「不変集合」の版間の差分

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==定義==
ざっくりいえば、''S'' が不変集合であるとは、''S'' の中から出発すれば、その[[軌道 (力学系)|軌道]]が出発すれば、その軌道はずっと ''S'' の中に留まるということである{{Sfn|齋藤|2004|p=47}}。[[常微分方程式]]で定義される連続力学系について考える。[[相空間]]を ''M'' とし、初期条件 ''x''<sub>0</sub> を満たす解([[フロー (数学)|流れ]])を ''&phi;''(''t'', ''x''<sub>0</sub>) で表す。ある部分集合 ''S'' &sub; ''M'' が連続力学系の'''不変集合'''であるとは、''S'' &sub; ''M'' が次のような条件を満たすことである{{Sfn|松葉|2011|p=113}}。
:''x''<sub>0</sub> を ''S'' に含まれる任意の点とする。このとき、全ての ''t'' &isin; '''R''' について ''&phi;''(''t'', ''x''<sub>0</sub>) は常に ''S'' に含まれる。
集合 ''S'' が上記の条件を満たすことを、単に「'''不変'''である」ともいう{{Sfn|ウィギンス|2013|p=15}}。[[写像]]で定義される離散力学系についても同様に不変集合が定義される。写像を ''g'' とし、初期条件を ''x''<sub>0</sub> とする写像の ''m'' 回反復繰り返しを ''g''<sup>''m''</sup>(''x''<sub>0</sub>) で表す。離散力学系の'''不変集合'''は、次のような条件を満たす部分集合 ''S'' &sub; ''M'' のことである{{Sfn|松葉|2011|p=113}}。
:''x''<sub>0</sub> を ''S'' に含まれる任意の点とする。このとき、全ての ''m'' &isin; '''Z''' について、''g''<sup>''m''</sup>(''x''<sub>0</sub>) は常に ''S'' に含まれる。
''S'' が ''C<sup> r</sup>'' 級[[可微分多様体]]であれば、''S'' を '''''C<sup> r</sup>'' 不変多様体'''という{{Sfn|ウィギンス|2013|p=15}}。不変集合が曲線の場合は'''不変曲線'''ともいう<ref>{{Cite book ja-jp |author=上田 睆亮 |title =カオス現象論 |series= 現代非線形科学シリーズ12 |publisher =コロナ社 |year =2008 |edition =初版 |isbn =978-4-339-02611-5 }} p. 81</ref>。時間(''t'' または ''m'')が正の場合について ''S'' が不変であれば、''S'' を'''正不変集合'''と呼び、時間が負の場合について ''S'' が不変であれば、''S'' を'''負不変集合'''と呼ぶ{{Sfn|ウィギンス|2013|p=15}}。
 
==性質==