「土壌微生物」の版間の差分

土壌微生物とは、土壌中に生息する微生物の総称である。内容的には、[[細菌]]、[[放線菌]]、[[糸状菌]]、[[藻類]]、[[原生動物]]<ref name=":0">{{Cite journal|author=木村眞人|year=1991|title=土壌中の微生物とその働き (その1)|journal=農業土木学会誌|volume=59|issue=4|page=|pages=415-420|DOI=10.11408/jjsidre1965.59.4_415}}</ref>、[[線虫]]<ref>{{Cite journal|author=豊田剛己|month=2|year=2017|title=土壌病原性微生物と土壌非病原性微生物の土壌中での生息場所について|url=https://www.nippon-soda.co.jp/nougyo/pdf/no198/198_036.pdf|journal=農業新時代|volume=198|page=36|pages=|ISSN=0029-5426}}</ref>などが含まれる。土壌中に極めて多数が生息するだけでなく、[[土壌]]その物を構成する要素とも考えられる。

一般的には、生物遺体を分解し、自然界における物質循環に重要な役割を果たしていると言われる<ref name=":0" />。いわゆる[[分解者]]としての役割を果たしている。農業面においては植物の肥料と併用して使用している。一般的な畑では1ha当り生体重量約6tの土壌微生物が生息していると考えられている。

実際には、土壌微生物というくくりに含まれる生物には極めて多様なものがある。細菌類に於いては、一般的な有機物を分解するものの他に、[[鉄バクテリア]]のような[[化学合成]]を行う独立栄養のものも含まれる<ref name=":0" />。あるいは他の細菌類に対して寄生的な生活を送るものもある<ref>{{Cite book|title=有機栽培技術の手引 〔果樹・茶 編〕 第2部 有機栽培を理解するための基礎知識|date=|year=2013|publisher=一般財団法人日本土壌協会|month=3|page=33}}</ref>。

また、[[硝化作用]]を行う細菌類<ref name=":0" />のように、それ自体は[[独立栄養生物]]だが、その生産物が植物の生活に直結する重要性を持つ場合や、[[放線菌]]のように[[抗生物質]]を分泌して他の微生物の活動に影響を与えるものもある<ref name=":0" />。

有用な面は養分吸収を助けて植物が利用できない形態の栄養分を利用できる形にし、粗大有機物を分解することにより土壌の物理性・化学性の改善に寄与する点である<ref name=":0" />。また、一部の微生物は、病原菌を抑え<ref name=":0" />、ある種のホルモン様物質を生産し、植物の生育を促し<ref>{{Cite book|title=有機栽培技術の手引 〔果樹・茶 編〕 第2部 有機栽培を理解するための基礎知識|date=|year=2013|publisher=一般財団法人日本土壌協会|month=3|page=31}}</ref>ひいては農薬の分解・無害化や微生物体内での養分貯蔵を行う。