「ヤルンツァンポ川」の版間の差分

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当記事で仮リンク参照されるその記事en:Nyang Riverこそ、「ニャンチュー川」はニャン川であることを示していましたので、「ニャンチュー川」を除去しました。ワイリー方式: nyang chu
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'''ヤルンツァンポ川'''(ヤルンツァンポがわ、{{Bo|t=ཡར་ཀླུངས་གཙང་པོ་|z=Yarlung Zangbo|w=yar kLungs gTsang po}})、'''雅魯蔵布江'''({{lang-zh|雅魯藏布江}}、{{ピン音|Yǎlǔ Zàngbù Jiāng}})は、ローマ字表記では Yarlung Tsangpo、Yarlung Zangbo、Yarlung Zangbo Jiang、[[英語]]では Yalu Zangbu River などとして言及される、[[中国]]の[[チベット自治区]]で最も長い川{{sfn|Yue-man Yeung|Jianfa Shen|2004}}。名称のうち「ツァンポ」の部分は、おそらくはこの川が[[ウー・ツァン]]に発し、これを貫いて流れ、[[ラサ]]以西のチベットを横断することによっている。
 
'''ヤルンツァンポ川'''(ヤルンツァンポがわ、{{Bo|t=ཡར་ཀླུངས་གཙང་པོ་|z=Yarlung Zangbo|w=yar kLungs gTsang po}})、'''雅魯蔵布江'''({{lang-zh|雅魯藏布江}}、{{ピン音|Yǎlǔ Zàngbù Jiāng}})は、ローマ字表記では Yarlung Tsangpo、Yarlung Zangbo、Yarlung Zangbo Jiang、[[英語]]では Yalu Zangbu River などとして言及される、[[中国]]の[[チベット自治区]]で最である{{sfn|Yue-man Yeung|Jianfa Shen|2004}}。名称のうち「ツァンポ」の部分は、おそらくはこの川が[[ウー・ツァン]]に発し、これを貫いて流れ、[[ラサ]]以西のチベットを横断することによっている。なお、下流部は名称が変わる。
この川は、[[ブラマプトラ川]]の上流部を成している。[[カイラス山]]と[[マーナサローワル湖]]の南東に位置する西チベットの{{仮リンク|アングシ氷河|en|Angsi Glacier}}に発し、南チベット峡谷と{{仮リンク|雅魯蔵布大峡谷|zh|雅魯藏布大峡谷}}を刻んで流れ、[[インド]]の[[アルナーチャル・プラデーシュ州]]に至る。
 
== 海までの経路 ==
アルナーチャル・プラデーシュ州から下流は、一挙に川幅が広がり、シアング川 (Siang) と名を変える。[[アッサム州]]に達してからは、[[ブラマプトラ川]]となる。アッサム州に続いて、ラムナバザール (Ramnabazar) で[[バングラデシュ]]に入る。200年ほど前までは、そこから東流して{{仮リンク|バイラブ・ウパジラ|en|Bhairab Upazila}}近くで[[メグナ川]]に注いでいた。この古くからの流路は、徐々に干上がってきた。現在のおもな流路は、{{仮リンク|ジャムラ川 (バングラデシュ)|label=ジャムラ川|en|Jamuna River (Bangladesh)}}と呼ばれ、南流して、バングラデシュでは{{仮リンク|パドマ川|en|Padma River}}と呼ばれる[[ガンジス川]]に注いでいる。
ヤルンツァンポ川は[[チベット高原]]に端を発する河川で、世界で最も源流の標高が高い。チベット高原を離れると、ヤルンツァンポ川は世界地球上最も大規模で深い峡谷を刻み、雅魯蔵布大峡谷を形成している<ref name="100gogo">
 
[[チベット高原]]を離れると、ヤルンツァンポ川は世界でも最も大規模で深い峡谷を刻み、雅魯蔵布大峡谷を形成している<ref>
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</ref>。
 
