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{{出典の明記|date=2016-06}}
[[File:Factorisatie.svg|thumb|right|多項式 {{math|''x''{{exp|2}} + ''cx'' + ''d''}} は、{{math|1=''a'' + ''b'' = ''c''}} および {{math|1=''ab'' = ''d''}} であるとき、{{math|(''x'' + ''a'')(''x'' + ''b'')}} と因数分解できる。]]
[[数学]]における'''因数分解'''(いんすうぶんかい、{{lang-en-short|''factorization'', ''factoring'', ''decomposition''}}{{efn|加法的な体系では和に分解することもあるかもしれない。傾向として、decomposition は加法的な分解(ある種の直和分解など)に対してよく用いられる。}}; [[分解#数学|分解]]、'''因子分解''')は、与えられた数学的対象を同種の(しかし普通はより小さいあるいはより平易な)別の対象&mdash;それは'''因数'''({{lang|en|''factor''}}; '''因子'''、乗法因子、乗因子)と呼ばれる&mdash;の積として書き表すことを言う{{efn|「積として」と述べる時点で何らかの意味での「乗法」が定められている必要がある。ただし、一般の抽象的文脈において「乗法」が任意の(代数的)演算を指し得ることや、可換な乗法が「加法」と呼ばれていたりする場合があることには留意すべきである。}}。たとえば、{{math|15}} という数は {{math|3 &times; 5}} という因数の積に分解され、多項式 {{math|''x''<sup>2</sup> &minus; 4}} は {{math|(''x'' &minus; 2)(''x'' + 2)}} という因数の積に分解される
 
因子への分解は、[[除法]]が自由にできる体系([[可除環]]など)ではほとんどの場合に意味を為さない。例えば[[実数]]や[[複素数]]の体系において任意の {{mvar|x}} は {{mvar|y}} が零でない限り何であっても {{math|''xy'' &times; (1/''y'')}} のように分解できることは明らかである(つまり、どの元もいくらでも分解できて、積としての表示を無数に持つ)。しかし例えば、[[有理数]]や[[有理函数]]の成す体系ならば、分子と分母を別々に考えることによって意味のある因数分解を定めることができる。
 
[[自然数]]および[[整数]]に関する因数分解は[[古代ギリシア]]の{{ill2|ギリシア数学|label=数学|en|Greek mathematics}}においてすでに考察されている。その中には、任意の自然数が[[素数]]の積に因数分解できる(さらに、自然数のそのような分解([[素因数分解]])は因数の順番を変える[[違いを除いて]]一通りである)ことを述べた[[算術の基本定理]]の証明も含まれる。整数の素因数分解は、整数の乗法のある種の逆演算ではあるけれども、しかし[[アルゴリズム]]的な意味([[計算量]])において乗法とは比べ物にならないほど複雑であり、特に巨大整数の素因数分解は困難な問題で、これを一般に短時間に行う方法は知られていない。この複雑性は[[RSA暗号]]のような[[公開鍵暗号]]によるセキュリティの信頼性の基礎になっている。
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一般の[[抽象代数学]]において、一意分解性質を持つ[[可換環]]は[[一意分解環]] (UFD) と呼ばれる。ある種の[[数体系]]、例えば[[代数体]]の[[整数環]](代数的整数環)の中には一意分解性質を持たないものが存在するが、これら代数的整数環の場合には幸いなことに、より弱い形での一意分解性質(任意の[[イデアル (環論)|イデアル]]が[[素イデアル]]の積に一意的に分解される)を満足する[[デデキント環]]となる。一般に、既約元分解を持つ(が、一意分解とは限らない)[[整域]]を{{ill2|原子整域|en|atomic domain}}または分解整域と呼ぶ。
 
より一般の数学的対象の中にも(より単純な対象からなる)積の形に書き表すことを一般に因子分解あるいは分解と言い表すものがある。たとえば、[[写像]]の分解とは特定の性質を持つ写像の[[写像の合成|合成]]の形に書き表すことである。任意の写像は[[全射]]と[[単射]]の合成として標準的な分解を持つ(これは[[圏論]]において、射の{{仮リンク|分解系 (圏論)|en|factorization system|label=分解系・弱分解系}}として一般化される)。また例えば、[[行列の分解]]とは、与えられた[[行列]]を特定の性質を持つ行列を用いて[[行列の積]]として書き表すことである。任意の行列は対角成分がすべて {{math|1}} の[[下三角行列]] {{mvar|L}} と[[上三角行列]] {{mvar|U}} および [[置換行列]] {{mvar|P}} の積に分解される([[LU分解|LUP分解]]: 実はこれは[[ガウスの消去法]]を行列の形にまとめたものである)。

== 整数の因数分解 ==
{{main|素因数分解}}
[[算術の基本定理]]により、任意の正の[[整数]]は一意的な[[素因数分解]]を持つ。整数の因数分解アルゴリズムが与えられたとき、その[[アルゴリズム]]を繰り返し適用して、任意の整数をその構成要素である[[素数]]にまで分解しきることができる。しかし、非常に巨大な整数に対して効率のよいアルゴリズムは知られていない。
 
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== 多項式の因数分解 ==
{{main|多項式の因数分解}}