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=== カキと食中毒 ===
古くから食べられてきたカキであるが、その一方で「あたる」食品(食材)としても知られている。カキの[[食中毒]]が注目されるのは非加熱状態で食べられる機会が多いことと関係している。
 
貝の身を食べることに関して、[[アサリ]]やハマグリ、[[シジミ]]、[[サザエ]]などは加熱してから丸のまま、[[ホタテ]]は[[貝柱]]で生で食べることはあるにしても、丸ごとでは焼いたり茹でたりしてから食べ、[[アオヤギ]]の小柱は[[軍艦巻]]などにしたり、舌の部分は湯振りしてから食べるのが基本等々だが、カキに関しては調理方法や食べ方については生食のケースが多いため、十分注意する必要がある。
 
現代の日本国内で流通している生食用のカキは、食中毒を極力回避するために生産・流通段階でいくつかの対策がとられている<ref>{{PDFlink|[http://www.pref.miyagi.jp/uploaded/attachment/69088.pdf 生かき生産管理における各作業工程の注意点] 宮城県}}</ref>。例えば、生食用として販売されるカキには加工基準が設けられ、カキそのものを対象として規格基準が設けられている。さらに、保存基準、表示基準も規定されている<ref>[http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/shokuhin/kaki/kaki01.html 生かきの衛生的な取扱い] 東京都福祉保健局</ref>。具体的には、加工基準としては、食品衛生法或いは厚生労働省通知に基づき
* 定期的な[[貝毒]]検査の実施<ref name="kaidoku"/>
* 大腸菌群最確数が一定以下の海域で採取されたもの
* それ以外の海域で採取されたものであって、[[大腸菌]]群最確数が一定以下の海水、または塩分濃度3%の人工塩水を用い、かつ、当該海水若しくは人工塩水を随時換え、浄化したもの
のどちらかであることが規定されている<ref>[http://www.pref.hiroshima.lg.jp/soshiki/58/1291003977219.html 広島かきの衛生対策] 広島県</ref>。また、規格基準としては、細菌数''E.coli''([[大腸菌]])最確数、''V. parahaemolyticus''([[腸炎ビブリオ]])最確数も規定されている。これらに加えさらに厳しい指導基準を各生産地域が設けている場合もある<ref>[http://www.pref.mie.lg.jp/NHOKEN/HP/76773045699.htm みえのカキ安心確保の取り組みについて] 三重県</ref>。なお、生食用カキの上記加工基準を満たすために、[[紫外線]][[殺菌]]された海水中や[[人工海水]]などを充分に循環させた環境下にて絶食状態として数日間飼育される場合がある。この場合、貝表面や貝内部に取り込まれた細菌の大部分を貝内から排出させほぼ無菌状態になることとは引き替えに、同様の処理がされていないものに比べ身が痩せてしまうこともあるので、加熱処理用のものよりも味が劣ることがある<ref>[http://mainichi.jp/life/food/hyoji/archive/news/2010/20101027ddm013100166000c.html 食品表示のおいしい読み方:/11 カキの「生食用」は新鮮なわけじゃない!? - 毎日jp(毎日新聞)]</ref>。
 
現代において、食中毒症状を引き起こす原因としては貝毒、[[細菌]]([[腸炎ビブリオ]]、[[大腸菌]]など)と[[ウイルス]](特に[[ノロウイルス]])がよく知られているが、どの原因も生育環境(海水)に由来するものであり、二枚貝特有の摂餌行動などによって貝内部、特に消化器官([[中腸腺]]など)に取り込まれ濃縮されるものである。
 
貝毒以外の食中毒の予防のために留意すべきことは、
* 十分に加熱することで食中毒を回避できる
* カキを含むいずれの二枚貝も、同様の処理で食用にする限り食中毒の危険度に関しては変わらない
という点である。
 
==== 貝毒 ====
{{main|貝毒}}
貝毒は貝が捕食する海水中の有毒プランクトンを蓄積したものである。対策として、生育海水中の植物プランクトンの種類および貝に含まれる毒が定期的に検査されている<ref name="kaidoku">[http://www.pref.miyagi.jp/soshiki/suikisei/kaidoku.html 貝毒対策] 宮城県</ref>(参照:[[マウスユニット]])。有毒プランクトンの発生し易い時期は3月から5月。広島県立総合技術研究所の研究によれば、濾過海水中で一定期間飼育することで、毒の量を規制値以下に減毒できるとしている<ref>{{Cite journal|和書|author=高田久美代 |author2=高辻英之 |author3=妹尾正登 |title=麻痺性貝毒により毒化したマガキのろ過海水中での蓄養による減毒 |date=2008-01-15 |publisher=公益社団法人日本水産学会 |journal=日本水産学会誌 |volume=74 |number=1 |naid=110006595212 |doi=10.2331/suisan.74.78 |pages=78-80 |ref=harv}}</ref>。
 
