「公正証書」の版間の差分

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執行証書の淵源
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公証人の資格要件、職務範囲、人数、社会的地位などは[[法域]]ごとに様々であるが、大別すると、ラテン系公証人制度を採用する法域(日本、韓国、ドイツ、フランス、イタリア、ギリシャ、スペイン、メキシコなど)の公証人は、公正証書を作成することを主要な職務の一つとし、<ref>{{Cite web|url=http://www.koshonin.gr.jp/system/s02/s02_03|title=公証事務とは|accessdate=2020-07-22|publisher=日本公証人連合会}}</ref><ref>{{Cite web|url=https://www.notaires.fr/fr/profession-notaire/r%C3%B4le-du-notaire-et-ses-principaux-domaines-dintervention/lacte-authentique-du-notaire|title=L'acte authentique du notaire|accessdate=2020-07-22|publisher=フランス公証人会 Notaires de France}}</ref><ref>{{Cite web|url=https://notarycapetown.co.za/about-us/why-use-notary/#:~:text=A%20Notary%20Public%20is%20an%20attorney%20admitted%20and,a%20higher%20standard%20of%20care%20than%20an%20attorney.|title=WHY DO YOU NEED A NOTARY PUBLIC?|accessdate=2020ー07ー22|publisher=Le Roux Attonerys Inc.}}</ref>アメリカ合衆国([[ルイジアナ州]]及び[[プエルトリコ]]を除く。)などの公証人は、認証 ''certification''(他人が作成した文書を、確かにその他人が作成したと証明すること)に特化している。<ref>[[:en:Notary public|Notary public(英語版ウィキペディア)]]の節 ''Common law jurisdictions、''[http://www.koshonin.gr.jp/system/s03/s03_01 日本公証人連合会「公証制度」]</ref>非英語圏では「公正証書」に当たる語の英訳として ''notarial act'' を当てることも多く、現にこの辞典の日本語版、スペイン語版、フランス語版、ポルトガル語版なども言語間リンクを英語版の ''Notarial act'' との間に設定している。しかし、''notarial act'' には正式書式 ''public form'' と簡約書式 ''private form'' とがあるという説明が一般的であり、<ref>{{Cite web|url=https://legalspaintrans.com/legal-translation/translating-notary-terms-2-what-are-public-form-and-private-form-notarial-acts/|title=Translating notary terms 2: What are public-form and private-form notarial acts?|accessdate=2020-07-23|publisher=Rob Lunn Legal Trans}}</ref>このうち簡約書式の ''notarial act'' は他人が作成した文書を引用添付する方法で作成されるから、<ref>{{Cite web|url=https://notarialservices.com.au/public-vs-private-form/|title=Public vs Private Form|accessdate=2020-07-24|publisher=NOTARIAL SERVICES (SYDNEY)}}</ref>日本語でいう公正証書というよりは、むしろ認証に近い。そこで本記事では、公正証書の英語訳として ''notarial deed'' を当てる。
 
公正証書は、公的資格を持つ専門家である公証人が作成した証明文書であり、原本を当事者から中立の公証人が保管するため、行為の存否や瑕疵の有無が争われる危険性が低い。つまり、「契約に関わっていない」、「検討不十分なまま契約をした」、「誤解をしたまま契約をした」、「脅されて契約をした」、「日付が不正確である」などの主張は覆される可能性が高いため、そもそもそのような主張が出ないことが多い。つまり、公正証書は事実上(時には法律上<ref>例えば日本(民事執行法22条5号)やドイツ(民事訴訟法794条5号)では、一定の様式の公正証書に基づく権利であれば、裁判所の判決がなくても[[強制執行]]が可能になる。公正証書により証明される権利は、判決により証明される権利に近い確実性があると扱われていることになる。また例えば日本(任意後見契約に関する法律3条)や韓国(民法959条の14第2項)では、[[任意後見|任意後見契約 후견계약]] は公正証書によって契約をしなければ無効になる。任意後見契約は公正証書によらなければ証明できないと扱われていることになる。</ref>)高い証明力を有している。
 
公正証書として代表的なものは、契約公正証書、遺言公正証書、事実実験公正証書(じじつじっけんこうせいしょうしょ)である。<ref>{{Cite web|url=http://www.moj.go.jp/MINJI/minji30.html|title=公証制度について|accessdate=2020-07ー26|publisher=日本国法務省}}</ref>契約公正証書とは、当事者間の契約内容を記載した公正証書である。遺言公正証書とは、遺言者の遺言内容を記載した公正証書であって、当該法域で正規の方式の遺言と認められるものである。事実実験公正証書とは、公証人が自ら体験した事実を記載した公正証書であり、英語に直訳すると ''notarial record of experience'' などとなる。
 
契約公正証書が広く用いられる契約類型の一つに、不動産取引がある。ドイツでは、不動産所有権を譲り渡すこと又は譲り受けることを約束する契約は公正証書によらなければならない(民法311b条1項)。フランスでは、不動産登記所において公示される契約は公署方式 ''forme authentique'' によらなければならず(1955年1月4日のデクレ第55-22号4条1項)、公署方式の大部分は公正証書である。<ref>{{Cite journal|author=鎌田薫|year=1980|title=フランスにおける不動産取引と公証人の役割(一)|journal=早稲田法学|volume=56.1|page=45}}</ref>ブラジルでは、不動産所有者が他人に所有地の使用権を設定するには、公正証書により契約し、不動産登記所で登記しなければならない(民法1369条1項)。日本では、事業用定期借地権<ref>事業用建物を所有する目的で設定される土地賃借権又は[[地上権]]であって、賃借人に更新権及び建物買取請求権を放棄させるものをいう。なお、日本では、土地とその上の建物とは別個の不動産と取り扱われるが、他人の土地に勝手に建物を建ててもその建物が当然に土地所有者の物になる([[附合]])わけではないという点を除けば、西欧諸国の不動産法制との間に本質的な差異はない。</ref>を設定する契約は、公正証書によらなければならない(借地借家法23条)。
 
日本(民事執行法22条5号)やドイツ(民事訴訟法794条5号)では、一定の様式の契約公正証書に基づく権利であれば、裁判所の判決がなくても[[強制執行]]が可能になる。公正証書にこのような優遇を与える伝統は、[[シャルルマーニュ]]の時代にまで遡ることができる。<ref>{{Cite web|url=https://europeanconservative.com/2019/05/the-contribution-of-roman-law-to-modern-legal-systems/|title=The Contribution of Roman Law to Modern Legal Systems|accessdate=2020-08-02|publisher=the Center for European Renewal and the Center for Transatlantic Renewal|author=Hall, Eamonn G.}}</ref>
 
遺言公正証書は、多くの法域で認められている(例えば、イタリアの民法典603条)。上述したとおり、遺言公正証書は公証人が遺言者の遺言内容を証明する文書であるため、遺言の有効性を争われるおそれが小さい。また、公正証書による遺言が他の方式による遺言と比較して一定の優遇を与えられていることも多い。例えば日本及び韓国では、他の方式による遺言とは異なり裁判所での検認が不要である(日本の民法1004条2項、韓国の民法1091条2項)。