「著作権法 (フランス)」の版間の差分

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国内法化がフランスで大幅に遅れた要因は複合的であるが、もともとフランスは著作権に限らず、EU指令全般で国内法化の遅延比率が他国よりも高いことが欧州委員会から指摘されている{{Refnest|group="註"|2004年4月末時点で、国内法化の期限内導入完了率は旧EU15か国中、フランスが最下位となっている。また新たに10か国を加えた拡大25か国で見ても、2004年5月末時点でフランスは17位となっている{{Sfn|門彬|2005|p=126}}。}}。その文化・政治的背景として、自国で決めていない指令を導入することへの抵抗感、政治的圧力団体による[[ロビイング]]によって立法過程が複雑化していること、そして国会提出法案の入念なチェック手続の3点が挙げられる{{Sfn|門彬|2005|p=128}}。
 
DADVSIを巡っては、フランスで紛糾の種となったのが法案の第1条に盛り込まれていた「グローバル・ライセンス」({{Lang-fr-short|licence globale}}) である。これはインターネットユーザが毎月一定額を著作権者に支払うことで、音楽や映画などのデジタルファイルを合法的に[[Peer to Peer|Peer-to-peer]] (P2P) で共有できるようにする制度であった。フランス政府は反対したものの、[[著作権管理団体]]や消費者団体などからの強い支持を背景に、中道左派の[[社会党 (フランス)|社会党]]や、後の大統領を務めた[[ニコラ・サルコジ]]を擁する保守系の[[国民運動連合]]などが賛成に回り、2005年12月に[[国民議会 (フランス)|フランス国民議会]] (下院) はグローバル・ライセンス条項を含む法案を可決した<ref name=NDL-DADVSIDelay1/>{{Sfn|井奈波朋子 (コピライト)|2006|p=1}}。しかしながら政府が多数派党に法案反対を働きかけた結果、最終的にグローバル・ライセンスは廃案に追い込まれている。対案として一般ユーザではなく[[インターネットサービスプロバイダ|ISP]]に対して賦課金を課す提案が提出されるも、こちらも廃案となった{{Sfn|井奈波朋子 (コピライト)|2006|p=1}}。
 
また、DADVSI法案の第7条は欧米メディアから「[[iPod]]法」と呼ばれて批判を受けた<ref name=DADVSI-NYT200608>{{Cite web |url=https://www.nytimes.com/2006/07/29/technology/29music.html?_r=1&oref=slogin |title=Apple Gets French Support in Music Compatibility Case |trans-title=アップル社、楽曲の互換性問題を巡ってフランスから支持を獲得 |last=Crampton |first=Thomas |publisher=[[New York Times]] |date=2006-07-29 |accessdate=2019-10-03 |language=en}}</ref>{{Sfn|井奈波朋子 (コピライト)|2006|pp=2&ndash;3}}。この条項では、楽曲ファイルをダウンロードした一般ユーザが他社製の再生機器を使って鑑賞できるよう、アクセスコントロール技術に互換性を持たせることを義務化する内容であった。そのため、[[iTunes]]で楽曲配信し、iPodで楽曲再生するビジネスモデルを展開していた米国[[アップル (企業)|アップル社]]などに打撃を与えると懸念されていた{{Sfn|井奈波朋子 (コピライト)|2006|pp=2&ndash;3}}。しかし、相応の金銭的補償なしに楽曲配信事業者に互換性の義務を負わせてはならないとして、フランスの司法機関である[[憲法評議会]]が当条項の違憲性を指摘して、大幅な修正に至っている<ref name=DADVSI-NYT200608/><ref name=NDL-DADVSIDelay2>{{Cite web |url=https://current.ndl.go.jp/node/4411 |title=フランスDADVSI法が施行される−納得の出来とはいえないようですが |date=2006-08-09 |publisher=[[国立国会図書館]] |work=カレントアウェアネス・ポータル |accessdate=2019-10-03}}</ref>。