「中華料理店過程」の版間の差分

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==定義==
無限にたくさんの円卓が並べられた中華料理店を考える。各々の円卓もまた無限にたくさんの人が座ることが出来るものとする。1番目のお客が店に入ってくると、そのお客はまだ誰も座っていない円卓に確率1で座る。ある時刻''n''+1で現れる''n''+1番目の客は店内を見回し、より多くの人が座っている円卓に高確率で座ろうとする、あるいはまだ誰も座っていないテーブルに座ることもあるだろう。各々のテーブルが店にやってきた客の分割を与えるものだと考えたものが中華料理店過程の考え方である。前述の定義により与えられた分割''B''<sub>''n''</sub>がとある分割''B''と等しくなる確率は次の式で与えられる。
:<math>\mathrm{Pr}(B_n = B) = \frac{1}{n!} \Pi_prod_{b \in B} (|b| - 1)!}{n!}</math>
この式で、''b''''B''に含まれる分割の部分を、|''b''|はその部分に含まれる要素の数を表すものとする。
 
==一般化==
前述の中華料理店モデルは2つのパラメータ''α''''θ''により一般化できる。このとき''α''''θ''はそれぞれ割引率と強度のパラメータと呼ばれる<ref>{{cite journal
|first=Jim |last=Pitman
|title=Exchangeable and Partially Exchangeable Random Partitions
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|year=1995
|mr=1337249 |doi=10.1007/BF01213386
}}</ref><ref name=Pitman2006>{{cite book|last=Pitman|first=Jim|title=Combinatorial Stochastic Processes|url=http://works.bepress.com/jim_pitman/1/|publisher=Springer-Verlag|year=2006|location=Berlin}}</ref>。ある時刻''n''+1において新たに来店した客が|''B''|個のテーブルに人がいるのを確認して、まだ誰も座っていないテーブルに座る確率を、
:<math>\frac{\theta + |B| \alpha}{n + \theta}</math>
とし、すでに|''b''|人が座っているテーブルに座る確率を
:<math>\frac{|b| - \alpha}{n + \theta}</math>
とする。この定義において正しく確率測度を定義するためには「''α''<0かつ''θ''=-'''', ''L'' ∈{1,2,...}」あるいは「0 ≤ ''α'' ≤ 1かつ''θ''>-''α''」のいずれかが成り立たなければならない。
 
このモデルを仮定すると、''n''人の客のいずれの分割も[[ポッホハマー記号]]の意味で
:<math> \mathrm{Pr}(B_n = B) = \frac{(\theta + \alpha)_{|B|-1,\alpha}}{(\theta+1)_{n-1,1}} \prod_{b \in B} (1-\alpha)_{|b|-1,1}</math>
と表される。ただし<math>(\alpha)_{0,c}=1</math>であり、任意の''b''>0に対して、
:<math>
(a)_{b,c} = \prod_{i=0}^{b-1} (a+ic) = \begin{cases}
a^b & \mbox{if } c= 0 \\
\displaystyle \frac{c^b \Gamma (a / c + b)}{\Gamma (a/c)} & \mbox{otherwise}
\end{cases}
</math>
と定める。
 
このように、''θ''>0の場合では分割が与えられる確率が[[ガンマ関数]]により次のように与えられることが分かる。
:<math>\mathrm{Pr}(B_n = B) = \frac{\Gamma(\theta)}{\Gamma(\theta + n)} \frac{\alpha^{|B|} \Gamma (\theta/\alpha + |B|)}{\Gamma(\theta/\alpha)} \prod_{b \in B} \frac{\Gamma (|b| - \alpha)}{\Gamma(1-\alpha)}</math>
パラメータが1つの場合、すなわち''α''=0の場合においては単純に
:<math>\mathrm{Pr}(B_n = B) = \frac{\Gamma(\theta) \theta^{|B|}}{\Gamma(\theta + n)} \prod_{b \in B} \Gamma(|b|)</math>
と書ける。あるいは''θ''=0であれば、
:<math>\mathrm{Pr}(B_n = B) = \frac{\alpha^{|B|-1} \Gamma(|B|)}{\Gamma(n)} \prod_{b \in B} \frac{\Gamma (|b| - \alpha)}{\Gamma(1-\alpha)}</math>
と書ける。
 
このようにいずれの分割に対しても、その分割が与えられる確率は分割が含む部分の大きさのみに依存する。はじめに、ラベルの順番が入れ替わっても与えられる確率が変わらないといったのはこのためである。もし''α''=0であるなら、このようにして作られるランダムな分割が[[自然数の分割]]に対応しており、パラメータとして''θ''を取る[[:en:Ewens_distribution{{仮リンク|Ewensエヴェンス分布]]|en|Ewens_distribution}}と対応する。
 
==出典==