「信楽高原鐵道列車衝突事故」の版間の差分

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また、これとは別に近畿運輸局の認可を受けずに無断で信号設備を改修したとして、信楽高原鐵道とJR西日本の双方が[[鉄道事業法]]違反に問われ、先に確定していた。この刑事記録が後述の民事裁判で遺族弁護団の手に渡り、民事裁判で活用されることとなった<ref>{{Harv|遺族会|2005|pp=101-107}}</ref>。
 
=== 民事裁判 ===
刑事裁判ではJR西日本の関係者は起訴されず、遺族は失望の念を禁じ得なかった。また遺族の要請に応じ4度にわたり信楽高原鐵道・JR西日本合同で事故説明会を開催したが、信楽高原鐵道は社長の出席があったもののJR西日本の角田社長は出席に応じなかった<ref>{{Harv|遺族会|2005|pp=32-40}}</ref>こと、とりわけ第1回の事故説明会の開催直前にスクープされた月刊誌『[[プレジデント社|プレジデント]]』の記事<ref>{{Harv|佐野|1991}}</ref><ref>{{Harv|遺族会|2005|p=34}}</ref>の質問に対してJR西日本側の回答の歯切れが悪く遺族の心証を害したこと、しかも一周忌法要でのJR西日本角田社長の発言が遺族の心証を逆撫でしたこともあり、遺族会は特にJR西日本の法的責任を明らかにすべく、[[1993年]]10月14日、信楽高原鐵道及びJR西日本の両社を相手取って提訴した<ref>{{Harv|遺族会|2005|p=86}}</ref>。
 
[[1999年]](平成11年)3月29日、[[大津地方裁判所]]で両社の[[共同不法行為]]を認め、両社に対し過失認定判決が下された<ref group="判決文">大津地裁判決 1999年3月29日、判例時報1688号3頁、判例タイムズ1010号96頁</ref><ref>{{Harv|遺族会|2005|p=155}}</ref>。信楽高原鐵道は控訴せず、JR西日本のみが控訴したが[[2002年]](平成14年)12月26日、[[大阪高等裁判所]]はJR西日本の控訴を棄却。改めて同社の過失が認定された。JR西日本は上告せずその結果、信楽高原鐵道とJR西日本の両社の過失を認定する判決が2003年1月10日に確定した<ref group="判決文">{{Cite 判例検索システム |法廷名=大阪高裁 |事件番号=平成11(ネ)1954 |事件名=損害賠償請求控訴 |裁判年月日=2002年12月26日|url=http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/308/002308_hanrei.pdf }}、判例時報1812号3頁、判例タイムズ1116号93頁</ref><ref>{{Harv|鈴木|2004|p=218}}</ref><ref>{{Harv|遺族会|2005|pp=167-175}}</ref><ref group="注">マスコミには年内に控訴しない旨、記者会見を開いたが、遺族関係者は会見以前に電話で知らされたにとどまった。判決確定を受け、JR西日本の社長が正式に謝罪したのは判決確定後3ヶ月経った2003年3月15日のことである{{Harv|遺族会|2005|pp=171-175}}</ref>。
 
=== 補償金の分担 ===
信楽高原鐵道は3億円の賠償保険契約(車両損害保険を含む)を締結していたが、保険金の額はイベント開催で乗客が増加することが見込まれたにも関わらず増額されなかった<ref>{{Harv|網谷|1997|p=210}}</ref><ref group="資料">{{Cite web|url=http://kokkai.ndl.go.jp/SENTAKU/sangiin/120/1290/12005301290001c.html |title=参議院会議録情報 第120回国会 運輸委員会 第1号|date=1991-5-30 |accessdate=2015-06-24}}</ref>。補償費用を信楽高原鐵道単体で支弁することが資金面からほぼ不可能だったことから、JR西日本・信楽高原鐵道・信楽町・滋賀県の四者で協定を結んだ。JR西日本・信楽高原鐵道は、犠牲者補償にかかる費用と事故復旧にかかる費用とを協力して立て替えることにし、信楽高原鐵道に対しJR西日本は社員の応援、当面の費用の立替を行うことに合意した。また信楽町・滋賀県は職員の応援の他、信楽高原鐵道への資金面の応援を文面にじませた上で<ref group="注">実際には財政援助制限法の制約もあり滋賀県と信楽町は、犠牲者への補償金にあてる直接の貸付と、その貸付金の返済を行うための基金運用資金の無利子貸付を行った(影響の項を参照)。</ref>応援を行うことにした。この協定により犠牲者の補償に関しては信楽高原鐵道・JR西日本が双方折半して支払いを行うこととし、責任割合が確定した時点で事故復旧等費用とともに清算することとなった。
 
