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'''クレメンゼン還元'''(クレメンゼンかんげん、Clemmensen reduction)は[[亜鉛]][[アマルガム]]を用いて[[塩酸]]などの強酸性の[[溶媒]]中で[[ケトン]]や[[アルデヒド]]の[[カルボニル基]]を[[還元]]して[[メチレン基]]にする[[化学反応]]である<ref>総説: Martin, E. L. ''Org. React.'' '''1942''', ''1'', 155.</ref><ref>総説: Vedejs, E. ''Org. React.'' '''1975''', ''22'', 401.</ref>。
 
[[Image:Clemmensen Reduction Scheme.png|center|300px|クレメンゼン還元]]
 
1913年にエリック・クレメンゼンによって報告された<ref>Clemmensen, E. ''Ber. Deutsch. Chem. Ges.'' '''1913''', ''46'', 1837-1843.</ref>。水に溶けにくい[[基質 (化学)|基質]]では[[酢酸]]や[[メタノール]]、[[ジオキサン]]を補助溶媒とする。また、[[トルエン]]を溶媒として二相系で反応を行うこともある。このようにすると、亜鉛アマルガムの表面に樹脂状の副生成物が固着して反応が停止するのを防止することができる
水に溶けにくい[[基質 (化学)|基質]]では[[酢酸]]や[[メタノール]]、[[ジオキサン]]を補助溶媒とする。
また、[[トルエン]]を溶媒として二相系で反応を行なうこともある。
このようにすると、亜鉛アマルガムの表面に樹脂状の副生成物が固着して反応が停止するのを防止することができる。
 
原報は反応条件としてはかなり激しいため適用できる基質が限定されること、また[[水銀]]を使用するため、現在では有機合成に使われることはまれとなっている。代わりに[[塩化水素]]の[[無水酢酸]]、[[ジエチルエーテル]]、[[ジオキサン]]等の溶液中で亜鉛粉末を加えて行う非水系の改良法が知られており、こちらが適用される。
代わりに[[塩化水素]]の[[無水酢酸]]、[[ジエチルエーテル]]、[[ジオキサン]]等の溶液中で亜鉛粉末を加えて行なう非水系の改良法が知られており、こちらが適用される。
 
亜鉛アマルガムの表面で起こっている反応のため[[反応機構]]の詳細は明らかではない。しかし、[[アルコール]]はこの条件ではメチレン基へと還元されないため、アルコールは[[反応中間体]]ではないと推定されている。カルボニル基の還元により、Zn-C-OH の構造が生成した後、これからヒドロキシ基が脱離して[[カルベン錯体]]のようになり、これがプロトン化されてメチレン基となる機構が提唱されている
しかし、[[アルコール]]はこの条件ではメチレン基へと還元されないため、アルコールは[[反応中間体]]ではないと推定されている。
カルボニル基の還元により、Zn-C-OH の構造が生成した後、これからヒドロキシ基が脱離して[[カルベン錯体]]のようになり、これがプロトン化されてメチレン基となる機構が提唱されている。
 
== 参考文献 ==