「メコン川」の版間の差分

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表記
m 機械的で無意味な内部リンク除去。まだあるものの、時間も無いので、放置。あと、写真は、おおむね上流から並べてみた。
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|水系等級=
|水系=メコン
|延長=4,0234023
|標高=約 5,2005200
|流量=16,000
|観測所=
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}}
 
'''メコン川'''(メコンがわ、{{lang-en|Mekong River}}、{{lang-zh|湄公河}}​、{{lang-my|မဲခေါင်မြစ်််​}}、{{lang-lo|​ແມ່ນ້ຳຂອງ}}​、{{lang-th|แม่น้ำโขง}}、{{lang-km|ទន្លេមេគង្គ​}}​、{{lang-vi|Sông Cửu Long / 瀧九龍}})は、[[東南アジア]]を流れる[[国際河川]]である。東南アジアで最長<ref name="日経20200909">「[https://www.nikkei.com/article/DGXMZO63583320Y0A900C2FF8000/ メコン流域国 米中が綱引き/河川管理、中国主導に米反発]」『[[日本経済新聞]]』朝刊2020年9月9日(国際面)2020年10月4日閲覧</ref>[[アジア]]全体でも7番目さを持つ大河である
 
== 概要 ==
メコン川は[[チベット高原]]に源流を発し、[[中華人民共和国|中国]]の[[雲南省]]を通り、[[ミャンマー]]・[[ラオス]]国境、[[タイ王国|タイ]]・ラオス国境、[[カンボジア]]、[[ベトナム]]をおよそ4200キロメートル&nbsp;kmにわたって流れ、[[南シナ海]]に注ぎ込む、東南アジアで最長の河川である<ref name="日経20200909"/>([[河口]]一帯は[[https://www.nikkei.com/article/DGXMZO63583320Y0A900C2FF8000/ メコンデルタ]]と呼ばれる)。典型的な[[流域 米中が綱引き/河川]]の一つで管理数多くの中国主導に米反発]」『[[支流日本経済新聞]]がある』朝刊2020年9月9日(国際面)2020年10月4日閲覧</ref>。雨期には流量が増し流れが速いため、船の運航は非常に難しい。乾期には流量は減るものの、浅瀬が増えるため[[舶]]の運航が難しくなる。流域諸国が集まって協議する[[メコン川委員会]]で、メコン川の土砂を除去して貿易路に使うとの案が出されたものの土砂を除去してもすぐに土砂が堆積するため、この計画は頓挫した。なお、タイ、ラオス、ミャンマー、カンボジア、ベトナムの本流・[[支流]]周辺では、日用品の取引などの小規模な[[貿易]]が行われている。なお、河口付近は[[メコンデルタ]]と呼ばれ、数多くのヒトが居住している。
 
== 名称 ==
'''メコン'''の名は[[タイ語]]に由来する。'''メ'''('''メー''')は'''[[メーナーム]]'''(川)の短縮語、'''コン'''('''コーン''')の意味には諸説ある。有力な説は、コーン(Khong)は[[サンスクリット語]]のガンガ(ganga=[[ガンジス川]])の転訛とするもの。すなわち、メコンは(ガンジス川のように)偉大な川、大きな川と解釈する。タイ語ではโขง {{IPA-all|kʰǒːŋ|}}が'''[[ワニ]]'''を意味するが、この場合はคด {{IPA-all|kʰót|}} または โค้ง {{IPA-all|kʰóːŋ|}}の転訛だと一部で考えられている。どちらも川や道の屈曲点を意味する。
 
いずれの説を採用するにしても、'''メ'''という語に、既に川の意味が含まれているので、さらに「川」をつけるのは不自然とする立場から、'''メコン'''とのみ称することもある。
 
なお、東南アジアと[[南アジア]]の地域協力「{{仮リンク|メコン-ガンガ協力|en|Mekong–Ganga Cooperation}}」は、メコンとガンジス川の両方にちなんで名付けられた。
 
