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セイヴァーランド対ニュートン事件(セイヴァーランドたいニュートンじけん、: Saverland v. Newton (1837))は、1837年にトーマス・セイヴァーランドがパーティでキャロライン・ニュートンに同意なくキスをしようと試みた際、左鼻を噛みちぎられた事を訴えた英国の事件とその判決[1]

裁判官は男性側の原告の訴えを却下し、判決で「男性が女性の意思に反してキスをしようとした場合、彼女には彼の鼻を好きに噛みちぎる権利がある」とした[2][3]

新聞報道

この事件は、英国の日曜新聞Bell's New Weekly Messengerの1837年4月30日の号にて次のように記されている[3]

キスの法

キャロライン・ニュートンがトーマス・セイヴァーランドの鼻を噛みちぎった暴行の罪で告訴された。その顔に紛れもない証拠となる深い傷が残された告訴人(左の鼻孔の肉厚な部分が完全に失くなっている)は、クリスマスの次の日に被告人とその姉妹もいたタップルームに居たと証言した。被告人の姉妹は、バーミンガムに夫を残して行ったので、他のどの男ともキスしてはならないと約束したと冗談じみて言った。これを挑戦だと受け取った告訴人は、祝日だったこともあり、彼女を掴み、キスをした。された姉妹は冗談として受け取ったが、告訴人はこれに怒り、そのような冗談はお断りだと求めた。告訴人は、怒っているのなら被告人にもキスをすると言い、キスをしようと試みた。そこでもみ合いが起こり、二人は床に倒れこんだ。立ち上がった後、被告人は火のそばに向かった告訴人を追い、殴った。

彼は再び距離を縮め、キスを試みたが、もみ合いの中から「彼女が僕の鼻を噛みちぎった」との叫びが聞かれた。二人が離れた時には、告訴人は鼻から激しく出血しており、その鼻の一部、噛みちぎられた部分を被告人が床に吐き出すのが目撃された。太った中年女性である被告人はこの件をまるで些細なことかのような態度で、公共の場で姉妹にキスをする権利も、彼女にキスを試みる権利もない、私たちはそのような事をする人間ではないと伝えた。もし誰かにキスして欲しければ、彼女には夫が、それも鼻を失う前の告訴人よりもよっぽどハンサムな夫がいた。

議長は陪審員に、評決がどちらに行こうとあまり大差はない。告訴人が受けた罰は自分で招いたもので、もし被告人が有罪との評決が出たとしても、裁判所は1シリング[注 1]の罰金しか命ずることはないだろうと伝えた。陪審員は躊躇なく無罪の評決を出した。議長は告訴人に、鼻を失ったことは申し訳ないと思うが、猫と遊ぶと引っ掻かれる事を予期すべきだと伝えた。議長はのちに陪審員に向かって、「紳士の方々、私の意見では、男性が女性の意思に反してキスをしようとした場合、彼女には彼の鼻を好きに噛みちぎる権利がある」と説明した。すると「そして食べる権利も、」とすぐさま一人の男性が付け足した。この事件は、惨めな告訴人以外にとっては、多くの笑いをもたらした。 — Bell's New Weekly Messenger 1837年4月30日号

歴史的位置付け

この事件は、セクシャル・ハラスメントを扱った裁判としては先駆的なもので、女性は同意をしていない性的な接触に対して、必要であれば力ずくで防衛する権利がある事を示した[4]。この判例は、裁判記録では発見されておらず、新聞報道などに記録されているものによってその存在と内容が知られている。

関連項目

脚注

注釈

  1. ^ 現在の6パウンド相当

出典

  1. ^ “The History of the Kiss.”. New York Times: p. BR16. (1902年7月26日). https://query.nytimes.com/gst/abstract.html?res=F50B14FA3A591B728DDDAF0A94DF405B828CF1D3 2009年7月10日閲覧。 
  2. ^ “MIDDLESEX SESSIONS. The Law of Kissing”. The Sydney Gazette and New South Wales Advertiser (NSW : 1803-1842). (1837年9月9日). p. 4. http://trove.nla.gov.au/newspaper/page/502650 2016年10月14日閲覧。 
  3. ^ a b Bell's Weekly Messenger (London): p. 11. (1837年4月30日) 
  4. ^ Koerth-Baker, Maggie (2009年5月20日). “Ten important kisses in history”. CNN. 2009年7月10日閲覧。 “3. The kiss that proved no means no”