「女は女である」の版間の差分

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『'''女は女である'''』(おんなはおんなである、'''''Une femme est une femme''''')は、[[1961年]](昭和36年)製作・公開、[[ジャン=リュック・ゴダール]]監督による[[フランス]]・[[イタリア]]合作の長篇劇映画である。
 
== 概要 ==
ゴダールの長篇劇映画第3作。「ミュージカル・コメディ」と銘打って製作されたが、登場人物が音楽に合わせて歌い踊るシーンは一つもないうえ(主人公が伴奏なしで歌うシーンが1度あるのみ)、[[ミシェル・ルグラン]]の流れるようなメロディを唐突に断ち切ったり意図的に無音を作る編集演出ほどこされていなどことから、「ミュージカル」というジャンルそのものに対する風刺作品と評されることもあている<ref>{{Cite web|title=A Woman Is a Woman|url=https://www.criterion.com/current/posts/330-a-woman-is-a-woman|website=The Criterion Collection|accessdate=2020-07-11|language=en|first=J.|last=Hoberman}}</ref><ref>{{Cite web|title=MoMA {{!}} Jean-Luc Godard’s A Woman Is a Woman|url=https://www.moma.org/explore/inside_out/2013/07/30/jean-luc-godards-a-woman-is-a-woman/?l=|website=www.moma.org|accessdate=2020-07-11}}</ref>。
 
『[[小さな兵隊]]』(1960年)についで[[アンナ・カリーナ]]が出演したゴダール作品としては『[[小さな兵隊]]』(1960年)につぐ2作目で、となる。撮影は[[パリ]]市内の[[フォブール=サン=ドニ街]]、[[サン=ドニ門]]など撮影さ行われた。
 
劇中カリーナのセリフ「コレオグラフは[[ボブ・フォッシー]]、共演は[[シド・チャリシー]]と[[ジーン・ケリー]]」<ref name="小沼">[[DVDシネフィル・イマジカ]]サイト内の[[小沼純一]]のコラム「[http://cinefil-imagica.com/dvd/column/0022.html 第22回 ルグランそしてゴダール]」の記述を参照。</ref>などというセリフがあるように、アメリカ映画狂のゴダールが[[メトロ・ゴールドウィン・メイヤー|MGM]]のミュージカル映画から大量の引用を取り込み、[[イーストマンカラー]]のシネマスコープ([[フランスコープ]])で撮影されている。
 
1961年6月23日 - 7月4日、[[西ドイツ]]の[[ベルリン]]で行なわれた[[第11回ベルリン国際映画祭]]で、本作は[[金熊賞]]にノミネートされコンペティションで正式上映された。結果、アンナ・カリーナが[[銀熊賞 (女優賞)|銀熊賞最優秀女優賞]]をアンナ・カリ、ゴダ[[銀熊賞 (監督賞)|銀熊賞特別賞]]をゴダールが、それぞれ獲得した。ゴダールの銀熊賞受賞は、前年の[[第10回ベルリン国際映画祭]]での『勝手にしやがれ』から2年連続の受賞である。
 
1964年(昭和39年)99月18日には、[[アメリカ合衆国|アメリカ]]の[[ニューヨーク]]で行なわれた[[ニューヨーク映画祭]]で上映された。
 
== ストーリー ==
エミール(ジャン=クロード・ブリアリ)は、パリの小さな書店に勤める青年である。彼は、[[コペンハーゲン]]から来たばかりでフランス語の「R」がうまく発音できないストリップ・ダンサーのアンジェラ(アンナ・カリーナ)といっしょに暮らしている。ある日アンジェラが、突然、赤ちゃんが欲しいと言いだす。それも24時間以内に。ふたりは意見が合わず、アンジェラは、「それならほかの男に頼む」と啖呵を切る。エミールは動揺するが、勝手にしろと答えてしまう。
 
アンジェラもアンジェラで、彼女の住むアパルトマンの下の階に住む、駐車場のパーキングメーター係のアルフレード(ジャン=ポール・ベルモンド)に頼むと宣言する。アルフレードはなにかとアンジェラにちょっかいを出していた。ある日、アンジェラはついにアルフレードと寝てしまう。
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== エピソード ==
* [[ファイル:Jean-Luc_Godard_par_Philippe_Doumic.jpg|サムネイル|356x356ピクセル|[[ジャン=リュック・ゴダール]]]]セットの赤を基調としたセットのデザイン<ref name="小沼" />を手がけたのは、本作の2年後の1963年に製作された[[ジャック・ドゥミ]]監督の『[[シェルブールの雨傘]]』(1963年製作)で部屋ごとに色彩を変えてみせる[[ベルナール・エヴァン]]である。
 
