「実質金利」の版間の差分

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人々は利益や費用を名目的な貨幣の価値(名目値)ではなく、貨幣でどれだけモノが買えるかという実質(実質値)で考える<ref name="makro107">岩田規久男 『マクロ経済学を学ぶ』 筑摩書房〈ちくま新書〉、1996年、107頁。</ref>。企業は、在庫投資・設備投資を行うかを決める場合、名目金利ではなく、実質金利を参考にする<ref name="makro107" />。[[経済学者]]の[[飯田泰之]]は「企業(個人も含む)は実質金利という言葉を知らなくても、実質金利を考慮して投資額を決定している」と指摘している<ref>飯田泰之 『世界一シンプルな経済入門 経済は損得で理解しろ! 日頃の疑問からデフレまで』 エンターブレイン、2010年、205頁。</ref>。
 
=== フィッシャー方程式の厳密解 ===
厳密には、フィッシャー方程式の導出は下記方程式より、実質金利 × 期待インフレ率が 0 と近似できることを利用して導出する。導出方法の詳細は [[:en:Fisher equation]] を参照。
金利差を取るのは近似であり、厳密には、倍率 = 1 + 変化率 とした時に、以下の関係性が成立している。
 
:{{pre|1 + 名目実質金利の倍率(1 + 実質名目金利)の倍率 × (1 +÷ 期待インフレ率)の倍率}}
 
冒頭の例も、105万円の返済は、1年前の価値に直すには 1.04 で割り、105万円 ÷ 1.04 = 100.96万円であり、つまり、本当の実質金利は0.96%である。
上記の 1 を足しているのは変化率を倍率に変換していることを意味していて、つまり下記を意味している。数学的には、下記式の両辺の[[対数]]を取り、かけ算を足し算に変換して、倍率の対数として扱う方法もある。
 
上記の式は、倍率 = 1 + 変化率 より、以下のように変形できる。
:{{pre|名目金利の倍率 = 実質金利の倍率 × 期待インフレ率の倍率}}
 
:{{pre|1 + 名目金利の倍率 (1 + 実質金利の倍率) × (1 + 期待インフレ率の倍率)}}
 
そして、実質金利も期待インフレ率も 0 に近ければ、実質金利 × 期待インフレ率が 0 と近似できることより、式を展開して、実質金利 = 名目金利 ー 期待インフレ率 と近似できる。金利の引き算にした方が扱いやすいので、この近似が使われている。厳密解のまま引き算にしたい場合は、両辺の[[対数]]を取り、倍率の対数で扱えば割り算を引き算に変換できる。これらの導出方法の詳細は [[:en:Fisher equation]] を参照。
冒頭の例も厳密には 1.05 ÷ 1.04 = 1.0096 であり、これを 1.01 と近似しているのである。
 
==参考文献==