「千日デパート火災」の版間の差分

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=== 労災補償 ===
千日デパートビル火災によって犠牲になった死亡者または重軽傷者は、全員が7階プレイタウンの客と従業員であるが、それらはいずれも有職者であったことから、労災保険の補償適用が如何に為されるかについて関心が高まった<ref name=ASAHI-NP19720519AM03/>。大阪労働基準局(現・大阪労働局)や天王寺労働基準監督署(現・大阪中央労働基準監督署)が係官を動員し、客、ホステス、プレイタウン従業員、バンドマンについて労災保険の実態を調査した。死亡した客については、プレイタウンに個人で来店していた場合であれば労災補償の適用外であるが、業務上の接待でプレイタウンを利用していた場合に労災と認められるのかどうかの判断が難しいとされた<ref name=SANKEI-NP19720517PM06/>。1968年11月に兵庫県・有馬温泉で発生した「[[坊満月城火災]]」の例では、会社の慰安旅行で宿泊していた客が犠牲になったケースで、「自由意思で参加する慰安旅行は、労災保険法で定める業務とは認められない」とする判断が示されたことがあり、客や会社の自己申告や一方的な証言に頼ることからも労災補償の適用は微妙だとされた<ref name=SANKEI-NP19720517PM06/>。客については、実際に労災補償を申請したケースは確認されなかった。
 
プレイタウンのホステスの労災補償適用ついて、右の死亡したホステスらは、プレイタウンを経営する千土地観光との間で直接の雇用契約を結び、労働基準法に基づく雇用契約も結んでいたのは明らかであり、千土地観光も労災保険に一括加入していたことから、プレイタウンのホステス全員は、れっきとした労働者であって労災補償の適用は問題ない、とする見解を大阪労働基準局が示した<ref name=SANKEI-NP19720517PM06/>。また死亡したプレイタウン従業員も同ホステスと同じく、千土地観光との間で直接の雇用契約があり、労基法による雇用契約を同社と結んでいることは明らかであるので、同局は労災補償適用は問題ないとした<ref name=ASAHI-NP19720519AM03/>。負傷して入院している29人のプレイタウン従業員(うちホステス11人)については、休業補償および療養費が支給され、後遺症が出た場合には、程度に応じて障害補償金が支給されることも確認された<ref name=ASAHI-NP19720519AM03/>。火災から8日後の5月21日、プレイタウン従業員および同ホステスの9遺族が天王寺労基署(当時)に労災保険による遺族補償の給付請求を出した<ref>「サンケイ新聞」1972年6月22日 大阪本社版朝刊14面</ref>。受取人は死亡者の親6人、妻1人、子供11人の計18人で、同労基署は基礎日額の算定を急いで翌週には支給したいとした<ref>「朝日新聞」1972年6月22日 大阪本社版朝刊19面</ref>。同月28日、天王寺労基署は同月21日に出された請求のうちの5遺族分について支給を決め、遺族は年金支給前払い(一時金)の形で葬祭料込みで同月末から受け取ることになった<ref>「朝日新聞」1972年6月28日 大阪本社版夕刊8面</ref>。労災補償の支給は、申請があり次第、算定の上で支給されるとされ、1972年8月までの時点で死傷したプレイタウン従業員および同ホステスの遺族または被災者本人ら全員に労災補償が支給された<ref>「サンケイ新聞」1972年6月28日 大阪本社版夕刊6面</ref>。