「文化的オムニボア」の版間の差分

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'''文化的オムニボア'''(ぶんかてきオムニボア、{{lang-en-short|Cultural Omnivores}})とは[[文化社会学]]上の理論で、オムニボアとは雑食性という意味である。
 
日本における文化的オムニボアの傾向については、片岡栄美(当時[[関東学院大学]]社会学科教授、後に[[駒大学]]社会学科教授)らが調査研究の結果を踏まえ1990年代から指摘しており、高位置者は文化的ユニボアではなく文化的オムニボアの傾向にあることを[[社会階層と社会移動全国調査|SSM調査]](神戸SSM調査:1995)、川崎市郵送調査「ライフスタイルと文化に関する意識調査」(1998) などから考察している。また、日本人男性は高学歴者であっても「[[ルサンチマン]]」を回避するため[[ハイカルチャー]]のみではなく雑多な文化に属する、とも指摘。ここでいう[[大衆文化]]には[[漫画]]・[[アニメ]]・[[パチンコ]]・[[競馬]]なども含まれる。特に日本男性の場合は「[[コミュニケーション能力]]」が重視されるので、どのような文化階層者とも付き合いを強制されるため、このような結果となった、とする。さらに同時にハイカルチャーにのみ属する男性は社会的(特に企業社会・官公庁社会)に排除されることも分かった。また「文化的オムニボア」は若い男性ほど傾向が強くなることも分かった。これに対し、女性の場合は高学歴者ほどハイカルチャー志向であり、これによりジェンダーバイアスが認められた。したがって日本男性には[[文化資本]]の再生産は認められないが日本女性には文化資本の再生産が認められるという結果となった(後に世界的に同じ傾向であることがわかった)。日本における「文化的オムニボア」傾向の指摘は、欧米などの他の研究と同様の傾向が日本でも認められることを先駆的に指摘する成果となった。
 
2015年、[[成蹊大学]]の小林盾と[[東京大学]]の大林真也は階層と社会意識全国調査を行った(第1回SSP調査)。高級文化(クラシック音楽と美術展)と中間文化(小説)の頻度を[[幾何平均]]で調査した結果、文化的オムニボアが52.5%存在した。高い[[社会的地位|階層的地位]]が文化的オムニボアを促進したことも分かり、日本社会における文化活動は[[ピエール・ブルデュー]]の指摘した排他的なものではないことも分かった{{Sfnp|小林|大林|2016}}。
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[[Category:社会学]]