「塩化銀(I)」の版間の差分

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== 製法 ==
[[銀]]と[[塩素]]の直接反応のほか、銀イオンと塩化物イオンの反応によって生成する。この沈殿反応は塩化物イオンあるいは銀イオンの[[定性分析]]、あるいは[[定量分析]]に利用される。
: <cechem>2Ag\ + Cl2 -> 2AgCl</cechem>
: <cechem>Ag^+(aq)\ + Cl^-(aq) -> AgCl</cechem>
 
== 性質 ==
水溶液中ではほとんど電離せず弱電解質<ref name=Cotton> F.A. コットン, G. ウィルキンソン著, 中原 勝儼訳 『コットン・ウィルキンソン無機化学』 培風館、1987年</ref>・難溶性であるため、沈殿する。塩化物イオンの銀(I)イオンに対する錯生成定数は 10<sup>3.04</sup> である<ref name=binran>日本化学会編 『化学便覧 基礎編 改訂4版』 丸善、1993年</ref>。[[溶解度積]]は以下の通りである<ref name=kisobunseki>新良宏一、庄野利之 益田勲 共訳 『基礎分析化学』 三共出版、1982年</ref>。
: <cechem>AgCl\ \rightleftarrows\ Ag^+(aq)\ + Cl^-(aq)\ ,</cechem><math>K \rm{sp} = 1.6 \times 10^{-10}</math>
 
[[配位子]]となるイオンや分子が存在すれば溶解する。[[チオ硫酸]]イオン、[[シアン化物]]イオン、[[アンモニア]]によってそれぞれ
: <cechem>{AgCl} + 2S2O3^{2-}\ \rightleftarrows\ [Ag(S2O3)2]^{3-}\ + Cl^-</cechem>
<cechem>{AgCl} + 2CN^-\ \rightleftarrows\ [Ag(CN)2]^-\ + Cl^-</cechem>
: <cechem>{AgCl} + 2NH3\ \rightleftarrows\ [Ag(NH3)2]^+\ + Cl^-</cechem>
となって溶解することは広く知られているが、濃[[食塩]]水や[[塩酸]]にも[[錯イオン]]を作って溶解する。
: <cechem>{AgCl} + Cl^-\ \rightleftarrows\ [AgCl2]^-</cechem>
また、濃厚な[[硝酸銀(I)]]あるいは[[過塩素酸銀(I)]]などの銀塩水溶液に対しても幾分溶解度が増大し、以下のような錯イオンを生成することが知られている<ref name=Cotton />。
: <cechem>{AgCl} + Ag^+\ \rightleftarrows\ [Ag2Cl]^+</cechem>
: <cechem>{[Ag2Cl]^+} + Ag^+\ \rightleftarrows\ [Ag3Cl]^{2+}</cechem>
 
感光性があり光によって容易に分解し、紫色を経て黒変する。