「交響曲第6番 (チャイコフスキー)」の版間の差分

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=== バスクラリネットの使用 ===
一般に、第1楽章の一部(160小節の後半、譜例と試聴用サウンドファイル参照)で、作曲者の指定したファゴットに代えて[[バスクラリネット]]を(クラリネット奏者が持ち替えて)使用することがしばしば行われる<ref name="DelMar">{{Cite book |author= Norman Del Mar |authorlink= ノーマン・デル・マー |year= 1983 |title= Anatomy of the Orchestra |publisher= University of California Press |page= 180 |url= https://books.google.co.jp/books?id=vsVzqUN1GBcC&pg=PA180&dq=bass+clarinet+ppppp+bassoon#v=onepage |isbn= 978-0520050624}}</ref><ref name="Steinberg">{{Cite book|author= Michael Steinberg |authorlink= :en:Michael Steinberg (music critic) |year= 1995 |title= The Symphony: A Listener's Guide |publisher= [[オックスフォード大学出版局|Oxford University Press]] |page= 640 |url= https://books.google.co.jp/books?id=lozBiI1ehiIC&pg=PA640&dq=pppppp+%22Hans+Richter%22+%22bass+clarinet%22#v=onepage |isbn= 978-0195061772}}</ref><ref name="佐伯">{{Cite book|和書 |author=佐伯茂樹 |chapter=《悲愴》の最弱音がファゴットである理由 |title=名曲の「常識」「非常識」 オーケストラのなかの管楽器考現学 |publisher=[[音楽之友社]] |year=2002 |pages=180-185 |isbn=4-276-21062-3}}</ref>。この方法を最初に行ったのは指揮者の[[ハンス・リヒター (指揮者)|ハンス・リヒター]]とされる<ref name="Steinberg" /><ref name="Fifield">{{Cite book |author= Christopher Fifield |authorlink= :en:Christopher Fifield |year= 2016 |title= Hans Richter |publisher= [[:en:Boydell & Brewer|Boydell & Brewer]] |page= 300 |url=https://books.google.co.jp/books?id=60VJDQAAQBAJ&pg=PA300&dq=pppppp+bassoon+bass+clarinet#v=onepage |isbn= 978-1783270217}}</ref>。ファゴットをバスクラリネットに置き換える理由としては、この部分に pppppp (ピアニッシシシシシモ)という極端な[[演奏記号#強弱記号|強弱記号]]が付されており、そのように小さな音で演奏するのはファゴットよりもバスクラリネットの方が適していること<ref name="DelMar" /><ref name="Steinberg" /><ref name="佐伯" />、また同小節前半までのクラリネットの旋律をファゴットで受け継ぐ形となっており、同族楽器のバスクラリネットで受け継いだ方が旋律のつながりが良いこと<ref name="Steinberg" />が挙げられる。
 
ただしチャイコフスキーは[[管弦楽法|オーケストレーション]]の手腕に卓越していると評価されている作曲家であり、前作の『[[くるみ割り人形]]』ではバスクラリネットを効果的に使用していることから、チャイコフスキーがここでバスクラリネットではなくあえてファゴットを指定したのには、その極端な音量指定含め、音楽的な理由があるとも考えられる<ref name="佐伯" />。この160小節目が[[ソナタ形式#提示部|提示部]]の終わりに相当することから、[[ソナタ形式#序奏|序奏]]の冒頭と提示部の終わりを同じファゴットに演奏させて音色的な統一感を持たせることを意図した楽器指定なのではないかとの見解<ref name="Steinberg" />や、この曲においてクラリネットとファゴットはそれぞれ孤独と絶望を象徴しており、孤独が絶望に転じるという意味を持たせた旋律の受け継ぎなのではないかとの解釈<ref name="佐伯" />などが存在する。
 
現在、指定された音色を重視してファゴットに演奏させるか、指定された音量を重視してバスクラリネットに演奏させるかは指揮者によって異なる。
 
== 曲の構成 ==