メコンは国際河川であるためのメコンは、地域や国ごとに異なった名前で呼ばれる。
 
*{{CHN}}
**[[中国語]]では、メコン川全体の総称は[[:zh:湄公河|湄公河]]({{ピン音|Méigōng hé}})で、湄公は'''メコン'''の音訳である
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== 生物相 ==
メコンとその流域は、世界的に見ても[[生物多様性|生物の多様性]]が最も特に豊かな地域の1つである。[[世界自然保護基金]](WWF)によると、発見された新種は2015年だけで163種、1997年以降の累計では2409種に達している<ref>{{Cite web|url=http://www.wwf.or.jp/activities/2016/12/1350220.html|title=メコン川流域で163種の新種を発見!最新報告を発表 |publisher=WWFジャパン|accessdate=2017-8-17}}</ref>。
生息が特定あるい推定されている[[魚]]の種は1200以上に上る。[[漁業]]はそれぞれの領域の経済活動の非常に重要な要素であり、約120種の魚が商業的に取り引きされていると推定され、食料として重要な[[蛋白質|タンパク源]]となっされている。これによってカンボジアとラオスの人口1人当たりの[[淡水魚]]の漁獲量が世界で最大規模となっている<ref name="ナショジオ201505">「[http://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/magazine/15/041900003/042000003/ ダム建設に揺れるメコン川]」『[[ナショナルジオグラフィック]]日本版』2015年5月号(2020年10月4日閲覧)</ref>。研究者によると、メコンは世界で最も巨大な魚の種が生息する川であるあり、顕著な例はメコンオオナマズである。
 
上流部では、流入する[[雪解け水]]により一定の流量があるため、比較的透明であり流れは速い。水質は[[水素イオン指数|pH]]6.9~89から8.2で、ほぼ[[中性]]の傾向を示し、[[栄養素]]レベルは低い。
下流域では特に[[雨季]]は赤茶色に混濁する。[[インドシナ半島]]に広く分布する[[赤土|紅土]]である[[ラテライト]]土壌の河岸を[[侵食]]するのが理由である。水質はpH6.2~62から6.5。
 
メコンは上流と下流の、異なった2つの[[生物相]]に分けられる。流れの速い上流では、魚類は[[ドジョウ]]、[[吸盤]]を持った[[ナマズ]]、[[コイ]]が支配的な種である。コイは流れの遅い中流部、下流部は鯉でも見られるものの、コイを除くと、[[メコンオオナマズ]]、および[[ハモ]]が支配的な種である。一部の魚類や[[哺乳類]]や[[爬虫類]]は重大な危機に直面しており、[[絶滅危惧種]]も多い。[[淡水]]に生息する[[イルカ]]([[カワゴンドウ|メコンイルカ]]は、かつて下流部では一般的に見られたが、[[治水]]と乱獲のため、現在ほとんど見かけることは非常に稀にられなくなっている。川の中や川の周りに生息している他の沼沢地哺乳動物としては、[[カワウソ]]と[[スナドリネコ]]が挙げられる。[[固有種]]の[[シャムワニ]]も、目撃例は非常に少なくなっている
 
== 水位・流量 ==
メコン流域は季節風の影響を受けるため、その水位や流量は、雨期である5月末〜10月にかけて最高となりを記録し、乾季の末の5月頃には最低となを記録する。メコンデルタ地方は、数千年にわたってメコン川が運んだ搬した土砂による[[堆積でできた平野]]であるために[[標高]]差がほとんどなく、流量の少ない[[乾季]]の末には南シナ海の[[潮汐]]の影響が顕著に現れる。満潮時と干潮時では、河口近くのヴァムケーンでは3m3&nbsp;m、河口から約100km100&nbsp;kmの[[ミートゥアン橋]]付近では2〜2.5m5&nbsp;m、約200km200&nbsp;kmの[[チャウドック]]でも1m1&nbsp;m程度の水位の変化が、潮汐のために見られ<ref>{{cite web||url=https://www.tj.kyushu-u.ac.jp/ja/society_connection/public_pdf/3412.pdf |title=ベトナム・メコン河下流域における水位変動特性 |format=PDF |publisher=上原克人 |accessdate=2015-03-24}}</ref>、[[感潮河川]]としての特色も強い。
 
&nbsp;
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[[パークセー]]の観測所で計測された月ごとの平均の流量 ([[立方メートル|m<sup>3</sup>]]/s)<br />
(13年間の平均は9000m9000&nbsp;m<sup>3</sup>/s)
 