ヤルンツァンポ川は[[ブラマプトラ川]]の上流部を成しているおり、[[インド]]の[[アルナーチャル・プラデーシュ州]]に至る河川である。アルナーチャル・プラデーシュ州から下流は、一挙に川幅が広がり、シアング川 (Siang) と名を変える。シアング川と名前を変えた後、[[アッサム州]]に達してからはすると、[[ブラマプトラ川]]と再び名称が変わる。ブラマプトラ川はアッサム州に続いて、ラムナバザール (Ramnabazar) で[[バングラデシュ]]入る。低地のバングラデシュでは文字による記録が残っている期間ですら流路が変化しており、200年ほど前までは、そこから東流して{{仮リンク|バイラブ・ウパジラ|en|Bhairab Upazila}}近くで[[メグナ川]]に注いでいた。この古くからの流路は、徐々に干上がってきた。現在のおもな流路は、{{仮リンク|ジャムラ川 (バングラデシュ)|label=ジャムラ川|en|Jamuna River (Bangladesh)}}と呼ばれ、南流して、バングラデシュでは{{仮リンク|パドマ川|en|Padma River}}と呼ばれる[[ガンジス川]]に注いでいる。なお、最終的にガンジス川は[[インド洋]]へと注ぐ
 
== 流域 ==
[[File:Brahmaputra River, Shigatse.jpg|thumb200px|leftthumbnail|right|[[シガツェ市]]を流れるヤルンツァンポ川。]]
[[File:Yarlung Tsangpo map.png|thumb200px|thumbnail|right|ヤルンツァンポ川の地図。]]
[[File:Yarlong Tsangpo.jpg|thumb200px|leftthumbnail|right|ヤルンツァンポ川の[[堆積物]]。]]
[[File:Yarlung Tsangpo river tibet.jpg|thumb200px|thumbnail|right|チベットを貫き、ふた2つの頂き、[[ナムチャバルワ]]と{{仮リンク|ギャラ・ペリ|en|Gyala Peri}}の麓を流れるヤルンツァンポ川。この写真の中心は、{{Coord|29.156|N|93.983|E|}}。]]
 
ヤルンツァンポ川は、世界で最も標高が高い大河である。支流の中で最も長いのは{{仮リンク|ニャン川|en|Nyang River}}である。おもな支流としては、[[ラサ川]]、ニャン川、{{仮リンク|パールンツァンポ川|en|Parlung Tsangpo}}がある。
以下の節では、ヤルンツァンポ川と呼ばれる部分についてのみ記述する。
 
=== 流路 ===
このヤルンツァンポ川は、[[ブラマプトラ川]]の上流部を成している。[[カイラス山]]と[[マーナサローワル湖]]の南東に位置する西チベットの{{仮リンク|アングシ氷河|en|Angsi Glacier}}に発し、南チベット峡谷と{{仮リンク|雅魯蔵布大峡谷|zh|雅魯藏布大峡谷}}を刻んで流れ、[[インド]]の[[アルナーチャル・プラデーシュ州]]に至る。<ref name="100gogo">
{{cite web
|url = http://www.100gogo.com/canyon.htm
|title = The New largest Canyon in the world - The Great Canyon of Yalung Tsangpu River (Tibet)
|publisher = www.100gogo.com
|accessdate = 2009-07-19
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|archive-url = https://web.archive.org/web/20080228081001/http://www.100gogo.com/canyon.htm
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</ref>、インドのアルナーチャル・プラデーシュ州に至る河川である。これより下流は名称が変わる。
 
ヤルンツァンポ川は、世界で最も標高が高い大河である。支流の中で最も長いのは{{仮リンク|ニャン川|en|Nyang River}}である。おもな支流としては、[[ラサ川]]、ニャン川、{{仮リンク|パールンツァンポ川|en|Parlung Tsangpo}}が挙げられる。
 
