じた。マーエルテンスは以下のように結論付けた。考えうる最悪のシナリオ - 英国側が''U-570''の暗号表を確保し、ラームロウが秘密の暗号鍵を白状してしまう場合 - は、部隊に新しいエニグマ暗号機が行き渡る11月までは通信の機密確保は危ういであろう。しかし、マーエルテンスはこの最悪の想定はありそうもなく、U-570の乗組員はおそらくほぼ全ての機密資料を破棄したであろうと確信していた。もし破棄していなかったとしても艦長の記憶の中にある更なる安全策である秘密の暗号鍵が英国側の暗号解読班に打ち勝つであろうと信じていた<ref name="Enigmabattle163">Sebag-Montefiore page 163</ref>。
 
実際、[[ブレッチリー・パーク]]の英国側の暗号解読班は、暗号鍵を使用した更なる安全策を見つけ出し、簡単に「厄介値」("nuisance value")と呼んでいた<ref name="Enigmabattle164">Sebag-Montefiore page 164</ref>。U-570の乗組員は実際に搭載していたエニグマ暗号機と暗号表を破棄していたが、ドイツ側はそれ以前にU-110に搭載されていた機密資料を英海軍が入手済みであることを知らなかった。これにより英国は1941年6月以来、ドイツ海軍の暗号を解読し続けていた。英国の暗号解読は大きな妨げを受けることなく[[1942年]]2月まで続いたが、この時期に新しいドイツ海軍のエニグマ暗号機が導入されると10カ月間も暗号を解読できない期間 - いわゆる「シャーク・ブラックアウト」("Shark Blackout") - が発生した。