「呼吸困難」の版間の差分

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[[呼吸]]は体に[[酸素]]を取り込み、[[二酸化炭素]]を排出するという血液中のガス交換を目的として行われる生理的運動であるが、医学的には呼吸困難という状態はあくまで自覚的な症状を指し、必ずしも呼吸機能に問題があるとは限らない。従って敢えて'''呼吸困難感'''(こきゅうこんなんかん)という用語を使う必要はないが、明確にするためにこのように使われることもある。
 
呼吸が障害され、本来の機能である血液中のガス交換がうまく行われていない状態のことは「[[呼吸不全]]」と呼んで区別し、これは客観的な検査によって判定する。つまり、意識がない人には「呼吸困難」はなく、「呼吸困難」があっても「呼吸不全」がない場合や「呼吸困難」がなくても「呼吸不全」があるという場合も存在する。特に老人や、慢性の肺疾患を持っている者のなかには、呼吸不全があっても呼吸困難をきたしていないものがおり、注意を要する。なお、一般的な用語としての呼吸困難と呼吸不全は、混同されて使用される場合も多い
 
== 呼吸困難のメカニズム ==
つまり、意識がない人には「呼吸困難」はなく、「呼吸困難」があっても「呼吸不全」がない場合や「呼吸困難」がなくても「呼吸不全」があるという場合も存在する。特に老人や、慢性の肺疾患を持っている者のなかには、呼吸不全があっても呼吸困難をきたしていないものがおり、注意を要する。
 
なお、一般的な用語としての呼吸困難と呼吸不全は、混同されて使用される場合も多い。
 
== 呼吸困難のメカニズム ==
[[呼吸]]は体外から酸素を取り入れる外呼吸と細胞内で酸素を消費する内呼吸に分かれる。外呼吸は換気、拡散、血流の3つの要素によって成り立つ。呼吸困難をきたす原因は一般的には外呼吸機能の障害であると考えられている。古典的な呼吸不全の分類では外呼吸のうち換気障害の有無を重要視する。酸素化障害のみのⅠ型呼吸不全、換気障害も伴うⅡ型呼吸不全といった用語が良い例である。
 
過換気症候群では低酸素血症を伴わないが呼吸困難が存在する。これはPaCO2が低すぎることが原因と考えられている。また気胸では[[血液ガス分析]]上全く異常がなくとも呼吸困難が存在する。厳密な呼吸困難のメカニズムは2008年現在、レセプターによるものが考えられているが明らかではない。
 
== ヒュー・ジョーンズ分類 ==
呼吸困難の程度を客観的に表現する試みとして最も利用されているものに、ヒュー・ジョーンズ分類(Hugh-Jones分類)がある。心不全からくる呼吸困難に対しては[[心不全#NYHA分類|NYHA分類]]が使われる。あくまでも慢性呼吸不全、呼吸困難の指標である。
 
第一に気道確保と酸素投与を行う。[[意識障害]]など他の挿管の適応があれば、躊躇なく挿管をする。酸素投与でSpO2が90%台となるようにする。酸素投与、気道確保ができたら、呼吸困難の原因精査を行う。診断の目星があれば、それに対する治療を行う。これによって挿管を回避できることもある。特に重要なのは上気道閉塞を否定することである。治療への反応をみて、挿管を回避できるのか、できないのかを判定する。回避できなければこの時点で気管内挿管を行う。回避できるのであれば酸素マスク、あるいは[[BIPAP]]にて経過観察とする。挿管の目安としては、酸素マスクにてSpO2<90%(酸素解離曲線でSpO2 90%はPaO2 60mmHgに相当する)ならば挿管とするのが一般的である。これ以下では末梢細胞への酸素供給が不足し嫌気的代謝となる可能性がある。血液ガス分析で代謝性アシドーシスとなっていれば、すでに末梢の酸素不足が起こっている可能性がある。
 
=== 気管内挿管の適応 ===
*換気不十分
*酸素化不十分
呼吸困難、呼吸不全による緊急挿管の場合、フルストマックでの挿管となることが多く、[[甲状軟骨圧迫法]]を用いることが多い。[[静脈麻酔薬]]、[[オピオイド]]といった薬物を用いて、鎮痛、鎮静、筋弛緩を得る。以下に代表的な処方、人工呼吸器の設定を示す。
 
=== 人工呼吸器の初期設定と挿管 ===
2008年現在、大抵の人工呼吸器にはSIMVモードがあり、プレッシャーサポートがついているためそれを前提とする。患者の体格や病態によって適切な人工呼吸器の設定というものが存在し、集中治療の分野では様々な研究がされている。しかし、気管内挿管が必要な場合、それらの評価を行う時間やデータが不足している場合も多々ある。適切な設定値を求めるあまり気管内挿管が遅れるようでは意味がないので無難な量を纏める。想定しているのは体重が60Kgの成人である。挿管前に準備するものとしては[[サクション]]キット、[[アンビューバッグ]]か[[ジャクソンリース]]、SpO2モニター、心電図モニター、呼吸器以外に扱える酸素配管などを確認しておく。
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*ドルミカム5A(50mg/10ml)+生食40mlを3ml/hで開始 。体動を認めたら3mlフラッシュする。
*ドルミカム8A(80mg/16ml)+ケタラール(筋注用)2000mg(2A)+生食14mlを2ml/hから開始 。体動を認めたら2mlフラッシュする。
 
==== 鎮痛 ====
[[レペタン]]2A(0.4mg/4ml)を生理食塩水で50mlとし2ml/hで開始。体動を認めたら2mlフラッシュする。
強オピオイドを利用した場合は弱オピオイドを併用すると効果が減少するため注意が必要である。但し、これはアゴニストとパーシャルアゴニストを併用した時の現象であるため鎮痛効果は同一レセプターに作用していれば弱オピオイドと強オピオイドの中間となる。体動の原因が鎮静不足か鎮痛不足かによってフラッシュする薬物は変わってくるため、他の処方との整合性を図るべきである。
 
==== 筋弛緩 ====
ベクロニウム(マスキュラックス)を用いる場合が多い。マスキュラックス10mgを蒸留水10mlで溶解し1mg/mlとして使用する場合が多い。マスキュラックスは0.08mg/Kgが初回使用量となるため5mg程度から使用し、効果を見て8~10mg程度使用する場合もある。それ以外にはマスキュラックス2mgとサクシン(スキサメトニウム)50mgを併用し静注するという方法もある。
 
=== 初期治療 ===
挿管を行い、人工呼吸器につなげば呼吸不全による死亡は防ぐことができるため、原因精査を行う時間が稼ぐことができる。
;鎮静の維持
 
== 関連項目 ==
* [[人工呼吸器]]
* [[呼吸不全]]
* [[心不全]]
* [[酸素欠乏症]]
 
{{呼吸器疾患}}