==== 細菌 ====
細菌は海水中に常時一定数存在するものであり、ごく少量であれば食中毒症状を引き起こすことはない。しかし、気候や水質、保存方法などによっては細菌が大量に増殖することもあり、生食する際には注意が必要である。なお、現代の日本国内の生食用カキの場合は上述のように流通段階では十分な対策が取られているが、実際には、食中毒原因菌である腸炎ビブリオ(''Vibrio parahaemolyticus'')、黄色ブドウ球菌(''Staphylococcus aureus'')<ref>清水晃、尾崎潤一郎、河野潤一ほか、[https://doi.org/10.14840/jsfm1984.8.135 魚介類および食肉からの黄色ブドウ球菌の分離と性状] 食品と微生物 Vol.8 (1991-1992) No.3 P.135-141, {{DOI|10.14840/jsfm1984.8.135}}</ref>、糞便性大腸菌群( Escherichia coli )<ref>[http://www.mac.or.jp/mail/080701/01.shtml 糞便系大腸菌群及び大腸菌について] 食品分析開発センター</ref>が検出される事があり<ref name=kasei.47N1>{{PDFlink|[https://www.kasei-gakuin.ac.jp/library/kiyou/zenbun/47N1.pdf 飲食物の安全性に関する細菌学的研究(第7報)-食用カキを対象として-]}} 東京家政学院大学紀要 第47号 p.1-10</ref>、残った少量の細菌を増殖させてしまうような環境で保存することの方が危険であると指摘されている<ref name=kasei.47N1 />。
; [[腸炎ビブリオ]]
: 20℃付近でおよそ10分間に1回と活発に分裂・増殖するが、15℃以下では増殖は抑制される。また、経口摂取によって感染症状を引き起こす際には生菌100万個程度が必要であるとされる。
: これらのことから、20℃以上の環境に数時間置いておくだけで食中毒を引き起こす可能性があると言えるので、家庭で調理する際には十分に注意されたい。夏期に海水温が20℃を超えるような時期はやはり[[食中毒]]の原因となりやすい。70度以上1分間の加熱でほぼ死滅するとされている。
; [[大腸菌]]
: 一般的には37℃付近でおよそ30分に1回と活発に分裂・増殖する。紫外線照射海水や清浄海水などの循環によって同菌への対策がなされている。75度以上1分間の加熱でほぼ死滅するとされている。
; [[赤痢菌]]
: 日本国内産についてはまず問題になることはないが、韓国では2001年にカキが原因で1,000人規模の罹患者を出した。この際、韓国産のカキが日本国内において、国内産として[[産地偽装]]され流通されていることが発覚した。
; [[黄色ブドウ球菌]]
: 食品中で増殖し加熱しても分解されない耐熱性の毒素(エンテロトキシン)を産生する。
 
==== ウイルス ====
; [[ノロウイルス]]
: 2000年頃より特に注目されている。ノロウイルス感染力は85℃以上で1分間以上加熱されることにより不活化するとされており、中心部まで十分に加熱することが重要とされる<ref>沸騰した湯で最低でも1 - 2分程度、約180度前後の油で4分以上揚げることで食中毒の危険性は大幅に軽減する。</ref>。
: 2001年-2003年の調査では、生食用カキの12.9%、加熱加工用カキの24.4%がノロウイルスで汚染されていた<ref>[http://www.fsc.go.jp/fsciis/attachedFile/download?retrievalId=kai20101112ik1&fileId=003 食品中のノロウイルスP13 (PDF)] - 食品安全委員会サイト内</ref>
: [[厚生労働省]]や[[保健所]]は二枚貝を内臓も含めて、食す際には内部まで十分に加熱調理するように、また調理の際に使用した器具の十分な洗浄を呼びかけている。感染原因<!-- 出典、カキのノロウイルス汚染経路に関する検討 感染症学雑誌第80巻第4 号など多数-->としては、感染者の排泄物に含まれるウイルスを下水処理場では十分に除去できないため、排水が流入する養殖海域で養殖される貝類などから検出されることが多い。免疫のない者(1年以内に感染していない者や、先天的に免疫ができない者)、抵抗力が弱い老人や子供などはウイルス感染を起こし、激しい感染性胃腸炎を引き起こす。通常1-2日で治癒するが、乳児・高齢者は重症となることがある<ref>[http://www.fsc.go.jp/fsciis/attachedFile/download?retrievalId=kai20101112ik1&fileId=003 食品中のノロウイルスP5 (PDF)] - 食品安全委員会サイト内</ref>。
: なお、ノロウイルスに関する情報として厚生労働省の公式サイト内にノロウイルスに関するQ&A<ref>{{Cite web
|date=2007-12-20 |url=http://www.mhlw.go.jp/topics/syokuchu/kanren/yobou/040204-1.html |title=ノロウイルスに関するQ&A
|work=食中毒に関する情報 |publisher=厚生労働省 |accessdate=2008-12-30 }}</ref>が用意されているので、こちらも参照されたい。
: 日本では報道により、「ノロウイルスと言えばカキ」という印象が広まり、特に2006年から2007年にかけて[[風評被害|ノロウイルス感染報道があるごとにカキの売上が減少]]した。
 