チベットでは、流出する河川は、長さ{{convert|1200|&nbsp;km|mi}}、幅{{convert|300|&nbsp;km|mi}}に達する南チベット峡谷を通る。この峡谷は、標高{{convert|4500|&nbsp;m|ft}}から、{{convert|3000|&nbsp;m|ft}}までを流れ下る<ref>{{cite book|title=Tibetan Geography |pages=30–31 |author=Yang Qinye |author2=Zheng Du |last-author-amp=yes |publisher=China Intercontinental Press |isbn=7508506650 |url=https://books.google.com/books?id=4q_XoMACOxkC&pg=PA30 }}</ref><ref>Zheng Du, Zhang Qingsong, Wu Shaohong: ''Mountain Geoecology and Sustainable Development of the Tibetan Plateau'' (Kluwer 2000), {{ISBN|0-7923-6688-3}}, p. 312;</ref>。流れ下るにつれ、寒冷な[[砂漠]]から乾燥した[[ステップ (植生)|ステップ]]へ、さらに[[落葉樹]]の低木が生育する地域へと、流域の植生は変化する。最終的に植生は、[[針葉樹]]や[[ツツジ]]の森に変化する。[[森林限界]]は、おおよそ標高{{convert|3200|&nbsp;m|ft}}である<ref>{{WWF ecoregion
|id=pa1022
|name=Yarlung Tsangpo arid steppe
|accessdate=2007-06-29
}}
</ref>。チベットの首都である[[ラサ]]の近郊では、堆積[[砂岩]]層には、磁気を帯びた鉱物も含まれており、過去に地球の磁界が変化した痕跡が残されている<ref name="eosweb">{{cite web|url=http://eosweb.larc.nasa.gov/HPDOCS/misr/misr_html/yarlang_tsangpo.html |title=Yarlung Tsangpo River in China |publisher=Atmospheric Data Science Center |accessdate=2007-06-27}}</ref>。
 
ヤルンツァンポ川が形成する盆地は、南側は[[ヒマラヤ山脈]]、北側は[[カイラス山|カン・リンポチェ(カイラス山)]]と[[ニェンチェンタンラ山脈]]に囲まれており、チベットの中でも北方の、より標高が高い地域よりも穏やかな気候に恵まれており、チベット自治区の人口の大部分は、この盆地に居住している。
 
ヤルンツァンポ・グランド・キャニオン (Yarlung Tsangpo Grand Canyon) とも呼ばれる雅魯蔵布大峡谷は、[[ナムチャバルワ]]付近で[[チベット高原]]から流れ出る際に馬蹄形状に流れが湾曲し、世界で最も深く、また最も長いと言えるかもしれない峡谷が刻まれているものであとされる<ref>{{cite web
|url=http://www.china.org.cn/english/MATERIAL/185555.htm
|title=The World's Biggest Canyon
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|accessdate=2007-06-30
}}
</ref>。最も大規模なもの瀑布は、「秘密の滝 (Hidden Falls)」と称され、[[1998年]]に至るまで西洋には広報されておらず、西洋人による目撃が「発見」と称されることも、短い期間ながらあった<ref>{{cite web
|url = http://www.tew.org/archived/waterfalls.html
|title = Fabled Tibetan Waterfalls Finally Discovered
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|dead-url = yes
|df =
}}</ref>。このような目撃は、初期にこの地域に接した西洋人たちが、[[チベット人]]の[[猟師]]や[[比丘|僧侶]]から話を聞かされながら、当時の西洋人探検家たちが発見できなかった大きな滝の発見とされたこともあった<ref>[http://www.tew.org/archived/waterfalls.html Compiled by Nima Dorjee (7 January, 1999). Fabled Tibetan Waterfalls Finally Discovered. ''World Tibet Network News. Published by The Canada Tibet Committee. Issue ID: 99/01/07''] {{Webarchive|url=https://web.archive.org/web/20070927205707/http://www.tew.org/archived/waterfalls.html |date=2007-09-27 }} (retrieved on 14 September 2008)</ref>。しかし、中国当局は、そのような主張に対して抗議し、中国側の[[地理学者]]たちが[[1979年]]以来、峡谷を探検し、[[1987年]]には滝の写真を[[ヘリコプター]]から撮影していたと指摘している<ref name="liquidthunder2">[http://outside.away.com/tsangpo/liquid_thunder_2.html Peter Heller (July 2002). Liquid Thunder. ''Outside Online''.] (retrieved on 14 September 2008)<br />
[http://ingles.sge.org/sge07/07/antonio_perez.asp Antonio Perezgrueso (undated). The Echo of Liquid Thunder.] (span. original: [http://www.sge.org/sge07/07/antonio_perez.asp Los ecos del trueno líquido]) ''Explorations and Expeditions'' on the English pages of the ''[[:es:Sociedad Geográfica Española|Sociedad Geográfica Española]]'' (retrieved on 14 September 2008)<br />
[http://www.louisville.edu/~pmboyl02/hiddenfalls.html ''Who found it first?''] no longer existing website, quoted without further information on [http://www.thelivingmoon.com/43ancients/02files/Shangri_La.html ''The Ancients. Shangri-La Found''] as: "Little attention was paid to the Chinese team that had been striking for the falls during that fateful trekking season. They claimed to have reached the falls before Baker but were ignored for the most part by everybody except their government who decided to close the gorge to westerners." (retrieved on 14 September 2008)</ref>。
 
