「ゴジラ (初代)」の版間の差分

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</div>
{{Infobox character
| name = ゴジラ
| series = [[ゴジラ|ゴジラシリーズ]]
| image = [[File:Godzilla King of the Monsters (1956) Profile.png|300px]]
| caption = 1954年版『ゴジラ』のゴジラ
| first = 『[[ゴジラ (1954年の映画)|ゴジラ]]』(1954年)
| last =
| creator = {{Plainlist|
* [[田中友幸]]<br
* />[[本多猪四郎]]<br
* />[[円谷英二]]
}}
| portrayer = [[中島春雄]]
}}
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{{キャラスペック
|名称=ゴジラ
|別名={{Plainlist|
|別名=水爆大怪獣{{R|5499超全集69|東宝特撮映画大全集6|東宝全怪獣8}}<br />怪獣王{{R|怪獣大全集66}}
|身長=50[[メートル|m]]* 水爆大怪獣{{R|怪獣大全集66|5499超全集69|東宝特撮映画大全集6|ALL20|東宝全怪獣8|大辞典1}}
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|出身地=大戸島近海{{R|5499超全集69|東宝特撮映画大全集6}}<br />大戸島近海の海底洞窟{{R|東宝全怪獣8}}<br />海底洞窟{{R|ALL20}}
|別名身長=水爆大怪獣50[[メートル|m]]{{R|怪獣大全集66|5499超全集69|東宝特撮映画大全集6|ALL20|初代読本28|東宝全怪獣8}}<br />怪獣王{{R|怪獣全集66辞典1}}
|体重=2万[[トン|t]]{{R|怪獣大全集66|5499超全集69|東宝特撮映画大全集6|ALL20|初代読本28|大辞典1}}
|出身地={{Plainlist|
* 大戸島近海{{R|5499超全集69|東宝特撮映画大全集6}}
* 大戸島近海の海底洞窟{{R|東宝全怪獣8}}
* 海底洞窟{{R|ALL20|初代読本28}}
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}}
 
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山根恭平博士が作中で、ゴジラは「200万年前」の[[ジュラ紀]]から[[白亜紀]]にかけてまれに生息していた海棲爬虫類と陸上獣類の中間生態を持つ生物であると語る。自分の環境を破壊されたことにより現れ、人間に恨みを持っているかのように東京湾から品川へと上陸し、東京の各所を次々と破壊するが、最期は東京湾に潜伏中に[[オキシジェン・デストロイヤー]]で溶解され、消滅する。
 
* 体重の設定は現在「2万トン」で統一されているが、公開当時は「1千トン」や「3千トン」とする記事も存在しているなど一定しておらず、後年定められたものとされる{{R|初代読本28}}。
 
{{clear}}
== 造形 ==
[[File:Godzilla Raids Again (1955) Haruo Nakajima.gif|thumb|200px|中島春雄とゴジラ]]
造形は[[利光貞三]](雛形、頭部){{R|5499超全集72|ALL20|造型3}}、八木勘寿、八木康栄(ボディ){{R|ALL20|造型3}}、[[開米栄三]](助手){{R|ALL20|造型114}}による{{efn|[[大橋史典]]が参加していたとする資料も存在するが{{R|東宝特撮映画大全集7}}、開米や[[ヒルマモデルクラフト|比留間伸志]]らはこれを否定している<ref>{{Cite book |和書 |date =2011-11-14|publisher =[[洋泉社]] |title=別冊[[映画秘宝]] 『[[電人ザボーガー (映画)|電人ザボーガー]]』&[[ピー・プロダクション|ピー・プロ]]特撮大図鑑 |series=洋泉社MOOK |pages=86-87 |author=友井健人 |chapter=特撮界の怪人 [[大橋史典]] |isbn=978-4-86248-805-3}}</ref>}}。
; 1号スーツと2号スーツ
