「メカゴジラの逆襲」の版間の差分

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== 概要 ==
前作『[[ゴジラ対メカゴジラ]]』で初登場して人気となった[[メカゴジラ]]をメインタイトルに据え、再登場させた作品。前作では敵怪獣はメカゴジラのみで、さらにゴジラには[[アンギラス]]や[[キングシーサー]]という味方怪獣もいたが、本作では強化改造されたメカゴジラII2と新怪獣[[チタノザウルス]]の2体にゴジラだけが立ち向かう。
 
『[[シン・ゴジラ]]』までのシリーズ全29作品のうち、タイトルにゴジラ以外のキャラクターだけがフィーチャーされた唯一の作品である{{efn|タイトルに「ゴジラ」の3文字こそ入っているものの、ゴジラ自身のことではない。}}。公開当時のポスターでは'''メカゴジラシリーズ第2弾'''とも記述されている{{R|東宝特撮映画大全集}}。前作と併せてメカゴジラ関連の玩具やキャラクター商品も多数販売され、当時のメカゴジラの人気がうかがえる事例となっている。
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シリーズは作品が制作されるごとに子供向けのヒーロー路線をたどっていったが、特に本作の「チタノザウルスに踏みつぶされそうになる子供が、ゴジラに助けを求める」というシーンがそれを如実に表している。その要因として、監督の[[本多猪四郎]]は子供ファンから「悪者にされてゴジラがかわいそうだ」や「ヒーローのゴジラを観たい」との多数の意見があったことを、本作の劇場パンフレットで挙げている。
 
敵役であるメカゴジラII2とチタノザウルスが街を襲撃するシーンなどが目立っており、主役であるゴジラは若干影が薄い存在となっている。これらは当時[[怪獣映画]]が斜陽期に差しかかっていたことを象徴している。実際に、本作が公開された1975年は洋画興行収入が邦画興行収入を越えた年であり{{R|キャリシャー}}、怪獣ブームも海外のSF映画の影響で下火になり始める。一方、本作は[[田中友幸]]が観客動員を増やそうと、大人向きに「初期のゴジラシリーズの雰囲気」を再度描くことを試みた{{R|キャリシャー}}。そのため、リアリティを追求する本多が監督に復帰しており、サイボーグ少女・桂の人間としての感情と冷たい機械の挟間での葛藤が盛り込まれるなど、全体的に重い人間ドラマの部分を強調した作劇がなされた。
 
本多による特撮映画の監督は、『[[ゲゾラ・ガニメ・カメーバ 決戦!南海の大怪獣]]』以来5年ぶりの作品となる。本編班と特撮班とに分けずに一班体制での制作が行われ、円谷組特撮カメラマンだった[[富岡素敬]]が本編カメラマンを兼任している。脚本はシナリオ学校の学生を対象としたコンペによって[[高山由紀子]]のものが選ばれ{{R|キャリシャー|特撮全史}}、本作はシリーズで初めて主要スタッフに女性が加わる作品となった。
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劇中音楽は、第1作ほか数多くのゴジラシリーズ作品を担当した[[伊福部昭]]。本作では、第1作目(1954年)のメインタイトルとして使われた曲が、かなりの編曲はなされているがメロディはほぼそのままでゴジラのテーマ曲として使われている。ただし、本来のテーマ曲「ゴジラの猛威」は使われていない。
 
前述の通りメカゴジラII2自体は人気を集めたものの、その人気は観客動員に結び付かず、ゴジラシリーズ観客動員数のワースト記録である97万人(これはシリーズ第1作『ゴジラ』の約10分の1の動員数)1)を記録したため、東宝は莫大な製作費を必要とするゴジラシリーズを一時休止させることを決定し、本作を最後に1954年公開の第1作から足かけ21年間続いた「昭和ゴジラシリーズ」は終了する。その後は1979年に一度、映画『ゴジラの復活』が企画され{{R|大辞典}}、紆余曲折を経て1984年に公開された『[[ゴジラ (1984年の映画)|ゴジラ]]』まで、9年間の休止となった。
 
