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[[File:Strata of Uenohara.JPG|thumb|200px|オレンジ色の[[鬼界アカホヤ火山灰]]を含む地層、鹿児島県[[霧島市]]の[[上野原遺跡]](鬼界カルデラから約120km)にて]]
'''テフラ'''({{Lang-grc|τέφρα}}、{{Lang-en-short|tephra}}、ギリシャ語で「[[灰]]」の意)とは、アイスランドの地質学者[[シグルズール・ソラリンソン]]によって定義された語で、[[火山灰]]・[[軽石]]・[[スコリア]]・[[火砕流]]堆積物・[[火砕サージ]]堆積物などの総称。火山灰などの[[火山噴出物]]中のケイ素酸化物{{chem|SiO|2}} の組成<ref name=geosoc.101.123>古澤明、「[https://doi.org/10.5575/geosoc.101.123 火山ガラスの屈折率測定および形態分類とその統計的な解析に基づくテフラの識別]」『地質学雑誌』 1995年 101巻 2号 p.123-133, {{doi|10.5575/geosoc.101.123}}</ref><ref>吉川清志、「[https://doi.org/10.5026/jgeography.99.7_743 ICP発光分析を用いたテフラの同定法とその応用]」『地学雑誌』 1990年 99巻 7号 p.743-758, {{doi|10.5026/jgeography.99.7_743}}</ref>や含有する微量元素を分析することで、起源となった火山の特定が行われる<ref name=geosoc.101.123 />。また、層厚と堆積面積によって噴火規模を推定する事が可能になる<ref name=jaqua.30.391>早川由紀夫、「[https://doi.org/10.4116/jaqua.30.391 テフラとレスからみた火山の噴火と噴火史]」『第四紀研究』 1991年 30巻 5号 p.391-398, {{doi|10.4116/jaqua.30.391}}</ref>。
 
シグルズール・ソラリンソンは[[アイルランド]]のヘクラ]]での研究を通し1944年に火山灰による地層の対比や[[編年]]を行う方法を提唱した<ref>藤則雄『日本先史文化入門』雄山閣出版、1979年、71頁</ref>。短期に広範囲の地層に痕跡を残す性質を用い、[[年代測定]]で噴出時期を求めた各テフラを編年の基準([[鍵層]])とし、各地の層序を共通の広域テフラによって結び付けていく研究は[[テフロクロノロジー]]に発展した。その成果は、噴出元の火山の噴火史を紐解くだけでなく、[[考古学]]・[[古生物学]]・[[地史学]]といった[[地質時代]]の研究に利用されている<ref>「[https://kotobank.jp/word/%E3%83%86%E3%83%95%E3%83%AD%E3%82%AF%E3%83%AD%E3%83%8E%E3%83%AD%E3%82%B8%E3%83%BC-672518 テフロクロノロジー]」、平凡社『百科事典マイペディア』『世界大百科事典 第2版』および小学館『デジタル大辞泉』(コトバンク収録)、2020年11月30日閲覧。</ref>。
 
== 定義 ==
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== 広域テフラ ==
{{See also|破局噴火#第四紀のVEI-7以上の噴火}}
[[File:Yellowstone volcano - ash beds.svg|thumb|250px|アメリカの4つの広域火山灰、[[:en:Huckleberry Ridge Tuff|Huckleberry Ridge]](2.1 Ma), [[:en:Mesa Falls Tuff|Mesa Falls]](1.3 Ma), [[:en:Bishop Tuff|Bishop]](767 ka), [[:en:Lava Creek Tuff|Lava Creek]](631 ka)。比較のため[[セント・ヘレンズ山]]の1980年噴火の分布も示す。]]
[[ファイル:Aso-4 tephra 90-85ka.svg|thumb|9万-8万5千年前の阿蘇4テフラ(Aso-4)]]
[[ファイル:Aira AT tephra 29-26ka.svg|thumb|2万9千-2万6千年前の姶良Tnテフラ(AT)]]
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=== 日本の代表的な広域テフラ ===
テフラ名:記号:噴出源:同時噴出の火砕流:年代の順に示す。
 
* 白頭山-苫小牧:B:B-Tm:[[白頭山]]:10世紀前半(941年頃)
* [[鬼界アカホヤ火山灰|アカホヤ]]:K-Ah,AK:AK:[[鬼界カルデラ]]:幸屋火砕流:7:7,300年
* [[姶良Tn火山灰|姶良Tn]]:AT::AT:[[姶良カルデラ]]:[[入戸火砕流]]:25,000:2万5千
* 支笏第1:1:[[支笏湖|支笏カルデラ]]:支笏火砕流:4:4万年
* 大山倉吉軽石:DKP::DKP:[[大山 (鳥取県)|大山]]:5:5万年
* [[阿蘇山|阿蘇カルデラ]]:Aso:Aso-4:4:阿蘇4火砕流:9:9万年
* [[鬼界カルデラ]]:喜界葛原(きかいとずらはら)火山灰:KTz:9:KTz:9.5万年
* 御岳第1:Pm1:Pm-1:1:[[御嶽山]]:なし:約10万年
* [[阿多カルデラ]]:Ata::Ata:阿多火砕流:約10万年
* [[洞爺湖|洞爺カルデラ]]:Toya::Toya:洞爺火砕流:約11万年
* 白尾(びゃくび)層:Byk-E:古[[御嶽山|御嶽]]:約77万4千年前 - [[松山‐ブリュンヌ逆転|松山-ブリュンヌ逆転]]の直下にあり地磁気逆転の証拠を提供する鍵層であることから、[[チバニアン]](774–129 ka)開始の基準となった層<ref>[https://www.gsj.jp/Muse/exhibition/archives/2020/2020_chibanian.html 地質標本館 特別展「祝チバニアン誕生!―国際境界模式層と地磁気の逆転とは?―」]ブックレット、p.3、産業技術総合研究所 地質調査総合センター、2020年7月17日改訂版。</ref>。
* 白尾(びゃくび)層:77万2700年前、[[御嶽山]]の元になった古御嶽<ref>{{Cite news |url=http://headlines.yahoo.co.jp/videonews/jnn?a=20150804-00000033-jnn-soci |title=地球史に「千葉時代」命名なるか “金の杭”候補地視察 |publisher=TBS系(JNN) |date=2015-08-04 |accessdate=2015-08-05 |archiveurl=https://web.archive.org/web/20150804162039/http://headlines.yahoo.co.jp/videonews/jnn?a=20150804-00000033-jnn-soci |archivedate=2015年8月4日 |deadurldate=2017年9月}}。同サイトによれば、地球磁場反転の目印となる層。</ref>。
* アズキ:[[猪牟田カルデラ]]:[[猪牟田カルデラ#今市火砕流|今市火砕流]]:約90万年
* ピンク:猪牟田カルデラ:[[猪牟田カルデラ#耶馬溪火砕流|耶馬渓火砕流]]:約100万年
<!--* Kd38恵比須峠-福田:不明::Kd38:恵比須峠火砕流:175:175万年→給源は不明ですが第三紀- [[更新世]]([[第四紀]])基底、[[鮮新世]]([[新第三紀]])との境界のテフラとして有名ですので掲載してはいかがでしょうか基準-->
 
== ギャラリー ==
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{{Commonscat|Tephra}}
* [[火山砕屑物]]
* [[テフロクロノロジー]]
* [[層序学]]
* [[第四紀学]]