* バーの場面に[[カメオ出演]]でバーに登場する女優[[ジャンヌ・モロー]]に、[[フランソワ・トリュフォー]]と撮影中の『[[突然炎のごとく]]』について、アルフレードを演じる[[ジャン=ポール・ベルモンド]]が尋ねるシーンが存在する。
* [[ファイル:Jean-Luc_Godard_par_Philippe_Doumic.jpg|サムネイル|356x356ピクセル|[[ジャン=リュック・ゴダール]]]]セットの赤を基調としたデザイン<ref name="小沼" />は、本作の2年後に製作されたドゥミの『[[シェルブールの雨傘]]』(1963年製作)で部屋ごとに色彩を変えてみせる[[ベルナール・エヴァン]]である。
* [[カメオ出演]]でバーに登場する女優[[ジャンヌ・モロー]]に、[[フランソワ・トリュフォー]]と撮影中の『[[突然炎のごとく]]』について、アルフレードを演じる[[ジャン=ポール・ベルモンド]]が尋ねるシーンが存在する。
* モローとベルモンドが主演した[[マルグリット・デュラス]]原作の『[[雨のしのび逢い]]』、トリュフォー監督の『[[ピアニストを撃て]]』に言及するセリフがあり、「早くしてくれ、テレビで『[[勝手にしやがれ (映画)|勝手にしやがれ]]』が見たいんだ」とのセリフも存在する<ref name="小沼" />。
* また喫茶店のシーンでベルモンドがカリーナに聞かせる女性と手紙の話は、1965年公開まま[[オムニバス|オムニバス作品]]『[[パリところどころ]]』の一篇『[[モンパルナスとルヴァロア]]』のストーリーであにそのまま使われている。
* アルフレードのフルネーム「アルフレード・リュビーシュ ''Alfred Lubitsch''」は、イギリス出身のアメリカの映画監督[[アルフレッド・ヒチコック]]の名とドイツ出身のアメリカの、同じく映画監督[[エルンスト・ルビッチ]]の姓を合わせたものである。
* 前年の1960年(昭和35年)に公開された[[ルイ・マル]]監督の『[[地下鉄のザジ]]』に主演した[[カトリーヌ・ドモンジョ]]は、「ザジ」のまま出演している。
* モローが登場するバーのオーナー役で出演している[[エルネスト・メンツェル]]は、本作でスクリーンに登場以来、ゴダールの「[[ジガ・ヴェルトフ集団]]」時代の『[[ウラジミールとローザ]]』(1970年)に至るまで、ゴダール作品の常連となる。
 
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* 編集 : [[アニエス・ギュモ|アニェス・ギユモ]]、[[リラ・エルマン]]
* 音楽 : [[ミシェル・ルグラン]]
* 挿入歌 : <br>『のらくらもの] ''Tu t'laisses aller'' (作・歌:[[シャルル・アズナヴール]]、編曲・演奏[[ポール・モーリア]]、1960年発売)<br>『アンジェラのシャンソン』 ''Chanson d'Angela'' (歌:[[アンナ・カリーナ]])
* スクリト・ガプタ : [[シュザンヌ・シフマン]]
* スチル写真 : {{仮リンク|レイモン・コシュティエ|fr|Raymond Cauchetier}}
* 助監督 : [[フランシス・コニャニー]]
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== キャスト ==
* ブリアリ : [[ジャン=クロード・ブリアリ]] (エミール・レカミエ)
* カリーナ : [[アンナ・カリーナ]] (アンジェラ)
* ベルモンド : [[ジャン=ポール・ベルモンド]] ([[アルフレッド・ヒッチコック|アルフレード]]・[[エルンスト・ルビッチ|リュビーシュ]])
;ノンクレジット
* {{仮リンク|マリー・デュボワ|fr|Marie Dubois}} (アンジェラの友人)
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[[Category:ミュージカル映画]] <!-- イタリア映画でもあるため残しておく。 -->
[[Category:フランスのミュージカル映画]]
[[Category:フランスの恋愛映画]]
[[Category:ジャン=リュック・ゴダールの監督映画]]
[[Category:パリを舞台とした映画作品]]