「国際人道法」の版間の差分

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「[[ジュネーブ法]]」とは、「[[ジュネーヴ諸条約 (1949年)]]」及びそれに付属する「[[ジュネーヴ諸条約の追加議定書 (1977年)]]」(「第一追加議定書」、「第二追加議定書」)及び2005年の「[[第三追加議定書]]」で定められた規則の総体で、戦争犠牲者を保護し、戦闘不能になった要員や敵対行為に参加していない個人の保護を目的とするものである(''Ibid.'')。
 
武力紛争法においては、締約国は、たとえ条約によって規定されていない場合においても、市民及び交戦団体が「文明国間で確立した慣例、人道の法、公の良心の要求」([les] usages établis entre nations civilisées, [les] lois d'humanité et [les] exigences de la conscience publique)に由来する国際法の諸原則の下にありかつ保護下にあることを確認するという(前掲「陸戦の法規慣例に関する条約」前文ほか)、{{独自研究範囲|date=2015年3月|いわゆる「[[マルテンス条項]]」(Martens Clause; la Clause de Martens)が極めて重要である。}}<ref>Meron,Th., ''The Humanization of International Law'', Leiden/Boston, Martinus Nijhoff, 2006, pp.16-29.</ref>(なお、「マルテンス条項」に関する国家実行の慎重な分析から、そのような一般条項に照らした事案の処理の必要性が指摘しつつも、その適用の確かな指針が今も存在しないという今後の課題が指摘されうる<ref>江藤淳一「マルテンス条項―百年の軌跡」、村瀬信也/真山全(編)『武力紛争の国際法』(東信堂、2004年)58-84頁; 酒井啓亘/寺谷広司/西村弓/濵本正太郎『国際法』(有斐閣、2011年)164-166頁も参照。</ref>。)
 
その適用例として、「クプレスキッチ他事件」(Kupreskic et consorts)において旧ユーゴスラビア国際刑事裁判所(ICTY)第一審は、「人道の基本的考慮」(elementary considerations of humanity)原則は、あいまいな(玉虫色の)(loose)国際法規則の解釈、適用においてめいいっぱい(fully)使われるべきであり、より特定的には、「マルテンス条項」は、今や慣習国際法の一部になっており、「独立した」(independent)国際法の法源の地位に到達しているとはいえなくとも、これに訴えなければならない場合があるだろうと述べた。そして、この条項が「いかなる時も」(any time)、ある国際人道法規則が十分に厳格で明確ではない場合には人道の諸原則(principles of humanity)に言及することを要請すると認め、そして、それゆえ、軍事目標物に対する「繰り返しの攻撃」(repeated attacks)は、たとえジュネーブ諸条約第一追加議定書57、58条において争いのある不明瞭な領域に属するとしても、そのような行為が「累積的効果」(the cumulative effect)により文民の生命及び財産を害したときには、国際法に一致しない場合がある(may not be in keeping with international law)と示した(IT-95-16-T, 14 January 2000, paras.524-526)。