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== メコンデルタ ==
{{seealso|メコンデルタ}}
メコン川はカンボジアの首都[[プノンペン]]の南で[[トンレサップ]]と合流し、本流とバサック川の2つの流れに分かれてベトナムへと流れる(雨季の間はトンレサップへも流れる)。メコン本流とバサック川は更に分岐と合流を繰り返し、[[農業]]、特に[[コメ]]の生産に欠かせない非常に肥沃なデルタを形成する。ベトナム語ではこれらの流れをまとめてソン・クー・ロン(九龍川)と呼ぶが、これはメコンが9つの流れ、9匹の[[龍]]になって南シナ海に注ぎ込むと考えられていたからであった。実際には、19世紀の初めには、デルタを構成する大きな流れは4本であることが知られていた。また現代のベトナムでは地方区分名として「メコンデルタ地方({{vie|v=Đồng bằng sông Cửu Long|hn=垌平瀧九龍}})」が存在する。
 
メコンはカンボジアの首都[[プノンペン]]の南で[[トンレサップ]]と合流し、本流とバサック川の2つの流れに分かれてベトナムへと流れる(雨季の間はトンレサップへも流れる)。メコン本流とバサック川は更に分岐と合流を繰り返し、[[農業]]、特に[[コメ]]生産栽培に欠かせない非常に肥沃なデルタを形成する。ベトナム語ではこれらの流れをまとめてソン・クー・ロン、すなわち九龍川と呼ぶが、これはメコンが9つの流れ、9匹の[[]]になって南シナ海に注ぎ込むと考えられていたからであった。実際には、19世紀の初めには、デルタを構成する大きな流れは4本であることが知られていた。また現代のベトナムでは地方区分名として「メコンデルタ地方({{vie|v=Đồng bằng sông Cửu Long|hn=垌平瀧九龍}})」が存在する。
メコンデルタは、5万5000[[平方キロメートル|km<sup>2</sup>]]の面積に1800万人の人口を抱える。ベトナムのメコンデルタ地方には、[[アンザン省]](Tỉnh An Giang)、[[ドンタップ省]](Tỉnh Đồng Tháp)、[[カントー]]中央直轄市(Thành phố trực thuộc trung ương Cần Thơ)、[[ヴィンロン省]](Tỉnh Vĩnh Long)、[[ハウザン省]](Tỉnh Hậu Giang)、[[ティエンザン省]](Tỉnh Tiền Giang)、[[ベンチェ省]](Tỉnh Bến Tre)、[[チャーヴィン省]](Tỉnh Trà Vinh)、[[ソクチャン省]](Tỉnh Sóc Trăng)、[[ロンアン省]](Tỉnh Long An)、[[キエンザン省]](Tỉnh Kiên Giang)、[[バクリエウ省]](Tỉnh Bạc Liêu)、[[カマウ省]](Tỉnh Cà Mau)が含まれ、前者1市8省がメコン川の流域内である(他の省も水路で接続はされている)。
 
メコンデルタは、5万500055000&nbsp;[[平方キロメートル|km<sup>2</sup>]]の面積に1800万人の人口を抱える。ベトナムのメコンデルタ地方には、[[アンザン省]](Tỉnh An Giang)、[[ドンタップ省]](Tỉnh Đồng Tháp)、[[カントー]]中央直轄市(Thành phố trực thuộc trung ương Cần Thơ)、[[ヴィンロン省]](Tỉnh Vĩnh Long)、[[ハウザン省]](Tỉnh Hậu Giang)、[[ティエンザン省]](Tỉnh Tiền Giang)、[[ベンチェ省]](Tỉnh Bến Tre)、[[チャーヴィン省]](Tỉnh Trà Vinh)、[[ソクチャン省]](Tỉnh Sóc Trăng)、[[ロンアン省]](Tỉnh Long An)、[[キエンザン省]](Tỉnh Kiên Giang)、[[バクリエウ省]](Tỉnh Bạc Liêu)、[[カマウ省]](Tỉnh Cà Mau)が含まれ、前者1市8省がメコン川の流域内である。なお、人工の水路を含めれば、さらに他の省も水路で接続されている
カンボジアのメコン流域の水位は、河口沖合の南シナ海の満潮時の潮位より低い。従って、満潮時にはメコンの流れはベトナムからプノンペンまで、海から逆流する。その結果、ベトナムの非常に平坦なメコンデルタ領域、特にカンボジア国境に近い[[アンザン省|アンザン]]や[[ドンタップ省|ドンタップ]]では氾濫しやすい。
 
