「子音弱化」の版間の差分

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Kyosu-tanni (会話 | 投稿記録)
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'''子音弱化'''(しいんじゃっか、{{lang-en|lenition}})は、[[言語]]で[[子音]]が「強い」ものから「弱い」ものへ[[音変化|変化]]することをいう。通常の言語使用で起きる共時的変化を含める場合もあるが、普通は[[歴史言語学|歴史的変化]]を指す。
 
身近な例では、[[日本語]]では、[[唇音退化]]([[ハ行転呼]]など、[[唇音]]の変化)や[[イ音便]]などの例がある。
 
== 具体例 ==
=== 摩擦音化による子音弱化 ===
多くの例が見られるのが[[破裂音]]から[[破擦音]]・[[摩擦音]]への変化(摩擦音化)であり、日本語のハ行における [[唇音退化|{{IPA|p]}} {{IPA|ɸ}} の変化]]がこれにあたる。そのほか[[調音位置]]が[[声門]]に移動する[[非口腔音化]](日本語の {{IPA|ɸ}} [ {{IPA|h]}}、[[近畿方言]][〈例:「せぬ」→「へん」]や他の言語にも多い[ {{IPA|s]}} [ {{IPA|h]}} など)、[[長子音]]の短子音化(degemination)({{lang-en-short|degemination}})、[[有気音]]の無気音化(deglottalization)({{lang-en-short|deglottalization}})などがある。
{| class="wikitable" style="text-align: center;"
! 長子音 !!→ !! 破裂音!!→ !!破擦音!!→ !!摩擦音!!→ !!非口腔音!!→ !!無音
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|}
 
=== 聞こえ度による子音弱化 ===
また子音の[[聞こえ度]]が高くなることによる子音弱化が存在し、子音の[[有声化]](日本語の{{IPA|ɸ}}→[{{IPA|w]}}など)、[[接近音]]化、[[母音]]化などの音変化が生じる。
{| class="wikitable" style="text-align: center;"
!無声破裂音!!→
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摩擦音化は言語の歴史で何度も起きたと考えられており、[[インド・ヨーロッパ語族]]では次のような例がある:
 
* [[ラテン語]]
** [[印欧祖語]] *'''bh'''rater > ラテン語 '''f'''rater(兄弟;英語では '''b'''rother)
** 印欧祖語 *'''dh'''e- > ラテン語 '''f'''acere(置く・作る;英語では '''d'''o)
* [[グリムの法則]]:
** 印欧祖語 *'''ph'''2ter > 英語 '''f'''ather(父;ラテン語では '''p'''ater)
** 印欧祖語 *'''k'''m̥tó- >英語 '''h'''und-red(百;ラテン語では'''c'''entum[ケントゥム])
* 高地ゲルマン語の[[第二次子音推移]]:
** 英語 slee'''p''':ドイツ語 schla'''f'''en(眠る)
** 英語 tha'''t''':ドイツ語 da'''s'''(あの)
* 古英語 ha'''bb'''an > 現代英語 ha'''v'''e(持つ)
 
「強い」というのは発音にエネルギーを要する、発音しにくいと感じられることであり、特に早口で話す必要があれば、「弱く」なるのは[[同化 (音声学)|同化]]などとともに自然な変化(言語の“経済性”に従う)と考えられる。
 
== 子音強化 ==
子音弱化とは逆に、子音が「弱い」ものから「強い」ものへ変化する現象を'''子音強化(fortition)'''({{lang-en-short|fortition}})という。言語の歴史的変化においては、子音強化は子音弱化と比べるとあまり一般的ではないが、語頭やアクセントのある音節や語頭などでしばしば起こることがある。
 
日本語における子音強化の例としては、「もはら」「やはり」からの「もっぱら」「やっぱり」の派生が挙げられる。
 
== 関連項目 ==
* [[唇音退化]]
* [[子音階梯交替]]
* [[母音弱化]]
* [[子音強化]]
 
[[category:比較言語学|しいんしやつか]]