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核酸医薬の現在の最新版より転載
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===== 細胞膜透過 =====
核酸医薬のような[[オリゴヌクレオチド]]は細胞にとって不要であるため細胞内への移行は大きく制限されると考えられている。一般的にオリゴヌクレオチドを含める[[高分子]]は主に[[エンドサイトーシス]]によって取り込まれる<ref>Nat Biotechnol. 2017 Mar;35(3):230-237. PMID 28244996</ref><ref>Nat Biotechnol. 2017 Mar;35(3):249-263. PMID 28244991</ref>。この場合、細胞内移行後も細胞膜を通過していないよく知られめ、オリゴヌクレオチドが[[細胞質]]や[[細胞|核]]に移行する可能性は非常に低い。一般的に酸医薬のエンドサイトーシスによって取り込まれた分子は[[エンドソーム]]へ輸送され、その後、[[加水分解酵素]]を含む[[リソソーム]]へ輸送され、分解され関わ。膜透過性の乏しい活性分子の透過性改善受容体目的として[[DDS]]下記分野では様々な方法が提唱されている。その多くは核酸医薬よう対しても適応されている。その一例しては[[コレステロール]]などの脂溶性化合物を利用した修飾があげられる。これは、水溶性高分子である核酸医薬の疎水性を増大することで、細胞膜との相互作用を高、結果的に細胞膜を介する輸送効率を高めることを目的としたものである。コレステロールの他には[[膜透過ペプチド]]や正電荷を有するアルギニン誘導体などを結合させる方法や[[リポソーム]]などの脂質微粒子やポリカチオンなども開発されている。核酸と細胞膜との相互作用の増大と膜構造不安定化により、核酸医薬の膜透過性改善は実現可能と考えられている。
{| class="wikitable"
! nowrap="nowrap" |受容体!! nowrap="nowrap" |リガンド!! nowrap="nowrap" |細胞
|-
|MSR1<ref>J Biochem. 1994 Nov;116(5):991-4. PMID 7534760</ref>||PO DNA||マクロファージ、樹状細胞
|-
|MAC-1<ref>Nat Med. 1997 Apr;3(4):414-20. PMID 9095175</ref>||PS DNA||多核白血球、マクロファージ、樹状細胞
|-
|MANB<ref>J Biol Chem. 2000 Oct 27;275(43):33655-62. PMID 10938276</ref>||calf thymus DNA||マクロファージ、B細胞
|-
|DEC-205<ref>Proc Natl Acad Sci U S A. 2012 Oct 2;109(40):16270-5. PMID 22988114</ref>||PS CpG DNA||胸腺上皮細胞、樹状細胞
|-
|AGER<ref>J Exp Med. 2013 Oct 21;210(11):2447-63. PMID 24081950</ref>||PS/PO CpG DNA||マクロファージ、内皮細胞
|-
|MRC1<ref>J Immunol. 2013 Dec 1;191(11):5615-24. PMID 24184555</ref>||PS CpG DNA||マクロファージ、樹状細胞
|-
|stabilin-1,2<ref>Nucleic Acids Res. 2016 Apr 7;44(6):2782-94. PMID 26908652</ref>||PS DNA||培養細胞
|}
細胞内移行後も細胞膜を通過していないため、オリゴヌクレオチドが[[細胞質]]や[[細胞核|核]]に移行する可能性は非常に低い。一般的にエンドサイトーシスによって取り込まれた分子は[[エンドソーム]]へ輸送され、その後、[[加水分解酵素]]を含む[[リソソーム]]へ輸送され、分解される。膜透過性の乏しい活性分子の透過性改善を目的として[[DDS]]の分野では様々な方法が提唱されている。その多くは核酸医薬に対しても適応されている。その一例としては[[コレステロール]]などの脂溶性化合物を利用した修飾があげられる。これは、水溶性高分子である核酸医薬の疎水性を増大することで、細胞膜との相互作用を高め、結果的に細胞膜を介する輸送効率を高めることを目的としたものである。コレステロールの他には[[膜透過ペプチド]]や正電荷を有するアルギニン誘導体などを結合させる方法や[[リポソーム]]などの脂質微粒子やポリカチオンなども開発されている。核酸と細胞膜との相互作用の増大と膜構造不安定化により、核酸医薬の膜透過性改善は実現可能と考えられている。
 
細胞膜の透過に関しては一本鎖のアンチセンス核酸と二本鎖のsiRNAでは異なる点がある。アンチセンスオリゴヌクレオチド核酸の場合は培養細胞の実験の場合は数100nMまで濃度を挙げると細胞内に取り込まれるが、二本鎖のsiRNAは取り込まれない。またアンチセンスオリゴヌクレオチド核酸はGapmer型アンチセンスでもスプライシング制御型アンチセンスであっても核内で機能するため[[核膜]]を通過する必要がある。siRNAは細胞質で作用するため核膜を通過する必要はない。
 
== 関連項目 ==