アメリカでは、1978年に[[ユナイテッド・プロダクションズ・オブ・アメリカ|UPA]]の手で89分の[[テレビ映画]]として配給された。桂の乳房(本物ではない。詳細は[[#サイボーグ少女・桂]]を参照。)が写るシーンがカットされたほか、過去作品の映像で構成されたダイジェストが追加された。その後、ボブ・コーン・エンタープライズ (Bob Conn Enterprises) によって劇場公開されたが、子供向けにしようと考えた同社が[[映画のレイティングシステム#アメリカ|PG指定]]を懸念し、拳銃が写るシーンもすべてカットした{{R|キャリシャー}}。
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== ストーリー ==
1年前にゴジラとキングシーサーに敗れ、海に沈んだメカゴジラの残骸を調査していた潜水艦「あかつき号」が、「恐龍」という言葉を残して消息を絶った。それは15年前に学会を追放された真船信三博士が操る、[[チタノザウルス]]だった。海洋学者の一之瀬は乗組員の最期の言葉から、15年前に「自らが発見した恐龍を、自由にコントロールしてみせる」として学会から異端とにらまれ、学会を追われたのみならず人間社会からも迫害された真船博士の娘・桂(かつら)と接触を持つが、桂は「父(真船博士)は5年前に死んだ」と答え、追い返す。<br>
諦めきれない一ノ瀬は大学や研究機関を訪れて博士の足跡を辿るうち、偶然にも書庫の隅に紛れていたために処分を免れていた研究ノートを譲り受ける。そのノートに書かれていた真船博士の唱えた説と研究に感銘を受けた一之瀬は桂の元を再度訪ね、真船博士の説と研究の素晴らしさを直に伝える。これがきっかけとなり、一ノ瀬と桂は出会いを重ねるようになる。<br>
やがて、一之瀬と桂の間には恋愛感情が芽生えていくが、遅すぎた理解者と社会からも迫害された研究者の娘、この2人の出会いが新たな災いの火種となることを、当の二人は知る由も無かった。
 
あきらめきれない一ノ瀬は大学や研究機関を訪れて真船博士の足跡を辿るうち、偶然にも書庫の隅に紛れていたために処分を免れていた研究ノートを譲り受ける。そのノートに書かれていた真船博士の唱えた説と研究に感銘を受けた一之瀬は桂のもとを再、真船博士の説と研究の素晴らしさを直に伝える。これがきっかけとなり、一ノ瀬と桂は出会いを重ねるようになる。<br>
ブラックホール第3惑星人は真船博士と手を組み、[[天城山]]中の秘密基地でメカゴジラを修復し、[[メカゴジラ#『メカゴジラの逆襲』のメカゴジラ(メカゴジラII)|メカゴジラII]]として蘇らせていた。そして、恐龍コントロール装置実験中の事故によって死んだ桂を[[サイボーグ]]として蘇らせてメカゴジラIIと同調させ、真船親子を追放した人間社会に対する怒りをそのままメカゴジラIIの怒りとして利用しようと目論む。
 
やがて、一之瀬と桂の間には恋愛感情が芽生えていくが、遅すぎた理解者と社会からも迫害された研究者の娘、この2人の出会いが新たな災いの火種となることを、当の2人は知るよしも無かった。
翌日、ゴジラは[[横須賀市|横須賀]]に上陸したチタノザウルスと戦うが、チタノザウルスの尻尾の起こす強風に苦戦を強いられたうえ、メカゴジラIIまで現れたために窮地へおちいる。まもなく、メカゴジラIIの新必殺兵器「回転ミサイル」によって、ゴジラは生き埋めにされてしまう。一方、インターポールは真船博士の足跡を追い、ブラックホール第3惑星人の基地を突き止める。一之瀬は真船邸へ向かい、待ち構えていたブラックホール第3惑星人に捕まってしまうが、それでも一之瀬は桂を説得しようと奮闘する。一之瀬の必死の説得を受けた桂は自決し、生き埋めから復活したゴジラはメカゴジラIIを破壊してチタノザウルスを海に転落させる。一之瀬たちは桂の遺体を丘に寝かせると、海へ去っていくゴジラを静かに見守るのだった。
 
ブラックホール第3惑星人は真船博士と手を組み、[[天城山]]中の秘密基地でメカゴジラを修復し、[[メカゴジラ#『メカゴジラの逆襲』のメカゴジラ(メカゴジラII)2)|メカゴジラII2]]として蘇らせていた。そして、恐龍コントロール装置実験中の事故によって死んだ亡した桂を[[サイボーグ]]として蘇らせてメカゴジラII2と同調させ、真船親子を追放した人間社会に対する怒りをそのままメカゴジラII2の怒りとして利用しようと目論む。
 
