「自己都合退職」の版間の差分

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{{出典の明記|date=2018年11月}}
 
{{Redirectlist|辞表|日本の律令制度において官職を辞職するための文書|上表}}
{{law}}
'''自己都合退職'''(じこつごうたいしょく)とは、[[労働契約]][[解除]]が[[労働者]]からの申し出によるものをいう。会話や文脈上では単に「[[退職]]」ということもある。[[公務員]]では[['''依願退職]]'''と称することが多い。
 
== 法的根拠 ==
{{Quotation|
; [[:b:民法第627626条|民法第627626条]]1(期間の定めのないある雇用の解約の申入れ
# 当事者が[[期間の定めのない労働契約|雇用]]の期間が5年超え、又はその終期が不確めなかったであるとき]]は、当事者の一方、5年を経過した後、いつでも約の申入れ解除をすることができる。この場合において、[[雇用]]は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。
# 期間前項の規定によってり契約の解除をしようとする者は、それが[[報酬使用者]]を定めた場合にであるとき3月前解約の申入れは、次期以後についてす労働者であがでる。ただし、その解約の申入れ、当期の2週間、その予告をしなければならない。
# 六箇月以上の期間によって報酬を定めた場合には、前項の解約の申入れは、三カ月前にしなければならない。
 
; [[:b:民法第626627条|民法第626627条]]''' (期間の定めのあるない雇用の解約の申入れ<br>
# 雇用の期間が5年を超え、又は雇用が当事者が[[期間一方若しくは第三者定め終身ない労働契約|雇用継続すべきを定めなかった]]ときは、当事者の一方、5年を経過した後、いつでも約の解除申入れをすることができる。ただし、この期間場合において、雇用は、商工業解約見習申入れの日から2週間目的と経過する雇用ことついよっは、10年と終了する。
# 前項の規定期間により契約って[[報酬]]を定めた場合には、使用者からの解除をしようと約の申入れは、次期以後についてするがでる。ただし、その解約の申入れは、3箇月当期のその予告をしなければならない。
# 6箇月以上の期間によって報酬を定めた場合には、前項の解約の申入れは、三カ3箇月前にしなければならない。
;[[:b:民法第628条|民法第628条]]'''(やむを得ない事由による雇用の解除)
 
:当事者が[[有期労働契約|雇用の期間を定めた場合]]であっても、やむを得ない事由があるときは、各当事者は、直ちに契約の解除をすることができる。この場合において、その事由が当事者の一方の過失によって生じたものであるときは、相手方に対して損害賠償の責任を負う。
;[[:b:民法第628条|民法第628条]]'''(やむを得ない事由による雇用の解除)<br>
: 当事者が[[有期労働契約|雇用の期間を定めた場合]]場合であっても、やむを得ない事由があるときは、各当事者は、直ちに契約の解除をすることができる。この場合において、その事由が当事者の一方の[[過失]]によって生じたものであるときは、相手方に対して[[損害賠償]]の責任を負う。
}}
 
自己都合本人により退職は、[[民法意思表示|意思が明示]]上の労働契約の解除でありされているならば自己都合退職の方法は文書、口頭、いずれも法律的には有効であり、いずれの方法も行われている。但し、離職の申し出の書証とするためには、退職届(退職願・辞表ともいう)を提出することが一般的である。一般的に退職願の書式などが紹介されることもあるが、これらは礼儀やマナーの問題として慣習的に定められているものである。労働慣習では法律労働者からの一方な労働契約解除を文書で申し出ることを「退職届」といい、完全自筆で文書を作成する場合と、会社既定の様式が用意されている場合がある。もっとも、一般的な労働契約では、特別法である[[労働基準法]]の規定が[[民法 (日人に)|民法]]より退職優先され(後述)、多く企業では[[意思表示|意思が明示就業規則]]に退職に関する事項を定めるため(労働基準法第89条)、就業規則に退職の申し入ていに関すなら定めがあれ通常はそちらが優先され<ref name=law>[https://jsite.mhlw.go.jp/osaka-roudoukyoku/yokuaru_goshitsumon/jigyounushi/taisyoku.html 退職・解雇・雇止め(Q&A)]大阪労働局</ref>、民法よう規定が適用されるのは就業規則に定めが書式でも有効であい場合や、労働基準法が適用されない者([[家事使用人]]等)に限られる。
 