=== カキの食べられない月 ===
[[Fileファイル:Landingoftheoyster2008.jpg|thumb|the Whitstable Oyster Festival 2007 の初日のカキの水揚げ]]
産卵期にはカキは[[精巣]]と[[卵巣]]が非常に増大し、食用とはならない。一般にカキとして認識されている'''マガキ'''の場合は、グリコーゲン含量が増える秋 - から冬にかけてが旬とされており、英名に「R」のつかない月、すなわちMay, June, July, Augustの5、6、7、8月は産卵期であり食用には適さないとされている<ref name="kampoiyaku"/>。ただし、春から夏に旬を迎える'''イワガキ'''と呼ばれる種類のカキもあり、それぞれ養殖も盛んであることからマガキに限らないならば通年食べることができる。また、産地によっては、水温などの条件により旬が変わることもある。本来は冬が旬であるが、大型で夏でも生殖巣が発達しない「3倍体牡蠣」も開発され、市場に出ている。イギリスで開催されるカキのお祭り([[w:Whitstable Oyster Festival|Whitstable Oyster Festival]])に使われるカキもイギリスで養殖された日本のマガキで、開催されるのも夏である。カキの養殖により通年カキが手に入るため「R」のつかない月は、カキを食べないという習慣は英語圏で消えつつある。
 
=== 料理 ===
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; [[肥料]]
: 粉砕された殻が「かき殻石灰」などの名前で有機石灰の一種として供給される。[[消石灰]]と異なり、作物に有効な微量元素を多く含んでいる<ref>森本正則、守本信一、宮本信彦ほか、『ケイ酸入り牡蠣殻石灰粒状肥料の水稲施肥試験』 近畿大学資源再生研究所報告 (7), 57-61, 2009-03, {{naid|120003184680}}</ref><ref>[http://lib.ruralnet.or.jp/genno/yougo/gy247.html カキ殻(かきがら)] 月刊 『近代農業』 農文協データベース</ref>。ただし、成分として[[ナトリウム]]が含まれている事に注意する必要がある([[塩害]]を参照)。
 
=== カキと食中毒 ===
古くから食べられてきたカキであるが、その一方で「あたる」食品(食材)としても知られている。カキの[[食中毒]]が注目されるのは非加熱状態で食べられる機会が多いことと関係している。
 
貝の身を食べることに関して、[[アサリ]]やハマグリ、[[シジミ]]、[[サザエ]]などは加熱してから丸のまま、[[ホタテ]]は[[貝柱]]で生で食べることはあるにしても、丸ごとでは焼いたり茹でたりしてから食べ、[[アオヤギ]]の小柱は[[軍艦巻]]などにしたり、舌の部分は湯振りしてから食べるのが基本等々だが、カキに関しては調理方法や食べ方については生食のケースが多いため、十分注意する必要がある。
 
