「ニコン」の版間の差分

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Chewbu (会話 | 投稿記録)
今結論を出すのは少し早いのではないでしょうか。
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=== 半導体露光装置 ===
 
[[半導体素子|半導体]]の製造に用いる露光装置である[[ステッパー]](縮小投影型露光装置)を[[1980年]](昭和55年)に日本で初めて製品化し、以後日本および世界市場で事業を行っている。
 
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2010年代に入ると経営悪化が深刻化したため、リストラで乗り切ることになった。[[2016年]](平成28年)には、半導体露光装置事業などで人員削減とArF液浸新モデルの開発縮小を発表<ref>{{Cite web|title=カメラ以上に苦境の半導体装置。ニコン復活の切り札はあるか|ニュースイッチ by 日刊工業新聞社|url=https://newswitch.jp/p/8145|website=ニュースイッチ Newswitch|accessdate=2020-12-01|language=|publisher=}}</ref>。半導体装置事業は2018年度に黒字化した。
 
ニコンが2002年に経営危機に陥った際、半導体世界最大手(当時)の米インテル社が露光装置の開発費100億円を負担した経緯もあって、2000年代以降はインテル社に半導体露光装置部門の経営を依存している。ニコンの市場シェアが下がり続け、2010年代以降に経営が悪化する中でも、インテルだけは頑なにニコンの露光装置を使い続けていた。キヤノンが2014年にArFの開発から撤退してKrFとI線に絞ったのに対し、ニコンはシェアは低いながらも2014年当時で世界最先端であるArF液浸の開発を続けており、2014年には当時世界最先端である14nm世代のArF液浸露光装置をインテルに納入した。しかし2010年代後半より、インテルの競合他社がオランダの[[ASML]]社の製造した7nm世代(またはそれ以降)のEUV露光装置を導入するなか、頑なにニコンの14nm/10nm世代のArF液浸露光装置を使い続けるインテルの業績は悪化し、2018年には半導体世界2位に転落。インテルも7nm世代ではASMLのEUV露光装置を導入することになり、2020年にはニコンからインテルへの露光装置の納入が半減。同時に半導体装置の7~9割がインテル向けであるニコンの業績も悪化している<ref>[https://www.nikkei.com/article/DGXMZO66359780Y0A111C2I00000/ ニコン、リストラ着手に潜むIntelリスク]: 日本経済新聞</ref>。
 
[[2019年]](令和元年)現在のニコンの半導体露光装置を出荷額ベースのシェアを、光源波長ごとに見た場合、ArF液浸では5.7%、ArFドライでは61.7%、Krfでは2.6%、[[紫外線]]を用いたi線では12.8%の市場シェアを持っている<ref>{{Cite web|title=半導体装置市場、報じられない地殻変動…カギ握る台湾TSMCの動向、中国市場の挙動不審|url=https://biz-journal.jp/2019/11/post_126627.html|website=Business Journal |accessdate=2021-03-06|language=ja|first=湯之上|last=隆}}</ref>。キヤノンがKrFとI線で世界シェア1位、ニコンはArFドライで世界シェア1位、ASMLがEUVとArF液浸で世界シェア1位と、微細化の世代によってメーカーですみ分けている。一方、同年の出荷額ベースのシェアを全体でみた場合、ASMLが81.2%(1位)、キヤノンが11.0%(2位)に対し、ニコンは5.9%(3位)となっている。露光装置市場におけるニコンは、技術ではASMLに、低価格と短納期ではキヤノンに劣る中途半端な立ち位置となっており、ASMLどころか微細化の世代で劣るキヤノンにすら出荷額では抜かれている。
 
EUVに関しては、1986年に[[日本電信電話公社]]の[[木下博雄]]が提案した次世代露光技術の一つである[[極端紫外線リソグラフィ|極端紫外線]](EUV)の開発を、日本の国家プロジェクトとして1998年より[[超先端電子技術開発機構]](ASET)・[[日立製作所|日立]]中央研究所]]と合同で進めていたが、EUVの実用化までの道のりはあまりに遠く、装置自体の高いコストと重厚長大さなどの問題も明らかになって「[[コンコルド効果|コンコルドの誤謬]]」に鑑み(莫大な資源を投入し続けた結果、仮にEUVの実用化に成功したとしても、事業として成功させるのは難しいとの判断)、収益性を重視する姿勢で2010年代初頭に同開発から撤退した<ref>{{Cite web|title=ニコン次期社長 牛田 一雄氏 (61)|url=https://www.nikkei.com/article/DGKDZO71360070X10C14A5TJ1000|website=日本経済新聞|date=2014-05-17|accessdate=2020-12-01|language=|publisher=}}</ref>。この時点でEUVの実用化は不透明であり、ニコンはArF液浸装置でシェア8割(当時)を占めるASMLに対し、ArF液浸で反転攻勢に出るつもりであった<ref>[https://toyokeizai.net/articles/-/60257?page=2 ニコン利益半減、いったい何があったのか] 東洋経済オンライン</ref>。しかし現実には、ASMLは2016年にEUV露光装置の量産出荷に成功。ニコンは2011年に発足したEUV工程を開発する日本の国策プロジェクトEIDECに解散まで一応参加していたが、EIDECは2019年に解散し、日本のEUV開発は終了した。
 
なお一方で、ASMLは蘭[[フィリップス]]の半導体部門を母体として設立された露光装置メーカーで、独[[カール・ツァイス]]やベルギーの[[IMEC]]など欧州各社と共同開発を行い、1999年よりEUのEUV開発プロジェクト「EUCLIDES」を主導しつつ、米国のEUV開発プロジェクト「EUV LLC」(1997年に米国の半導体メーカー国立研究所と[[AT&T]]・インテル・[[アドバンスト・マイクロ・デバイセズ|AMD]]などが共同で開始。後に米国の国立研究所IBM、マイクロンなども参加し、2005年までにEUV露光技術を用いた半導体の製造を目指した)にも関与しながらEUVの開発参加行い、許可された。実用化までの困難さから世界各国のメーカーキヤノン・ニコンが続々と撤退する中で、20142012年にはアメリカの光源メーカーの[[サイマー]]社を買収するなど、世界でASML1社のみが社運を賭けてEUVの実用化に向けて開発を続けた結果、2016年に当初の予定から10年遅れながらついにEUV露光装置の実用機の開発に成功し、2016年より量産機を出荷、EUV露光装置の市場を独占し予想されている。そのめ、ニコンはASML・フィリップス・ツァイス欠点特許紛争もかかわらず事業仕掛けており、2019年には和解によって多少(約190億円)の補償金を得た物の<ref>[https://www.nikkei.com/article/DGXMZO40368920T20C19A1TJ2000/ ニコン、190億円受け取りで和解 ASMLなどとの特許訴訟]: 日本経済新聞</ref>、露光装置市場におけるニコンのシェアは成立らに減っていくものと見られる。
 
=== その他の精機事業 ===