カンボジアのメコン流域の水位は、河口沖合の南シナ海の満潮時の潮位より低い。従ってこのため、満潮時にはメコンの流れはベトナムからプノンペンまで、海から逆流する。その結果、ベトナムの非常に平坦なメコンデルタ領域、特にカンボジア国境に近い[[アンザン省|アンザン]]や[[ドンタップ省|ドンタップ]]では氾濫しやすい。
 
== 歴史 ==
メコンに関する最も古い文明の痕跡は紀元前2100年まで遡り、[[鉄器時代]]の文化が[[バーンチエン遺跡]]に残されている。外部の文明との交流の最も古い記録としては、クメール文明の[[扶南国]]の遺跡があり、ベトナムの[[アンザン省]][[オケオ]]の遺跡では1世紀頃の[[古代ローマ帝国]][[硬貨|ローマ帝国のコイン]]が発見されている。
 
最初にメコンに遭遇した[[ヨーロッパ人]]は、1540年の[[ポルトガル]]のアントニオ・デ・ファイラであった。1563年のヨーロッパの地図にはメコンについての記述が現れるが、ヨーロッパの関心は希薄だった。後になって、[[スペイン]]とポルトガルは[[キリスト教]][[宣教師]]を送り込み、布教と貿易のための探検隊を組織した。1641年から421642年には、[[オランダ]]のゲリット・ファン・ウィストフが遠征を行い、[[ビエンチャン]]に達した。
 
[[フランス]]は、19世紀中頃にこの地域への関心を強めた。1861年に[[サイゴン]]を支配下に置き、1863年カンボジアを[[保護国]]した。フランスのメコン探検隊がエルネスト・ドゥダール・デ・ラグレとフランソワ・ガルニエによって組織され、初めて系統的な探検が始まった(ガルニエ。この探検1866年から681868年にかけて行われガルニエは河口から雲南まで遡上している)。水源は、[[ロシア人]]探検家[[ピョートル・コズロフ]]によって1900年に発見明かにされた。
 
1893年から、フランスは川の支配域をラオスに広げ、20世紀の最初の10年間で[[フランス領インドシナ]]を設置した。日本軍の[[仏印進駐]]と[[太平洋戦争]]を経て、[[第一次インドシナ戦争]]に敗れたフランスの支配は終わったが、以降、この領域に[[アメリカ合衆国]]が深く関わることになるった。[[ベトナム戦争]]後、アメリカ合衆国が支持するタイ政府と、その他の国における新しい共産主義政権の間に緊張が続き、メコンの利用については協力関係を築けない状態が続いた。しかし、1957年には、流域諸国が集まって協議するメコン川委員会が創設されている
 
このほかに1995年には、ミャンマー以外の東南アジアの流域4カ国でメコン流域コミッション(MRC)が創設され、アメリカ合衆国の他にヨーロッパ諸国や米欧が本も支援してきた。さらにアメリカ合衆国このほか、メコン下流域開発(LMI)を通じた協力を2009年に開始し、2020年9月11日にはメコン-アメリカ・パートナーシップの初会合を開いた。これに対して中国は2015年、東南アジア5カ国と澜沧江-メコン川協力(LMC)を発足させた。こうした国際枠組みは流域の開発、[[治水]]や発電、農漁業のための水資源についての協力・対立という面だけでなく、東南アジアにおけるアメリカ合衆国と国との影響力争いという側面もある<ref name="日経20200909"/>。
 
== ダム ==
メコンの上流に位置する中華人民共和国とラオスは治水と[[水力発電]]のために多数の[[ダム]]を建設している<ref name="日経20200909"/>。
 