: [[着ぐるみ]]は2体製作されている{{R|5499超全集72|造型3}}。最初に作られた通称1号スーツがあまりにも固く重すぎて演技ができなかったため{{efn|書籍『ゴジラ大辞典』では「150キロ」と記述している{{R|大辞典167}}。}}、軽量化した2号スーツを急遽製作{{R|造型3}}{{efn|それでも100キログラム近い重さがあった{{R|東宝特撮映画大全集7}}。演じた中島春雄は、当時2体存在したことは知らず、動きづらさは変わらなかったと述べている{{R|造型120}}。}}{{efn|元々2体作る予定であったという証言も存在している{{R|ALL24}}。}}。全身カットはこの2号スーツを使って撮られることとなった{{R|東宝特撮映画大全集7|造型3}}。1号スーツは黒目が上向き、2号スーツは黒目が下向きに付けられている{{R|造型4}}。
: 1号スーツは腰部分で上下に分割され、下半分は[[銀座]]や[[品川駅]]をのし歩く足のアップシーンに{{R|5499超全集72|ALL24}}、上半分は水上でのシーンなどに使われた。この撮影に使われたゴジラは、宝田・河内の両主演俳優を招いた公開後の少年雑誌主催のイベント企画で、劇中同様に隅田川から東京湾へ沈められた。
: 白黒画面で判然としないゴジラの体色であるが、開米栄三は「体表は白いゴム{{efn|後年ではゴムを溶かす際に顔料や染料などを入れて着色しているが、当時はそういった発想がなく、白いまま焼いていたという{{R|造型114}}。}}に油性塗料{{efn|ゴムに塗るため水性塗料は使用できなかった{{R|造型114}}。}}を吹付けた灰色で、口の中は色合いの違いを出すため、真っ赤に塗られていた」と述べている。一方、[[有川貞昌]]は「体色は赤黒い色で、灰色ではなかった」としていて、造形助手であった鈴木儀雄は「グレーというか茶色系で、くすんだ色でした」と証言しており、スタッフ間で証言が食い違っている。
; スーツの素材
: 当時、[[ラテックス]]はまだなく、「取り寄せたブロック状の生ゴムをバケツの水に一晩漬け、翌朝軟らかくなったところで[[ワセリン]]などを混ぜ込んで練り、[[粘土]]原型から起こした石膏の雌型に塗りつけて、これを[[赤外線]]ランプを内側に並べて作った専用の「焼き窯」の中で250度ほどで加熱乾燥させる」という工程でゴムの表皮が作られた{{R|造型3}}。素材のゴムは非常に高価で1クローム5千円(当時)した<ref>円谷英二の作品世界、『ゴジラ』の誕生 より{{Full|date=2020年9月}}</ref>。
: 八木康栄と八木勘寿の兄弟は、もともとは遊園地の展示物や菊人形の制作などを請け負っていた職人としての経験を生かし、張り子の技法で番線の鉄骨に金網、古紙を張り{{R|ALL20}}{{efn|開米によれば、当時は[[和紙]]が高価であったため、文房具屋で買った安い茶紙を用いていたという{{R|造型114}}。}}、上記の表皮を貼り付けてこれを作り、この表皮に、固めに練ったゴムを盛りつけ襞(ひだ)を作った。しかし当初はゴムの練りが足りず、試着して動くと表皮がすぐに裂ける状態だった。ゴムの練りを工夫するなどして試行錯誤の末、ようやく造られた「1号」ゴジラは非常に硬く、150キログラムを超える重さがあることから角材すらまたげなかった。撮影中にもすぐ倒れ、しかも自力で起き上がることは不可能だった。
: 開米によると、当時まだ[[ポリウレタン|発泡ウレタン]](スポンジ)はなく、表皮の内側には、[[綿]]を布袋に詰めたものを一面に縫い付けたため{{efn|開米は、柔道着に用いるような布を使っていたと証言している{{R|造型114}}。}}、さらに重量が増えた。背中の出入り口には[[線ファスナー|ファスナー]]ではなく足袋の[[小鉤]]のようなものを使用し{{R|造型114}}、撮影時にはこれを[[針金]]または[[釣り糸|テグス]]で縛って閉じた。足下には、[[長靴]]を使うという発想がなかったので{{efn|次作『[[ゴジラの逆襲]]』(1955年)からは[[中島春雄]]の意見で長靴が使われた。}}、[[下駄]]を入れた{{efn|市販のようなものではなく、鉄板に麻で作った鼻緒をつけ布で巻いたというものであった{{R|造型114}}。}}。「目玉」は、木工部で木製の卵型の球を作ってもらい、この目玉と口はオートバイのブレーキワイヤーとゴムをつなぎ、尻尾の途中から外へ出して、開米が外部操作して動かしたという。「牙」は木製だとネズミのようになるため、ゴムで作られた。「背びれ」は金網の芯に紙を張り、ゴムを塗って作った。ゴジラの左腕は「1号」「2号」ともに粘土原型の形状に合わせて、ひじの部分で胴と一体化した形になっている。
; その他の造形物
