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性帝 (会話 | 投稿記録)
OPL系とOPLL系を分割。「その他」からMA系を分割。
「ヤマハによれば」ではなく、周波数変調の波形がこのような数式で表されるのは数学的に当然のことです
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|description = [[ヤマハ・TXシリーズ|ヤマハ・TX81Z]](1987年)で演奏された様々な音色
}}
'''FM音源'''(エフエムおんげん)は、Frequency Modulation([[周波数変調]])を応用す方式による音色合成([[シンセサイザー|シンセサイズ]])の方式を用いた[[およびその音源]]。[[ジョン・チャウニング]]を中心として[[スタンフォード大学]]のCCRMA(Center for Computer Research in Music and Acoustics)で開発されたものを、[[ヤマハ|日本楽器製造(現・ヤマハ)]]がライセンスを受け実用化した<ref name="Yamaha40th-chap2">{{Cite web|url=https://jp.yamaha.com/products/contents/music_production/synth_40th/history/chapter02/index.html|title=ヤマハシンセ 40th Anniversary / ヒストリー / 【第二章】 FM音源の登場と音楽制作時代の幕開け|publisher=ヤマハ|date=2014|accessdate=2019-11-8}}</ref>。ヤマハによれば、実際にはPhase Modulation([[位相変調]])によって実装されている<ref>{{Cite web|url=https://jp.yamaha.com/products/contents/music_production/synth_40th/history/column/fm_tone_generation/index.html|title=ヤマハシンセ 40th Anniversary / ヒストリー / コラム / FM音源の原理|publisher=ヤマハ|date=2014|accessdate=2019-11-8}}</ref>。
 
基本波形の発振・変調をおこなう合成器(オペレータと呼ばれる)を複数組み合わせて音色を合成する。数学的には発振機構が[[二重振り子]]のような非線形演算に基づいているため、演奏に合わせて波形生成のパラメーターを変化させることにより倍音成分が大きく変化し、音色を劇的に変化させることが可能である。しかし、その挙動は[[カオス理論|カオス]]であるため、パラメータの変動による倍音変化は予測し難い。
 
それまでの[[減算方式]]の[[アナログシンセサイザー]]にはなかった複雑な[[倍音]]成分を持つ音色、特に[[エレクトリックピアノ]]や[[金管楽器|ブラス]]のほか、非整数次倍音を含む[[鐘|ベル]]系の金属的な音色の再現が特長とされる<ref name="Yamaha40th-chap2"/><ref>{{Cite web|url=https://jp.yamaha.com/files/download/other_assets/2/321732/read_fm.pdf|author=生方則孝|title=ボードで復活!!生方則孝のFM音源講座|publisher=ヤマハ|accessdate=2019-11-8}}</ref>。FM音源が奏でるきらびやかで金属的な響きは1980年代のポピュラー音楽に多く取り入れられ、当時を象徴するサウンドとも評されている<ref>Daniel J. Levitin, "''This is your brain on music''", Penguin Books, 2006</ref>。
 
FM音源の音色の発声を規義に要するパラメーターはの情報量がせいぜい数十[[バイト (情報)|バイト]]程度であり、[[記憶装置|計算量も専用LSIを利用すればさほど多くないことから、フルPCMによる波形メモリー]]のなどを潤沢に使えるようになる以前から、具体的には1980年前後から、専量を筆頭として要求LSIに実装されたものが[[計算資源シンセサイザー]]が比較的少なく等の音源機器の他に外販されて[[パーソナルコンピュータ]]、[[家庭用ゲーム機]]、[[携帯電話]]などに広く利用されている(詳しくは後述)。
 
== 概要 ==
 
=== 原理 ===
 
[[ファイル:2op FM.svg|thumb|right|FM合成器の接続例:モジュレータ(左)の出力でキャリア(右)を周波数変調]]
[[File:Phase-modulation.gif|250px|thumb|right|ヤマハによれば、FM音源は実際には位相変調によって実装されている。位相変調の例:モジュレータ (青) が キャリア (赤) を変調した結果、合成される信号波 (緑) を得る。 g(t) = π/2 * sin(2*2πt+ π/2*sin(3*2πt))]]
自然音のような動的に変化する複雑なスペクトルが、2つの発振器からの合成で現れる、'''変調合成'''の一手法である。FM合成器('''オペレータ''')のキャリアモジュレータいずれの波形正弦波であるとすると、合成される信号波 <math>FM(t)</math> は以下の式で表される。
 
自然音のような動的に変化する複雑なスペクトルが、2つの発振器からの合成で現れる、'''変調合成'''の一手法である。FM合成器('''オペレータ''')のキャリア、モジュレータの波形を正弦波とすると、合成される信号波 <math>FM(t)</math> は以下の式で表される。
 
:<math>FM(t) = A\sin(2\pi f_c t+\beta\sin(2\pi f_m t))</math>
:ここで <math>A</math>: キャリア振幅, <math>f_c</math>: キャリア周波数, <math>\beta</math>: 変調指数, <math>f_m</math>: モジュレータ周波数
 
FM合成で得られた出力のスペクトルは、<math>f_c \pm nf_m(n = 1, 2, 3, \cdots)</math>という、キャリアの周りに、モジュレータ周波数の整数倍で側波帯の倍音成分多数現れたものとなる。側波帯のが、ごく少ない倍音成分しか発生できない過去の方式と違う特徴である。一方でその振幅は[[ベッセル関数]]で表すことがされる複雑なものあるため、望むような音に直感的に調整しづらいのは難点でもある。
 
{{multiple image
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[[シンセサイザー]]や音源[[チップ]]では、複数個の合成器を直列あるいは並列につなぎ、様々な合成結果を得る。このつなぎかたを'''アルゴリズム'''と呼んでいる。また、[[ヤマハ]]による研究開発の過程で、出力をモジュレータに[[フィードバック]]するフィードバックFM手法が考案された。
 
=== 位相変調との関係 ===
 
時間を t[秒]とした数式による表現において、キャリアの波形を C(t)、モジュレータの波形を M(t) とすると、C(t+M(t)) のように、キャリアの位相をモジュレータで揺らしているような感じになっているのは、[[PD音源]]などにおける「[[位相変調]]」の実現方法と全く同じように見える。
 
しかし、周波数 <math>f</math>[Hz] の正弦波の波形が <math>\sin(2\pi ft)</math> であることからわかるように、'''周波数とは位相の変化する速度'''であり、ある瞬間の周波数はその瞬間における位相の変化する速度であるから、周波数変調はその速度を変化させることであり、その波形を理論的に表すものとして前述のような式になるのは、音源方式といったことを全く抜きに[[信号処理]]論からの結論である(英語版における[[周波数変調]]の記事に、全く同様の式がある。[[:en:Frequency modulation#Sinusoidal baseband signal]] を参照)。よって、実現方式などが要点である特許などはさておき、単に数式の上では(単なる数式は特許の範囲外である)、両者は同じもので、それにそれぞれ別の名前を付けたことについても理論的には問題は無い。
 
カシオがなぜ似て非なるではなく「似て同じなる」方式に別名を付け、またヤマハ側からの特に言及などもなく、結果的に両者が別方式として扱れることになったのかの経緯は不明である。
 
=== 応用と発展 ===