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『'''小説神髄'''』(しょうせつしんずい)は、[[坪内逍遥]](1859-1935)が著した小説論。[[文芸評論明治]]18年([[1885年]] - )9月から明治19年([[1886年]]([[明治]]18年 - 19年))4月かけて全9冊の分冊形式で松月堂から刊行された
 
上巻において、小説で大切なことはまず人情を描くことで、次に世の中の様子や風俗の描写であると論じ、下巻において具体的な方法を示す。
 
明治に入ってからの日本文学は、江戸の[[戯作]]の流れを汲む[[戯作文学]]か、西洋の思想・風俗を伝え啓蒙するための[[政治小説]]が中心だったが、『小説神髄』は道徳や功利主義的な面を文学から排して客観描写につとめるべきだと述べ、心理的[[写実主義]]を主張することで日本の近代文学の誕生に大きく寄与した。
 
== 内容 ==
=== 上巻 ===
* 緒言
* 目次
* 小説総論
** 美術とは如何なるものなりやといふ事につきての論
** 小説とは美術なりといふ理由
* 小説の変遷
** 小説の起原と歴史の起原と同一なりといふ事
** 真の小説の世に行はるゝ前にローマンスといへる一種の仮作物語の世にもてはやさるゝ事
** ローマンス衰へて演劇盛へ、小説盛へて演劇おとろへざるべからざる事
** 小説と演劇との差別
* 小説の主眼
** 小説の主眼は専らに人情にある事
* 小説の種類
** 模写小説と勧懲小説との差別
** 時代物語、世話物語等の事
* 小説の裨益
** 小説に四大裨益ありといふ事
 
=== 下巻 ===
* 小説法則総論
* 文体論
** 雅文体の得失
** 俗文体の得失
** 雅俗折衷文体の得失
* 小説脚色の法則
** 快活小説と悲哀小説との弁別
** 脚色の十一弊
* 時代物語の脚色
** 正史と時代物語との差別
** 時代物語を編述する者の心得
* 主人公の設置
** 主人公の性質
** 主人公の仮説法に二派ある事
* 叙事法
** 叙事に陰陽の二法ある事
 
== 書誌情報 ==
* {{Cite book |和書 |author=坪内逍遥 |title=小説神髄 |volume=上巻 |date=1885-03 |publisher=東京稗史出版社 }}
* {{Cite book |和書 |author=坪内逍遥 |title=小説神髄 |volume=下巻 |date=1885-03 |publisher=東京稗史出版社 }}
* {{Cite book |和書 |author=坪内逍遥 |title=小説神髄 |volume=上巻 |date=1886-05 |publisher=松月堂 |id={{NDLJP |871694}} }}
* {{Cite book |和書 |author=坪内逍遥 |title=小説神髄 |volume=下巻 |date=1886-05 |publisher=松月堂 |id={{NDLJP |871694}} }}
** {{Cite book |和書 |author=坪内逍遥 |title=小説神髄 |volume=上巻 |edition=再版 |date=1887-08 |publisher=松月堂 |id={{NDLJP |987668}} }}
** {{Cite book |和書 |author=坪内逍遥 |title=小説神髄 |volume=下巻 |edition=再版 |date=1887-08 |publisher=松月堂 |id={{NDLJP |987668}} }}
** {{Cite book |和書 |author=坪内逍遥 |editor=日本近代文学館編 |title=小説神髄 |edition=復刻版 |date=1968-12 |publisher=日本近代文学館 |series=名著複刻全集 近代文学館 }}
* {{Cite book |和書 |author=坪内逍遥 |title=小説神髄 |date=1926-02 |publisher=東京堂 |series=明治文学名著全集 第3篇 }}
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== 関連項目 ==
* [[坪内逍遥]]
* [[当世書生気質]]
* [[小説総論]]