: [[鉄塔]]に噛みつくシーンやデパートの鳥かごの奥に現れるシーンなど細かい表情の撮影には、腰から上の手踊り式のギニョール模型が使われた{{R|5499超全集72|ALL22|造型6}}。造形は利光貞三{{R|造型6}}。検討用の2[[尺]]粘土模型を[[石膏]]で型取りし、ゴムで抜いたものが使われた。ギニョール操作には{{要出典範囲|当初、街のギニョール師が呼ばれたが、人形芝居の動きと怪獣の動きは違うためイメージが合わず帰ってもらい|date=2021年2月}}、[[中代文雄]]がこれを行った{{R|造型6}}。操作の際は頭が邪魔にならないよう寝そべって、仰向けになって行っている。
: ラストシーンの「ゴジラの骨」も、50センチメートルほどの全身骨格模型が用いられた{{R|5499超全集72|造型6}}。利光貞三によって針金の芯に綿にゴムを浸み込ませる技法で作られている{{R|造型6}}。
; プロトタイプゴジラ
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<ref name="東宝特撮映画大全集278">{{Harvnb|東宝特撮映画大全集|2012|p=278|loc=「『ゴジラ×メカゴジラ』怪獣図鑑」}}</ref>
<ref name="ALL20">{{Harvnb|オール東宝怪獣大図鑑|2014|pp=20-21|loc=「『ゴジラ』ゴジラ」}}</ref>
<ref name="ALL22">{{Harvnb|オール東宝怪獣大図鑑|2014|pp=22-23|loc=「『ゴジラ』ゴジラ」}}</ref>
<ref name="ALL24">{{Harvnb|オール東宝怪獣大図鑑|2014|pp=24-25|loc=「『ゴジラ』ゴジラ」}}</ref>
<ref name="ALL230">{{Harvnb|オール東宝怪獣大図鑑|2014|pp=230-232|loc=「キミにもできる! 歴代ゴジラ描き分け講座」}}</ref>
<ref name="初代読本28">{{Harvnb|初代ゴジラ研究読本|2014|pp=28-29|loc=「二百年前の水爆大怪獣ゴジラ」}}</ref>
<ref name="東宝全怪獣8">{{Harvnb|東宝特撮全怪獣図鑑|2014|pp=8-9|loc=「ゴジラ」}}</ref>
<ref name="大辞典1">{{Harvnb|大辞典|2014|p=108|loc=「こ ゴジラ(初代=第1個体)」}}</ref>
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* {{Cite book|和書|others=構成・執筆・編集:岩畠寿明、小野浩一郎(エープロダクション)|title=ゴジラvsキングギドラ 怪獣大全集|publisher=講談社|series=講談社ヒットブックス20|date=1991-12-05|isbn=4-06-177720-3|ref={{SfnRef|怪獣大全集|1991}}}}
* {{Cite book|和書|others=執筆:元山掌 松野本和弘 浅井和康 鈴木宣孝 加藤まさし|title=東宝特撮映画大全集|date=2012-09-28|publisher=[[ヴィレッジブックス]]|isbn=978-4-86491-013-2|ref={{SfnRef|東宝特撮映画大全集|2012}}}}
* 洋泉社MOOK 別冊[[映画秘宝]]([[洋泉社]])
** {{Cite book|和書|date=2014-04-27|title=オール東宝怪獣大図鑑|publisher=[[洋泉社]]|series=洋泉社MOOK 別冊映画秘宝|isbn=978-4-8003-0362-2|ref={{SfnRef|オール東宝怪獣大図鑑|2014}}}}
** {{Cite book|和書|date=2014-08-24|title=初代ゴジラ研究読本|publisher=洋泉社|series=洋泉社MOOK 別冊映画秘宝|isbn=978-4-8003-0452-0|ref={{SfnRef|初代ゴジラ研究読本|2014}}}}
* {{Cite book|和書|others=東宝 協力|title=東宝特撮全怪獣図鑑|publisher=小学館|date=2014-07-28|isbn=978-4-09-682090-2|ref={{SfnRef|東宝特撮全怪獣図鑑|2014}}}}
* {{Cite book|和書|editor=野村宏平 編著|title=ゴジラ大辞典【新装版】|date=2014-08-07|origdate=2004-12-05|publisher=笠倉出版社|isbn=978-4-7730-8725-3|ref={{SfnRef|大辞典|2014}}}}