現代の日本国内で流通している生食用のカキは、食中毒を極力回避するために生産・流通段階でいくつかの対策がとられている<ref>{{PDFlink|[http://www.pref.miyagi.jp/uploaded/attachment/69088.pdf 生かき生産管理における各作業工程の注意点] 宮城県}}</ref>。例えば、生食用として販売されるカキには加工基準が設けられ、カキそのものを対象として規格基準が設けられている。さらに、保存基準、表示基準も規定されている<ref>[http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/shokuhin/kaki/kaki01.html 生かきの衛生的な取扱い] 東京都福祉保健局</ref>。具体的には、加工基準としては、食品衛生法或いは厚生労働省通知に基づき
* 定期的な[[貝毒]]検査の実施<ref name="kaidoku"/>
* 大腸菌群最確数が一定以下の海域で採取されたもの
* それ以外の海域で採取されたものであって、[[大腸菌]]群最確数が一定以下の海水、または塩分濃度3%の人工塩水を用い、かつ、当該海水若しくは人工塩水を随時換え、浄化したもの
のどちらかであることが規定されている<ref>[http://www.pref.hiroshima.lg.jp/soshiki/58/1291003977219.html 広島かきの衛生対策] 広島県</ref>。また、規格基準としては、細菌数''E.coli''([[大腸菌]])最確数、''V. parahaemolyticus''([[腸炎ビブリオ]])最確数も規定されている。これらに加えさらに厳しい指導基準を各生産地域が設けている場合もある<ref>[http://www.pref.mie.lg.jp/NHOKEN/HP/76773045699.htm みえのカキ安心確保の取り組みについて] 三重県</ref>。なお、生食用カキの上記加工基準を満たすために、[[紫外線]][[殺菌]]された海水中や[[人工海水]]などを充分に循環させた環境下にて絶食状態として数日間飼育される場合がある。この場合、貝表面や貝内部に取り込まれた細菌の大部分を貝内から排出させほぼ無菌状態になることとは引き替えに、同様の処理がされていないものに比べ身が痩せてしまうこともあるので、加熱処理用のものよりも味が劣ることがある<ref>[http://mainichi.jp/life/food/hyoji/archive/news/2010/20101027ddm013100166000c.html 食品表示のおいしい読み方:/11 カキの「生食用」は新鮮なわけじゃない!? - 毎日jp(毎日新聞)]</ref>。
 
現代において、食中毒症状を引き起こす原因としては貝毒、[[細菌]]([[腸炎ビブリオ]]、[[大腸菌]]など)と[[ウイルス]](特に[[ノロウイルス]])がよく知られているが、どの原因も生育環境(海水)に由来するものであり、二枚貝特有の摂餌行動などによって貝内部、特に消化器官([[中腸腺]]など)に取り込まれ濃縮されるものである。
 
貝毒以外の食中毒の予防のために留意すべきことは、
* 十分に加熱することで食中毒を回避できる
* カキを含むいずれの二枚貝も、同様の処理で食用にする限り食中毒の危険度に関しては変わらない
という点である。
 
==== 貝毒 ====
{{main|貝毒}}
貝毒は貝が捕食する海水中の有毒プランクトンを蓄積したものである。対策として、生育海水中の植物プランクトンの種類および貝に含まれる毒が定期的に検査されている<ref name="kaidoku">[http://www.pref.miyagi.jp/soshiki/suikisei/kaidoku.html 貝毒対策] 宮城県</ref>(参照:[[マウスユニット]])。有毒プランクトンの発生し易い時期は3月から5月。広島県立総合技術研究所の研究によれば、濾過海水中で一定期間飼育することで、毒の量を規制値以下に減毒できるとしている<ref>{{Cite journal|和書|author=高田久美代 |author2=高辻英之 |author3=妹尾正登 |title=麻痺性貝毒により毒化したマガキのろ過海水中での蓄養による減毒 |date=2008-01-15 |publisher=公益社団法人日本水産学会 |journal=日本水産学会誌 |volume=74 |number=1 |naid=110006595212 |doi=10.2331/suisan.74.78 |pages=78-80 |ref=harv}}</ref>。
 