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== 環境問題 ==
メコンが現在直面している環境問題は、流域各国での水質汚染と過剰な漁獲、ダム建設と急流を緩和する治水工事、及び上流部を領有する中国による[[河川舟運]]を目的とした[[岩礁]]爆破などの地形改変である。多くのダムが既に川の支流に建設されているがおり、顕著な例ではタイ・[[ウボンラーチャターニー]]のパクマンダムが、環境への被害をもたらすとともに、地域住民の生活にも悪影響を与えると批判されている。
主流へのダム建設は、さらに深刻な影響を与える。中国はチベット周辺にあるメコン川主流へのダム建設の大規模なプログラム計画に着手している。[[1990年代]]に始まり既に1つ目の漫湾ダムをはじ3つのダム完成し、さらに12のダムを計画中である。
 
中国は[[雲南省]]からタイ、ラオス北部にかけての上流部でより大型の船舶が航行できるように、障害となる岩礁の破壊などを実施・計画している。こうした岩礁は魚や[[]]の繁殖場所になっておであり、生物の種類・生息数を減らすことが懸念されている<ref>{{Cite web|url=https://mainichi.jp/articles/20170804/ddm/007/030/076000c |title=【ASEAN50年】メコン川流域 中国主導の「水運開発」岩礁爆破に住民反発 |publisher=『[[毎日新聞]]』朝刊2017年8月4日(国際面) |accessdate=2017-8-18}}</ref>。
 
経済が未発達なカンボジアでは、食料供給の大部分を川に依存している。年に一度の[[氾濫]]は、メコンの支流である[[トンレサップ]]流域を肥沃化するために必要な、多量の水を供給している。氾濫がければ、この地域は乾いた[[]]だらけの生産力の低い土地となり、ひいては都市を維持することもできなくなる。トンレサップ生物保護区は、トンレサップ周辺領域を保護するために創設された。
 
メコンの下流に位置するを顧みない中国の姿勢をメコン川委員会の他国は非難し、ダム建設の中止を求めたが、空振りに終わった。最初の中国のダム建設以降、水位は低下し、捕らえられた魚は小さく、漁獲量は4分の1に減少した。[[チェンライ]]港の取引高は半分未満まで減少し、メコンイルカや[[マナティー]]を含む、多くの種が絶滅の危機にさらされるようになった。水位の低下によりフェリーが立ち往生するため、チェンライからルアンパバーンまでの航行は、以前の8時間から2日間を要するまでに伸びている。
現在でもこうした問題が発生しており、中国のダム建設が計画通り行われるとさらに深刻な影響を及ぼすことになる。下流域諸国は環境破壊と汚染に加え、低い水位が魚の遡上を妨げ、産卵ができなくなるという、川の閉塞問題にも直面する。中国政府は建設前に下流の地域に事前に警告することになっているが、遅ぎるか全くいことが多いという<ref name="ナショジオ201505"/>。
 
中国が岩石と砂洲を[[浚渫]]し、峡谷を爆破して流速を緩和する一方で、別の場所ではダムから放水を行うことにより、雨期-乾期という自然のサイクルを無視した一時的な水量の増加が、別の環境問題を引き起こす。この問題で、特に強くさらされい影響を受けているのはカンボジアである。カンボジアの農業生産は絶妙な水量のバランスの上に成り立っており、それが崩れることで、15世紀に[[クメール王朝]]を滅亡させた大規模な飢饉と壊滅的な洪水というシナリオの再現が危惧されている。メコン流域のラオスの都市やベトナムの[[ホーチミン市]]{{要出典|date=2015年3月|title=ホーチミン市のサイゴン川はメコン水系ではありません}}も低い水位<ref>[https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/20/021300095/ メコン川に大異変、世紀の低水位を記録、深刻な食料危機の恐れも 水が澄む「ハングリーウォーター」現象も発生、6000万人が頼る大河が岐路に] ナショナルジオグラフィック(2020年2月29日)2020年10月4日閲覧</ref>と汚染により、大きな打撃を受ける。
 
== その他 ==
ラオスの[[ヴィエンチャン]]やタイの[[ノンカーイ]]周辺のメコンでは、光を放つ球が水面から上昇する現象が起き、これはナーガ光球と呼ばれている。ナーガは蛇または龍の意味であり、現地ではパヤナーガ、すなわちメコンに住む龍が引き起こすもの現象だと考えられている。
 
