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==ハートリー・フォック近似での交換相互作用==
最も簡単な場合として、2個の電子からなる系(2電子系)を考える。2電子系から多体系への拡張は近似と[[摂動]]を用いれば可能である{{要出典|date=2020年9月}}。電子は半整数のスピンを持つ[[フェルミ粒子]]なので、これは2スピン系と考えることもできる。また、フェルミ粒子なので[[フェルミ統計]]に従い、[[パウリの排他原理]]により、2つの電子が同じ状態を占有することは禁止される。また、外場(原子の[[ポテンシャル]]など)や[[スピン軌道相互作用]]などは考えないこととする。
 
2電子系における電子の[[波動関数]] ''Ψ'' は[[スレーター行列式]]で表すと、
 
{{Indent|<math> \Psi = {1 \over \sqrt{2} } [ \psi_1 (\boldsymbol{x}_1) \psi_2 (\boldsymbol{x}_2) - \psi_1 (\boldsymbol{x}_2) \psi_2 (\boldsymbol{x}_1) ] </math>}}
 
となる。''ψ''<sub>1</sub>、''ψ''<sub>2</sub> は2電子系のそれぞれの電子に対応する波動関数で、これは座標 ''r'' に関する部分(軌道関数)とスピン σ に関する部分(スピン関数)とに変数分離できる(座標 ''x'' は、''x'' = (''r'', &sigma;) である)。
 
この2電子系の[[エネルギー固有値問題]]を解くと、2電子系(スピンをそれぞれ ''s''<sub>1</sub>、''s''<sub>2</sub>とする)の固有状態として'''スピン一重項''' (''s''<sub>1</sub> + ''s''<sub>2</sub> = 0) と'''スピン三重項''' (''s''<sub>1</sub> + ''s''<sub>2</sub> = 1) という2つの状態が出てくる。スピン一重項では軌道関数部分が座標の置換に対して対称で、スピン関数が反対称となり、スピン三重項ではその逆となる。このことからスピン一重項状態とスピン三重項状態とで系のエネルギーに差が生じる。このエネルギー差を引き起こすのが'''交換相互作用'''である。
 
軌道関数を ''φ''(''r'') として、スピン一重項の場合上の式での軌道関数部分は、