==== 細菌 ====
細菌は海水中に常時一定数存在するものであり、ごく少量であれば食中毒症状を引き起こすことはない。しかし、気候や水質、保存方法などによっては細菌が大量に増殖することもあり、生食する際には注意が必要である。なお、現代の日本国内の生食用カキの場合は上述のように流通段階では十分な対策が取られているが、実際には、食中毒原因菌である腸炎ビブリオ(''Vibrio parahaemolyticus'')、黄色ブドウ球菌(''Staphylococcus aureus'')<ref>清水晃、尾崎潤一郎、河野潤一ほか、[https://doi.org/10.14840/jsfm1984.8.135 魚介類および食肉からの黄色ブドウ球菌の分離と性状] 食品と微生物 Vol.8 (1991-1992) No.3 P.135-141, {{DOI|10.14840/jsfm1984.8.135}}</ref>、糞便性大腸菌群( Escherichia coli )<ref>[http://www.mac.or.jp/mail/080701/01.shtml 糞便系大腸菌群及び大腸菌について] 食品分析開発センター</ref>が検出される事があり<ref name=kasei.47N1>{{PDFlink|[https://www.kasei-gakuin.ac.jp/library/kiyou/zenbun/47N1.pdf 飲食物の安全性に関する細菌学的研究(第7報)-食用カキを対象として-]}} 東京家政学院大学紀要 第47号 p.1-10</ref>、残った少量の細菌を増殖させてしまうような環境で保存することの方が危険であると指摘されている<ref name=kasei.47N1 />。
; [[腸炎ビブリオ]]
: 20℃付近でおよそ10分間に1回と活発に分裂・増殖するが、15℃以下では増殖は抑制される。また、経口摂取によって感染症状を引き起こす際には生菌100万個程度が必要であるとされる。
: これらのことから、20℃以上の環境に数時間置いておくだけで食中毒を引き起こす可能性があると言えるので、家庭で調理する際には十分に注意されたい。夏期に海水温が20℃を超えるような時期はやはり[[食中毒]]の原因となりやすい。70度以上1分間の加熱でほぼ死滅するとされている。
; [[大腸菌]]
: 一般的には37℃付近でおよそ30分に1回と活発に分裂・増殖する。紫外線照射海水や清浄海水などの循環によって同菌への対策がなされている。75度以上1分間の加熱でほぼ死滅するとされている。
; [[赤痢菌]]
: 日本国内産についてはまず問題になることはないが、韓国では2001年にカキが原因で1,000人規模の罹患者を出した。この際、韓国産のカキが日本国内において、国内産として[[産地偽装]]され流通されていることが発覚した。
; [[黄色ブドウ球菌]]
: 食品中で増殖し加熱しても分解されない耐熱性の毒素(エンテロトキシン)を産生する。
 
==== ウイルス ====
; [[ノロウイルス]]
: 2000年頃より特に注目されている。ノロウイルス感染力は85℃以上で1分間以上加熱されることにより不活化するとされており、中心部まで十分に加熱することが重要とされる<ref>沸騰した湯で最低でも1 - 2分程度、約180度前後の油で4分以上揚げることで食中毒の危険性は大幅に軽減する。</ref>。
: 2001年-2003年の調査では、生食用カキの12.9%、加熱加工用カキの24.4%がノロウイルスで汚染されていた<ref>[http://www.fsc.go.jp/fsciis/attachedFile/download?retrievalId=kai20101112ik1&fileId=003 食品中のノロウイルスP13 (PDF)] - 食品安全委員会サイト内</ref>
: [[厚生労働省]]や[[保健所]]は二枚貝を内臓も含めて、食す際には内部まで十分に加熱調理するように、また調理の際に使用した器具の十分な洗浄を呼びかけている。感染原因<!-- 出典、カキのノロウイルス汚染経路に関する検討 感染症学雑誌第80巻第4 号など多数-->としては、感染者の排泄物に含まれるウイルスを下水処理場では十分に除去できないため、排水が流入する養殖海域で養殖される貝類などから検出されることが多い。免疫のない者(1年以内に感染していない者や、先天的に免疫ができない者)、抵抗力が弱い老人や子供などはウイルス感染を起こし、激しい感染性胃腸炎を引き起こす。通常1-2日で治癒するが、乳児・高齢者は重症となることがある<ref>[http://www.fsc.go.jp/fsciis/attachedFile/download?retrievalId=kai20101112ik1&fileId=003 食品中のノロウイルスP5 (PDF)] - 食品安全委員会サイト内</ref>。
: なお、ノロウイルスに関する情報として厚生労働省の公式サイト内にノロウイルスに関するQ&A<ref>{{Cite web
|date=2007-12-20 |url=http://www.mhlw.go.jp/topics/syokuchu/kanren/yobou/040204-1.html |title=ノロウイルスに関するQ&A
|work=食中毒に関する情報 |publisher=厚生労働省 |accessdate=2008-12-30 }}</ref>が用意されているので、こちらも参照されたい。
: 日本では報道により、「ノロウイルスと言えばカキ」という印象が広まり、特に2006年から2007年にかけて[[風評被害|ノロウイルス感染報道があるごとにカキの売上が減少]]した。
 
== 日本における漁獲量 ==