== ギャラリー写真集 ==
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File:Mekong.jpg|ラオスにて
File:Svítání_nad_Mekongem,_pohled_z_Čiang_Khongu_po_proudu_řeky.jpg|メコンの夜明け。
File:Jinghong-view-of-mekong.jpg|中国、[[雲南省]][[シーサンパンナ・タイ族自治州]][[景洪市]]付近。
File:Ferry berth XaignabouriMekong.jpg|ラオス北部の[[サイニャブルアンパバリー県ン郡]]の船着き場夕刻のメコン
File:Mekong Luang Prabang.jpg|沿岸の[[ルアンパバーン]]の街並み。
File:Phou si - Mekong River - Luang Prabang Laos プーシーの丘、メコン川 ラオス・ルアンプラバーン DSCF6787.jpg|[[プーシーの丘]]から望むメコン川([[ラオス]] [[ルアンプラバーン]])。
File:Ferry berth Xaignabouri.jpg|ラオス、[[サイニャブーリー県]]の船着き場。
File:MekongSouthernLaos.jpg|ラオス南部。
File:Golden Triangel at Amphoe Chiang Saen.jpg|「[[黄金の三角地帯]]」として知られるタイの[[チエンセーン]]。
File:Mekong-GD.jpg|タイ国境付近。
File:Svítání_nad_Mekongem,_pohled_z_Čiang_Khongu_po_proudu_řeky.jpg|タイ王国北部の[[チエン郡]]で撮影した夜明けのメコン
File:Golden Triangel at Amphoe Chiang Saen.jpg|[[黄金の三角地帯]]として知られるタイの[[チエンセーン]]。
File:Old man on tonle sap.jpg|トンレサップ湖をボートで行く老人。
File:Water Dwelling Tonle Sap Cambodia.jpg|トンレサップ湖に浮かぶ[[水上生活者#カンボジア|水上集落]]。
File:Jump into Mekong.jpg|メコンに飛び込むカンボジアの少年。
File:Srepok Ban Don.JPG|支流の[[スレポック川]]を渡る[[象]](ゾウ。ベトナム、[[ダクラク省]]にて
File:Water Life in ChauDoc AnGiang.JPG|ベトナム、[[アンザン省]][[チャウドック]](後江)の水上家屋。
File:Mekong Delta Vietnam(1)CanThoFloatingMarket.jpg|メコンデルタにてベトナ、[[タン]]を運ぶの水上マーケット
File:CanThoFloatingMarketVN Mekong1 tango7174.jpg|メコンの水運でコメを運ぶ。ベトナム、[[ヴィトーロン省]]の水上マーケットにて
File:Ben do Ngang.JPG|最大の主要な支流の1つ、[[コーチェン川]]河口近く、[[チャーヴィン省]]ミーロン市社から[[ベンチェ省]]ロンホア社へ向かう渡し場。
File:VN Mekong1 tango7174.jpg|メコン川の水運で米を運ぶ(ベトナム、[[ヴィンロン省]]にて)
File:My Tho3.JPG|メコンデルタの街、[[ミトー]]。
File:Mekong Delta Vietnam(1).jpg|メコンデルタにて[[ランブータン]]を運ぶ。
File:Ben do Ngang.JPG|最大の支流の一つ、[[コーチェン川]]河口近く、[[チャーヴィン省]]ミーロン市社から[[ベンチェ省]]ロンホア社へ向かう渡し場。
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{{Commonscat|Mekong}}
{{ウィキプロジェクトリンク|河川|[[File:Icon river tributary R.svg|36px|Project:河川]]}}
* [http://www.wisdom.eoc.dlr.de The WISDOM Project, a Water related Information System for the Mekong Delta]
* [http://www.mrcmekong.org メコン川委員会] {{En icon}}
* [https://rsis.ramsar.org/ris/1926 Kut Ting Marshland | Ramsar Sites Information Service]
* [https://rsis.ramsar.org/ris/999 Middle Stretches of Mekong River North of Stoeng Treng | Ramsar]
 
{{DEFAULTSORT:めこんかわ}}
{{Normdaten}}