「プロスペクト理論」の版間の差分

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プロスペクト理論では、二種類の[[認知バイアス]]を取り入れている。
一つは、「確率に対する人の反応が線形でない」というものである。これは、期待効用理論のアノマリーで[[モーリス・アレ#アレのパラドクス|「アレのパラドクス」]]としてよく知られている。もう一つは、「人は富そのものでなく、富の変化量から効用を得る」というものである。これと同様のことを、[[ハリー・マーコウィッツ]]は1952年に指摘している。
 
== 実験 ==
プロスペクト理論の元となった実験は、カーネマンが「一つだけの質問による心理学(psychology of single questions)」と呼ぶ手法による。この手法は、心理学者の{{仮リンク|ウォルター・ミシェル|en|Walter Mischel}}が用いた方法を参考にしたものである。
 
例えば、以下の二つの質問について考えてみよう。
 
*'''質問1:'''あなたの目の前に、以下の二つの選択肢が提示されたものとする。
#選択肢A:100万円が無条件で手に入る。
#選択肢B:コインを投げ、表が出たら200万円が手に入るが、裏が出たら何も手に入らない。
 
*'''質問2:'''あなたは200万円の負債を抱えているものとする。そのとき、同様に以下の二つの選択肢が提示されたものとする。
#選択肢A:無条件で負債が100万円減額され、負債総額が100万円となる。
#選択肢B:コインを投げ、表が出たら支払いが全額免除されるが、裏が出たら負債総額は変わらない。
 
'''質問1'''は、どちらの選択肢も手に入る金額の[[期待値]]は100万円と'''同額'''である。にもかかわらず、一般的には、堅実性の高い「選択肢A」を選ぶ人の方が圧倒的に多いとされている。
 
'''質問2'''も両者の期待値は-100万円と'''同額'''である。安易に考えれば、質問1で「選択肢A」を選んだ人ならば、質問2でも堅実的な「選択肢A」を選ぶだろうと推測される。しかし、質問1で「選択肢A」を選んだほぼすべての者が、質問2ではギャンブル性の高い「選択肢B」を選ぶことが実証されている。
<!--
これら2つの選択肢の共通点は、「100万円の得をする可能性を含んでいる」ということである。-->
 
この一連の結果が意味することは、人間は目の前に利益があると、利益が手に入らないというリスクの回避を優先し、損失を目の前にすると、損失そのものを回避しようとする傾向([[損失回避性]])があるということである。
 
'''質問1'''の場合は、「50%の確率で何も手に入らない」というリスクを回避し、「100%の確率で確実に100万円を手に入れよう」としていると考えられる。また、'''質問2'''の場合は、「100%の確率で確実に100万円を支払う」という損失を回避し、「50%の確率で支払いを免除されよう」としていると考えられる。
 
==説明==
上の実験を説明するために、次のようにも考えられる。
:「価値の大きさは金額に比例しない。金額が2倍になると、価値は2倍にはならず、2倍弱(1.6倍ぐらい)になる」
こう考えると、「2倍の金額を半分の確率で得るよりも1倍の金額を確実に得る」ことの方が利益になるとわかる。また、「損害額を2倍にしても損害の価値(マイナス値)は2倍にはならない」のであれば、2倍の損害のリスクを半分の確率で負う方が利益になる、とわかる。
 
このように、「価値の大きさは金額に比例しない」というモデルを取ることで、説明が可能となる。
 
==モデル==