「アストロサイト」の版間の差分

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アストロサイトの多数の突起の間に、近傍を走行する[[神経線維]]が配置される。[[脳]]や[[脊髄]]などの神経組織では、他の通常組織において支持のために存在する[[膠原線維]]は乏しく、神経線維の保持にはこのような支持細胞がその役を果たしている。
 
アストロサイトの更にもう一つの役割として、脳の血管[[基底膜]]に突起を接して、[[血液脳関門]]の閉鎖機能の維持に寄与している。また脳表面側では髄液脳関門を形成していると考えられている。<blockquote>なお、中枢神経組織内には、アストロサイト以外に、[[オリゴデンドロサイト]] (Oligodendrocyte; 希突起膠細胞)、[[ミクログリア]](Microglia)と呼ばれる三種類のグリア細胞が存在する。</blockquote>
 
なお、中枢神経組織内には、アストロサイト以外に、[[オリゴデンドロサイト]](Oligodendrocyte; 希突起膠細胞)、[[ミクログリア]](Microglia)と呼ばれる三種類のグリア細胞が存在する。
 
== 発見 ==
1846年、病理学者の[[ルドルフ・ウィルヒョー]](Rudolph Virchow)は、当時の組織染色技術では細胞の形を捉えることができなかった「神経の間を埋める何らかの物質」をグリア細胞として定義したのだろうと言われている。1858年、ウイルヒョーは、これが細胞であることをつきとめて、結合組織細胞と記載した。
 
グリア細胞は、[[カミロ・ゴルジ]](Camillo Golgi)が確立した[[ゴルジ染色法]]により、[[ニューロン]]と共に形態が明らかとなったが、1895年神経組織学者の[[ミカエル・レンホサック]]([[:en:Mihály_Lenhossék]])がアストロサイトと命名した<ref>http://plaza.umin.ac.jp/~beehappy/analgesia/basic-glia.html 痛みと鎮痛の基礎知識 グリア細胞
</ref><ref>https://bsd.neuroinf.jp/wiki/%E3%82%B0%E3%83%AA%E3%82%A2%E7%B4%B0%E8%83%9E 脳科学辞典 グリア細胞</ref>。
 
 
=== 細胞の構造 ===
[[ファイル:Astrocytes (40123548492).jpg|サムネイル|アストロサイト(赤い細胞)]]
アストロサイトは、GFAP抗体で染まるstem(幹)と呼ばれる部分と、これを囲むように細胞膜とアクチン細胞骨格からなる微細な突起が存在していると考えられている。
 
GFAPは中間径フィラメントであり、成熟アストロサイトのマーカーであるとされる。細胞体や幹となる部分の芯に存在する。
 
微細な突起状構造は役割や位置によってPAP(perisynapticPAP(perisynaptic astrocyte processes)processes) perivascular glial process と呼ばれ、アストロサイトの多彩な機能を担う実働部分であると考えられている。たとえばPAPでシナプスや樹状突起に触れ、神経細胞との相互作用を行う。PAPは細胞膜の80%を占める (Chao T.I. et al. 2002)。
PAPは太さ1μm未満や、50nm未満と定義されることもある。このように観察するにはあまりに細かな構造で、また分離することも困難であるため、生きた組織に対してPAPの構造や運動性についての直接的な研究はあまり進んでいない。また培養技術の開発が進んでいないことも研究を困難にしている。脳内から単離しアストロサイトのみを培養しようとすると、PAPの微細な構造は失われ、生体内とは全く異なる構造を取る (Reichenbach et al. 2010)。
PAPの少し膨らんだ部分や分岐する箇所にはミトコンドリアがあり、細胞体から離れた箇所においてもmGluR関連代謝等の機能を支えていると考えられている。