翌日、ゴジラは[[横須賀市|横須賀]]に上陸したチタノザウルスと戦うが、チタノザウルスの尻尾の起こす強風に苦戦を強いられたうえ、メカゴジラII2まで現れたためにことから窮地おちいる。まもなくメカゴジラIIの新必殺兵器「回転ミサイル」によって、ゴジラは生き埋めにされてしまう。一方、インターポールは真船博士の足跡を追い、ブラックホール第3惑星人の基地を突き止める。一之瀬は真船邸へ向かい、待ち構えていたブラックホール第3惑星人に捕まってしまうが、それでも一之瀬は桂を説得しようと奮闘する。一之瀬必死の説得を受けた結果、桂は自我を取り戻して自決し、生き埋めから復活したゴジラはメカゴジラII2を破壊してチタノザウルスを海に転落させる。一之瀬たちは桂の遺体を丘に寝かせると、海へ去っていくゴジラを静かに見守るのだった。
 
== 登場キャラクター ==
* [[ゴジラ (架空の怪獣)#『ゴジラの逆襲』以降|ゴジラ]]
* [[メカゴジラ#『メカゴジラの逆襲』のメカゴジラ(メカゴジラII)2)|メカゴジラ(メカゴジラII)2)]]
* [[チタノザウルス]]
 
このほか、[[キングギドラ]]、[[ラドン (架空の怪獣)|ラドン]]、[[マンダ]]が桂の多くの人々の命を奪う怪獣を回想するシーン、[[キングシーサー]]がOPオープニングおいてそれぞれ過去の映像の流用で登場した。
 
=== ブラックホール第3惑星人 ===
前作でメカゴジラを操って地球征服を企んだ宇宙異星人。本作での素顔は前作での[[サル]]ではなく[[ケロイド]]状となっているうえ、ユニフォームは前作と異なりアンテナのようなものが付いたヘルメットを被っている。また、司令官ムガールは地球人に変装した顔が前作の黒沼とほぼ同じであるが、彼の左目尻に存在した[[痣]]は存在しない。
 
ブラックホール第3惑星の破滅が近づいていることを地球侵略の理由としていることが、作中の台詞からうかがえる。いかなる失敗を犯した部下にも容赦なく鞭を振り下ろし、強制的に処刑することもある。自分たちが捕えた地球人については、他の地球人に自分たちの秘密が露呈しないよう、喉を潰したうえで強制労働をさせている。「あかつき1号」の乗組員と共に捕えられ、労働させられていたインターポール捜査官・草刈は逃走したために射殺されてしまうが、それに先んじて彼は下水道工事をしていた山下に偶然出会い宇宙金属[[スペースチタニウム]]の欠片を渡していた。
 
新天城に地底基地を建造し、メカゴジラの残骸を改修してその2号機(メカゴジラII)2)を建造する。それに先んじ、地球人に恨みを持つ真船博士を利用するべく近づいており、かつて事故死した彼の娘の桂をサイボーグとして再生することで信用を得ていたうえ、桂にメカゴジラII2のコントロールシステムを組み込み、メカゴジラII2をより完璧な存在にしようと目論んでいた。そして、真船博士の操る怪獣チタノザウルスと共にメカゴジラII2で横須賀への攻撃(その際、天城の基地を捨てて真船邸に拠点を移した)ことを手始めとして、地球侵略作戦を実行に移す。計画は当初こそ上手く進み、両怪獣の猛攻で自衛隊とゴジラを徹底的に追い詰めるが、津田はその激闘観戦している最中に一之瀬に絞殺され、真船博士はムガール盾にされた挙句結果、インターポール捜査官の村越に銃殺される。その後、メカゴジラII2の機能を停止させようと桂が自決し、自分たちも地球人を奪還された結果、メカゴジラII2とチタノザウルスが戦闘不能に陥り、計画は土壇場で頓挫する。ムガールは相模湾の海底に隠していた3機の円盤に乗って宇宙へ逃げようとするが、ゴジラの放射熱線能火炎で円盤ごと撃墜される。
 
若かりし日の真船博士に接近して桂を再生するなど、前作と合わせて相当長期間、地球に潜入・活動していたことがうかがえる。ムガールも部下たちも地球人の原始的な文明や交通機関、東京の町並みの汚さを嘲笑しており、占領後の都市計画すら早くから用意している。真船博士には協力の見返りとして、占領・再開発後の「新しい東京1番地」に親子で暮らす豪邸を用意すると約束している。
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=== サイボーグ少女・桂 ===
恐龍(チタノザウルス)へ超音波を送る実験を行った際(時系列としては前作以前)に事故死した直後、ブラックホール第3惑星人の手によってサイボーグへ改造された女性。正体は真船博士の娘であり、当初はチタノザウルスを操る目的のみで改造されたが、メカゴジラII2の完成と同時に再改造され、そのコントロール装置を組み込まれる。最後は一之瀬の説得で人間の心自我を取り戻し、メカゴジラII2を止めるべく自決する。
 
