「ラシャイダ人」の版間の差分

|言語 =[[アラビア語ヒジャーズ語方言]]（[[アラビア語]]の方言）・[[ティグレ語]]

ラシャイダ人は、[[ベドウィン|ベドウィン族]]のうち[[紅海]]を挟んだ[[アラビア半島]]と[[アフリカ]]の両岸に居住した民族である、[[アラブ民族]]の{{仮リンク|バヌ・アブス|en|Banu Abs}}から枝分かれしたとされる<ref name="RPH">[http://www.madote.com/2010/02/eritrea-rashaida-people.html Rashaida People History], [[Niaz Murtaza]] The pillage of sustainablility in Eritrea 1998, p.177</ref>。ラシャイダは[[アラビア語]]の一方言である[[アラビア語ヒジャーズ語方言|ヒジャーズ方言]]を話している。また一部は[[ティグレ語]]を話すこともできる<ref name="RPH" />。ラシャイダ人は現在のエリトリアでは唯一の[[遊牧民]]的な習慣を維持している民族集団である<ref name="RPH" />。1996年のエリトリア政府の統計によれば、エリトリア国内に居住するラシャイダ人の[[人口]]は76,000人であり、エリトリア国民全体の2.4%を占める<ref name="RPH" />。

ラシャイダの一部はアラビア半島側に居住するが、一部は[[スーダン]]東部、[[エリトリア]]の北部海岸部及び[[ダフラク諸島]]に居住している。このラシャイダ人は[[1846年]]にアラビア半島での戦乱を避けスーダン北東部からエリトリアにかけて移住した<ref name="RPH" />。アフリカに移住したラシャイダはアラビア半島に居住していた時代の伝統的な[[衣服]]、[[文化]]、[[生活習慣]]及び[[イスラム教]][[スンニ派]]の[[信仰]]を維持している<ref>[http://weekly.ahram.org.eg/2005/775/tr41.htm Snap Shots], [[Al-Ahram]] Weekly, 29 December 2005 - 4 January 2006, Issue No. 775</ref>。 [[1951年]]以降[[エチオピア]]との連邦および支配下に入った際にはラシャイダの遊牧の習慣が[[エチオピア軍]]を刺激し、たびたび衝突が起きた<ref name="RPH" />。このため、[[エリトリア独立戦争]]の際にはラシャイダ人は[[エリトリア解放戦線]](ELF)に協力した<ref name="RPH" />。[[1990年代]]前半の独立以降エリトリア政府は[[遊牧]]の習慣があるラシャイダ人に対し、[[アスマラ]]の北西35マイル離れた[[シェエブ]]付近に定住地を定め[[農業]]に従事し定住するように指導している<ref name="RPH" /><ref name="NYT">[http://www.nytimes.com/1992/03/05/world/sheeb-journal-for-bedouins-of-africa-sands-are-running-out.html Sheeb_Journal;_For_Bedouins_of_Africa,_Sands_Are_Running_Out],NY Times(1992-03-05),2011-01-11閲覧。</ref>。しかしながらシェエブは本来の居住地から遠く、旧来の習慣から離れた農業従事による定住を選ばないラシャイダ人も多い。

ラシャイダ人はベドウィンの遊牧民的習慣を維持して生活している。[[ヤギ革]]製の[[テント]]で起居し、[[ヤギ]]や[[ヒツジ|羊]]の[[牧畜]]及び[[宝石|宝石類]]の加工を生業としている場合が多い<ref name="RPH" />。多くの者が文字が読めないため、牧畜に従事する者は飼育している動物の母系の系図をそれぞれについて8世代近くまで暗記する習慣を持つ<ref name="RPH" />。ラシャイダの女性は[[赤]]と[[黒]]が特徴的な衣服を身に纏い、顔を覆う[[ブルカ]]を5歳以上になると身につける<ref name="RPH" />。男女の自由な交際を認める文化がないため、[[結婚]]は多くの場合[[家族]]によって取りまとめられる<ref name="RPH" />。結婚の準備が整った、あるいは結婚を求める女性は、自分が結婚を望んでいる男性に対してのみブルカを外してその顎を見せる<ref name="RPH" />。結婚の際に花婿の家族は花嫁の家族に[[ラクダ]]100頭を贈るしきたりになっている<ref name="RPH" />。