[[File:YarlungZangbo5.jpg|thumb|ヤルンツァンポ川の[[ホワイトウォーター]](激流)。]]
== カヤックによる探検 ==
[[File:YarlungZangbo5.jpg|thumb|ヤルンツァンポ川の[[ホワイトウォーター]](激流)。]]
[[1990年代]]以降、ヤルンツァンポ川は、探検や{{仮リンク|ホワイトウォーター・カヤック|en|Whitewater kayaking}}での下降を試みる数多くのチームがやってくるようになった<ref>{{Cite news|url=http://www.tibethiddenfalls.com|title=Tibet Hidden Falls {{!}} The Hidden Lands of Tibet|accessdate=2017-03-16}}</ref>。この川は、その極限的な条件から、「川のエベレスト (Everest of Rivers)」と称されるようになった<ref name="outside.away.com">[http://outside.away.com/outside/system/pressroom/tsangpo_press_release.html Press release of successful kayak run]</ref>。<!--典拠の提示がない記述をコメントアウト:最初に[[カヤック]]による探検を試みたのは[[1993年]]の[[日本]]隊だったが、この時には、隊員の一人が落命する結果となった。-->
 
[[1990年代]]以降、ヤルンツァンポ川は、探検や{{仮リンク|ホワイトウォーター・カヤック|en|Whitewater kayaking}}での下降を試みる数多くのチームがやってくるようになった<ref>{{Cite news|url=http://www.tibethiddenfalls.com|title=Tibet Hidden Falls {{!}} The Hidden Lands of Tibet|accessdate=2017-03-16}}</ref>。この川は、その極限的な条件から、「川のエベレスト (Everest of Rivers)」と称されるようになった<ref name="outside.away.com">[http://outside.away.com/outside/system/pressroom/tsangpo_press_release.html Press release of successful kayak run]</ref>。<!--典拠の提示がない記述をコメントアウト:最初に[[カヤック]]による探検を試みたのは[[1993年]]の[[日本]]隊だったが、この時には、隊員の一人が落命する結果となった。-->
 
[[1998年]]10月、[[ナショナルジオグラフィック協会]]がスポンサーとなった遠征隊が、カヤックによる雅魯蔵布大峡谷の下降に挑んだ。予想外の水量にみまわれ、この遠征はカヤックのエキスパートだった{{仮リンク|ダグラス・C・ゴードン|label=ダグ・ゴードン|en|Douglas C. Gordon}}が命を落とす悲劇的な結果となった<ref>[http://www.shangri-la-river-expeditions.com/1stdes/yarlung/yarlung1998c.html Doug Gordon]</ref>。
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| accessdate = 2009-02-07}}</ref>。
 
== 脚注出典 ==
{{Reflist}}
 
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* [https://www.youtube.com/watch?v=OVeaiKW-zfU&t=139s 天河 第一集 源【The River From Heaven EP01】] - CNTVによるドキュメンタリー(中国語)
 
{{デフォルトソートDEFAULTSORT:やるんつあんほかわ}}
[[Category:中国の河川]]
[[Category:アジアの複数の国を流れる河川]]