民事裁判の終結を受け補償金の総額は確定したものの、その負担割合についてはJR西日本・信楽高原鐵道双方で折り合いがつかなかった。2004年4月19日、JR西日本は[[大津簡易裁判所]]で[[調停]]を申し立て、合計17回、調停の場を持ったが調停不成立に終わった。それを受け、2008年(平成20年)6月14日、JR西日本は信楽高原鐵道と、同鉄道に出資している[[滋賀県]]や[[甲賀市]]に対し、先に四者で結んだ協定を根拠としてに約25億3000万円の支払いを求め[[大阪地方裁判所|大阪地裁]]に訴訟を提起した<ref group="報道" name= nikkei20080615 />。その内容は、被害者や遺族への補償に関係した費用等約55億7000万円のうち、JR西日本の責任割合を1割とし、JR西日本が過分に支払った額を返還するよう求めたものだった。裁判においてJR西日本は、事故の責任の大半が信楽高原鐵道側にあるためと主張してきた。この訴訟を受けて信楽高原鐡道の[[北川啓一]]顧問らはJR西日本の主張に対し、これまでの裁判でJR西日本にも責任があると指摘し、その主張は責任を認めていないも同然であると非難<ref group="報道" name= kyotonp20080626 />、滋賀県の[[嘉田由紀子]][[滋賀県知事一覧|知事]]は、「被災者補償も(JR西日本と信楽高原鐵道の)折半負担で終了しており、さらに負担することは県民の理解が得られない」とコメントした。
 
2011年4月27日、大阪地裁は過失割合についてJR西日本側が3割、信楽高原鐡道が7割とし、費用を精査した上でJR西日本に信楽高原鐡道への約11億1400万円の賠償請求権を認める一方で、JR西日本と滋賀県・甲賀市との間には損害担保契約が締結されていなかったとして、滋賀県や甲賀市に対する請求を棄却する判決を言い渡した<ref group="判決文">{{Cite 判例検索システム |法廷名=大阪地裁 |事件番号=平成20(ワ)7450 |事件名=求償債権等請求事件 |裁判年月日=2011年4月27日|url=http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/934/081934_hanrei.pdf }}</ref><ref group="報道" name= kyotonp20110510 /><ref group="報道" name= asahi20110427 /><ref group="報道" name= mainichi20110428 />。判決ではJR西日本側の過失を3割としたことについて、信楽高原鐡道の見切り発車を最大の過失とした上で、訴訟の争点となったJR西日本が設置した方向優先てこについて、現場を混乱に陥る原因であると改めて指摘した。またJR西日本の運転士については小野谷信号所に待機しているはずの対向列車がいないことを認識していたにもかかわらず、小野谷信号場下り出発信号に従って出発した点につき改めて注意義務違反を認定した。その他、JR西日本の信号システムに関する注意義務違反、教育・訓練の義務違反、報告義務及び報告体制確立義務違反も同時に認定している。なおJR西日本に請求権を認めた約11億1400万円については、JR西日本が請求根拠とした約55億7000万円のうち人件費などを控除した約50億円のうち、JR西日本が過分に負担した費用部分である。
 
この判決を受け訴えた側のJR西日本は控訴しない方針を示し、また信楽高原鐡道も2011年5月10日、臨時取締役会と臨時株主総会を開き控訴しない方針を決定・公表。判決は確定した。同時にJR西日本は、裁判で認められた信楽高原鐡道への賠償請求権を放棄することを表明した<ref group="報道" name= mainichi20110510 /><ref group="報道" name="Reuters_2011-05-10T09:27:23+0000" /><ref group="報道">「信楽鉄道事故 責任7割判決 SKR受け入れ」『朝日新聞』2011年5月10日付夕刊、大阪第4版、11面</ref><ref group="報道">「信楽事故訴訟 SKR控訴せず 事故20年 関連裁判終結へ 補償割合『7対3』」『京都新聞』2011年5月10日付夕刊、滋賀地方版第6版、1面</ref><ref group="報道">「信楽訴訟 JR西 全債権を放棄」『京都新聞』2011年5月11日付朝刊、滋賀地方版第16版、1面</ref>。
 
=== 民事裁判 ===