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1896年（明治29年）6月、[[大蔵省]]に入省し、[[鑑定官]]に任じられた{{sfn|柳沢羊平|1997|p=367}}<ref name="jinjikoshinroku-4"/>。[[大蔵省専売局|専売局]]鑑定官・[[税関]]鑑定官を兼務し<ref name="jinjikoshinroku-4"/>、酒類・たばこの鑑定にあたった{{sfn|柳沢羊平|1997|p=367}}。1901年（明治34年）6月、ヨーロッパに出張し、各国の税務や醸造事業を調査した{{sfn|柳沢羊平|1997|p=367}}<ref name="jinjikoshinroku-4"/>。特に{{仮リンク|ベルリン醸造研究所|de|Versuchs- und Lehranstalt für Brauerei|en|VLB Berlin}}では醸造研究に従事し、組織や事業を調査した{{sfn|柳沢羊平|1997|p=367}}。1902年（明治35年）11月帰国した<ref name="jinjikoshinroku-4"/>。1903年（明治36年）、醸造試験所設立準備委員に任命され{{sfn|柳沢羊平|1997|p=367}}、その設立に寄与{{sfn|柳沢羊平|1997|p=367}}。1904年（明治37年）に醸造試験所が設立されると、大蔵技師の本務はそのままに初代事業課長に就任し{{sfn|柳沢羊平|1997|p=367}}、醸造技術研究の計画・指導にあたった{{sfn|柳沢羊平|1997|p=367}}。

日清戦争後の時期は、酒造業・酒造技術・酒税をめぐり大きな変化が見られた時期であった。古在由直をはじめとする醸造学者たちは、従来の経験的・秘伝的な醸造技術に代わり、科学的な醸造技術を普及しようとしたが、酒造家（とくに杜氏たち）からは「学者の酒造法」として敬遠されていた{{sfn|藤原隆男|1981|p=75}}。1901年（明治34年）1月、[[酒造税]]の第三次増税法案が第15回[[帝国議会]]に提出されると、法案への対応をめぐって、従来より利害が対立していた東北・関東・九州の酒造業者（地方の零細酒造業者）と灘五郷の酒造業者の対立が激化し、酒造業者の全国組織である全国酒造組合連合会（全酒連）は事実上の解体に至った{{sfn|藤原隆男|1981|p=71}}。酒造税の増税は結局可決され、担税当能力を高めることが求められた酒造業者は、醸造技術の改良に取り組むこととなった{{sfn|藤原隆男|1981|p=74}}。政府も酒造税の税源涵養のため、醸造技術の研究・普及・指導に目を向けた{{sfn|藤原隆男|1981|p=75}}。醸造試験所はこうした時代背景の下で設立された{{sfn|藤原隆男|1981|pp=75-76}}、矢部。1906年（明治39年）には醸造技術研究協会が設立され、会誌の計画・指導にあた発行、酵母（[[協会系酵母]]）の頒布、全国品評会（[[全国新酒鑑評会]]）や酒造講習会の開催を行った<ref>{{sfncite web|柳沢羊平url=https://www.jozo.or.jp/about/|1997title=日本醸造協会とは|ppublisher=367公益財団法人日本醸造協会|accessdate=2021-1-17}}</ref>。

1915年（大正4年）、財団法人[[日本醸造協会]]の設立に関わって理事となった{{sfn|柳沢羊平|1997|p=368}}。また同1915年（大正4年）には、酒造技術者の全国組織<ref>{{cite web|url=http://www.fushimi.or.jp/joyukai/history/about.html|title=伏見醸友会 100年の歩み|publisher=伏見醸友会|accessdate=2021-1-17}}</ref>である[[日本醸友会]]の結成に関与し、初代会長となった{{sfn|柳沢羊平|1997|p=368}}。1920年（大正9年）、農学博士の学位を授けられる<ref name="jinjikoshinroku-8"/>。