* 本公開時の宣材写真には銀[[ラメ]]の衣装を着けた桂がゴジラやチタノザウルスの横で鞭を手に構えているものが存在するが、劇中ではこのような鞭は使っていない。桂を演じた[[藍とも子]]は本作のオーディション当時、[[藍とも子]]は特撮テレビドラマ『[[ウルトラマンレオ]]』([[TBSテレビ|TBS]]、[[円谷プロダクション|円谷プロ]])にMACの松木晴子隊員役で出演中であったため{{efn|チタノザウルスのスーツアクターを務めた二家本辰己も、同じく『ウルトラマンレオ』でウルトラマンレオのスーツアクターを担当している。}}ため、MAC隊員服のままでオーディションを受けている。
* 桂の手術シーンでは特殊造形による彼女の乳房が映るが、作り物とはいえ女性の乳房が映るのは、ゴジラ映画では唯一である。その撮影時、藍は「照明の暖かさと撮影準備に時間がかかったこともあって寝入ってしまった」と、[[Blu-ray Disc|BD]]に収録されたインタビューで語っている。1955年6月に[[海上日出男]]による初の総天然映画を予定していた検討用脚本『ゴジラの花嫁?』<!-- クエスチョンマーク付きは原文ママ -->にも、同様のシーンが存在する<ref>{{Cite book|和書 |editor = [[木原浩勝]]、清水俊文、中村哲 編|title = ゴジラ 東宝特撮未発表資料アーカイヴ プロデューサー・田中友幸とその時代|pages = 46-81 |date = 2004 |publisher = [[角川書店]] |isbn = 978-4-04-854465-8}}</ref>。後年、『[[EXテレビ]]』でゴジラ特集が組まれた際には、このシーンについて当時の他社の[[ロマンポルノ]]路線の影響ではないかとの説が唱えられていた{{信頼性要検証|date=2016-11-08}}。
 
桂の手術シーンでは特殊造形による彼女の乳房が映るが、作り物とはいえ女性の乳房が映るのは、ゴジラ映画では唯一である。その撮影時、藍は「照明の暖かさと撮影準備に時間がかかったこともあって寝入ってしまった」と、[[Blu-ray Disc|BD]]に収録されたインタビューで語っている。1955年6月に[[海上日出男]]による初の総天然映画を予定していた検討用脚本『ゴジラの花嫁?』<!-- クエスチョンマーク付きは原文ママ -->にも、同様のシーンが存在する<ref>{{Cite book|和書 |editor = [[木原浩勝]]、清水俊文、中村哲 編|title = ゴジラ 東宝特撮未発表資料アーカイヴ プロデューサー・田中友幸とその時代|pages = 46-81 |date = 2004 |publisher = [[角川書店]] |isbn = 978-4-04-854465-8}}</ref>。後年、『[[EXテレビ]]』でゴジラ特集が組まれた際には、このシーンについて当時の他社の[[ロマンポルノ]]路線の影響ではないかとの説が唱えられていた{{信頼性要検証|date=2016-11-08}}。
 
== 登場兵器・メカニック ==
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※以下ノンクレジット出演者
* 街の少年:[[梅津昭典]]{{R|中野}}
* 防衛隊幹部:[[熊谷卓三]]{{R|中野}}>
* ブラックホール第3惑星人:西原純、[[由起卓也]]{{R|中野}}
 
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* 造形助手:[[小林知己]]
 
== 映像ソフト化 ==
* [[DVD]]は前作『[[ゴジラ対メカゴジラ]]』とともに、『[[ゴジラ×メカゴジラ]]』の公開時期に合わせて2002年11月21日に発売された。字幕表示では、[[差別用語]]の部分を使わないよう配慮されている。真船博士の「私をキチガイ扱い……」という台詞が「私のことを信じず……」に変えられている。
** 2008年3月28日発売のトールケース版「ゴジラ DVDコレクションIII」に収録されており、単品版も同時発売された。
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== 漫画化作品 ==
* 公開に合わせ、[[古城武司]]によって『[[月刊少年チャンピオン|別冊少年チャンピオン]]』で読み切り漫画が掲載された。
 
== 脚注 ==
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=== 注釈 ===
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=== 出典 ===
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