「シアン化カリウム」の版間の差分
削除された内容 追加された内容
m Botによる: ce要素をchem要素に置換 |
編集の要約なし |
||
71行目:
== 毒性 ==
{{詳細記事|シアン化物中毒}}
人体に有害な[[毒|毒物]]で、経口致死量は成人の場合
[[胃酸]]により生じた[[シアン化水素]]が呼吸によって[[肺]]から血液中に入り、重要臓器を細胞内低酸素により[[壊死]]させることで個体死に至るとされる。
{{要出典範囲|また、[[皮膚]]から吸収することによっても中毒を起こす。さらには細菌以上の動物[[ミトコンドリア]]の[[シトクロムcオキシダーゼ|シトクロム酸化酵素]] (COX) [[複合体]]と結合・封鎖し、[[電子伝達系]]を阻害することで[[アデノシン三リン酸|ATP]]生産量を低下させ細胞死を引き起こすとされる。この点で植物ミトコンドリアはシアン耐性経路であるAOX酵素 (alternative oxidase) を備えるため[[耐性]]を持つ|date=2020年5月}}。
{{要出典範囲|[[水生生物]]への毒性が非常に強く、水質の[[環境基準]]では検出されないこと(定量限界0.1mg/L未満)、一律[[排水基準]]では1mg/Lとされている。分析法としてはJIS
== 治療法 ==
塩類の摂取による[[中毒]]は、[[シアン化水素]][[気体|ガス]]の吸入によるものに対し進行が遅く、救命できる可能性が高い。ただし、マウストゥマウスの人工呼吸は厳禁である<ref name="jireitai">{{Cite web|title=生物・化学戦(BC)の対処法(化学) - 血液剤(シアン化合物) {{!}} 緊急災害医療支援学 - Disaster Medical Logistics Support Research - {{!}}|url=http://www.group-midori.co.jp/logistic/bc/chemistry/blood_agents.php|website=www.group-midori.co.jp|accessdate=2020-05-10}}</ref>。
拮抗剤としては、亜硝酸アミル、亜硝酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム(米国ではこれらのキット)があるが、国内では亜硝酸ナトリウムの製品はなく、院内調製となる<ref name="nihon"></ref>。亜硝酸はメトヘモグロビンを形成させ、これにCNを結合させることにより、cytochrome oxidaseへの結合と競合させ、チオ硫酸はCNと結合して尿中に排泄可能なチオシアン酸を形成させることにより、CNの排泄を促進させる<ref name="nihon"></ref>。
[[シアン化物#シアン化合物の解毒剤]]も参照のこと。
== 廃棄処理 ==
100 ⟶ 102行目:
== その他 ==
摂取して胃酸と反応すると[[アーモンド]]または[[オレンジ]]臭、[[アンズ]]臭、[[梅]]臭を発するという。ここでいうアーモンド臭とは、収穫前のアーモンドの臭いであ
青酸カリによる中毒死体の特徴として、鮮紅色の死斑が見られるほか、主な病変として流動血、肝腎細胞の混濁腫脹、漿膜下の出血斑、粘膜下の充血や出血、肺肝脾腎のうっ血といった共通病変が見られる<ref>{{Cite journal|和書|date=1958|title= 急性青酸カリ中毒屍剖検例|url=https://www.jstage.jst.go.jp/article/kds/12/1/12_KJ00003927573/_article/-char/ja/|journal=九州歯科学会雑誌 |volume=12|issue=1|pages=85–88|author=高野義臣,浦郷篤史,金子義郎|doi=10.2504/kds.12.85|issn=0368-6833}}</ref>。
前述の通り、青酸カリは昆虫標本の作製などに用いられ、薬局や文房具店で比較的容易に入手できたため、その威力が分かると青酸カリ自殺が流行した<ref>{{Cite journal|和書|author=槌田満文|date=1989|title=青酸カリ事件の思い出|url=http://id.nii.ac.jp/1351/00005266/|journal=文藝論叢|volume=25|pages=28-29|publisher=文教大学女子短期大学部文芸科|ref=harv}}</ref>。昭和11年1月10日付けの読売新聞には「昨年十一月浅草の校長毒殺事件が起って以来といふもの猫も杓子も『自殺は青酸加里……』といふことに相場がきまってしまった」と書かれたという。
▲摂取して胃酸と反応すると[[アーモンド]]または[[オレンジ]]臭、[[アンズ]]臭、[[梅]]臭を発するという。ここでいうアーモンド臭とは、収穫前のアーモンドの臭いであり、[[菓子|製菓]]に用いるアーモンド[[エッセンス]]の甘い香りとは異なる甘酸っぱい香りである。
== 法規制 ==
シアン化カリウムは様々な法規制下に置かれている。
[[毒物及び劇物指定令]]で無機シアン化合物として[[日本の毒物一覧|毒物]]に指定されており、[[毒物及び劇物取締法]]に基づいた購入時の身元確認や販売記録の保管、鍵がかかる倉庫などでの保管や在庫量の記録が求められている<ref>{{Cite web|title=青酸カリ脅迫 管理厳重、入手元は?|url=https://www.nikkei.com/article/DGXMZO41945710R00C19A3CC0000/|website=日本経済新聞 電子版|accessdate=2020-05-10|language=ja}}</ref>。しかし、ずさんな管理による紛失流出が相次いでおり、[[2006年]](平成18年)には東京大学の研究室で3000人分の致死量に相当する青酸カリ500グラム入りのビンが紛失した<ref>{{Cite web|title=青酸カリ脅迫 入手ルート、流出品悪用の可能性|url=https://www.sankeibiz.jp/compliance/news/190219/cpd1902191208005-n1.htm|website=SankeiBiz(サンケイビズ)|date=2019-02-19|accessdate=2020-05-10|language=ja-JP}}</ref>。
その他、[[船舶安全法]]、[[航空法]]、[[海洋汚染防止法]]、[[大気汚染防止法]]、[[水質汚濁防止法]]、[[土壌汚染対策法]]、[[化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律]]、[[特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律]]、[[労働安全衛生法]]などの法規制がある<ref>{{Cite web|url=https://www.nite.go.jp/chem/chrip/chrip_search/cmpInfDsp?cid=C004-721-22A&bcPtn=5&shMd=0&txNumSh=MTUxLTUwLTg=<NumTp=1<NumMh=0&txNmSh=<NmTp=<NmMh=1&txNmSh1=<NmTp1=&txNmSh2=<NmTp2=&txNmSh3=<NmTp3=&txMlSh=<MlMh=0<ScDp=<PgCtSt=100&rbDp=0&txScSML=&txScSML2=<ScTp=1&txUpScFl=null&hdUpScPh=&hdUpHash=&rbScMh=1&txScNyMh=&txMlWtSt=&txMlWtEd=&err=|title=NITE 化学物質総合情報提供システム(NITE-CHRIP)シアン化カリウム|publisher=NITE-CHRIP|accessdate=2020-05-10}}</ref>。
== 脚注 ==
|