労働慣習では、労働者からの一方的な労働契約解除を文書で申し出ることを「退職届」といい、完全自筆で文書を作成する場合と、会社に既定の様式が用意されている場合がある。[[期間の定めのない労働契約]]の場合は「退職届」を提出する事によりいつでも労働契約を解除する事ができる。これを任意退職と言う。解除の時期は、原則として民法第627条第1項により、解約の申入れの日から2週間(就業規則に解約の申し入れ期間に関する定めがあれば、その期間)を経過することによって労働契約の解除(解約)となる。また年俸制のような「6か月以上の期間をもって[[報酬]]を定めた[[雇用]]契約」においては民法第627条第3項により、3か月(就業規則に解約の申し入れ期間に関する定めがあれば、その期間)後に退職が成立する。しかしなお[[期間の定めのある労働契約]]については、民法第628条により原則としてやむを得ない事由があるときに限って契約期間満了まで前に退職する事できないし、労働者が一方的に退職した場合には[[損害賠償]]の請求の対象ともなる。
 
また、双方が合意すれば、退職日を2週間後以外(例えば「即日」退職等)に設定することも可能である。これを合意退職と言う。この場合は、労働契約解除日の合意解除・合意解約を行ったことになる(これも契約の一種である)。
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== 就業規則との兼ね合い ==
[[File:Notice of Employment (Japan).svg|thumb|450px|[[労働条件通知書]]]]
{{Quotation|
[[就業規則]]には退職に関する事項を定めなければならず([[労働基準法]]第89条)、退職の申し出を2週間よりも前に申し出るべきこととすることがある。
[[b:労働基準法第89条|労働基準法第89条]](作成及び届出の義務)
: 常時10人以上の労働者を使用する使用者は、次に掲げる事項について就業規則を作成し、行政官庁に届け出なければならない。次に掲げる事項を変更した場合においても、同様とする。
:# (略)
:# (略)
:# 退職に関する事項(解雇の事由を含む。)
:(以下略)
}}
[[就業規則]]には退職に関する事項を定めなければならず([[労働基準法]]第89条)、退職の申し出を2週間よりも前に申し出るべきこととすることがある。
 
民法627条を任意規定と解して就業規則規定の予告期間を特約として効力が生じるという学説があるが、高野メリヤス事件(昭和51.10.29判時841号102頁)において、民法627条に抵触する部分については[[無効]]であるという[[判例]]があり、民法627条に従い14日経過後に退職は成立するとされる。一方では大室木工所事件において、「民法第627条第1項を排除する特約は無制限に許容するべきではなく、労働者の解約の自由を不当に制限しない限度においてはその効力を認めるべきであるから、労働者の退職には使用者の承認を要する旨の特約は、労働者の退職申し立てを承認しない合理的な理由がある場合の外は、使用者はその承認を拒否しえないという限度でその効力を認めるべき」(昭37.4.23 浦和地決熊谷支部)という裁判例があるが、本裁判例は就業規則の退職予告期間そのものを争点とした裁判ではなく、就業規則の予告期間を優先とするという内容の判例ではないため、予告期間において就業規則を優先とする判例はないが、どんな特約でも全面的に否定するという判例もない。実際には労働局個々ホームページでは、「なお、会社の就業規則事例退職につい即し規定されてい判断す場合ほかないが原則として実務上は特約(就業規則の規定が適用されます」と書かれ、特約が優先するという見解を表示してに立つものが多<ref>http: name=law//osaka-roudoukyoku.jsite.mhlw.go.jp/yokuaru_goshitsumon/jigyounushi/taisyoku.html</ref>。
 
また、就業規則ではなく労働者が[[使用者]]と労働契約書などで個別合意して退職の申し出を14日前以上に申し出るべきこととした場合、民法627条を任意規定と解して個別合意の予告期間を特約として効力が生じるかという問題もある。
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==関連項目==
* [[労働契約法]]
* [[労働法]]
* [[会社都合退職]] - [[リストラ]] - [[早期優遇退職]] - [[退職勧奨]] - [[定年退職]]