「リラ (楽器)」の版間の差分

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ギリシア神話によると、リラを発明したのは若き神[[ヘルメース]]である。彼は大亀の甲羅 (khelus) を動物の皮革と[[アンテロープ]]の[[角]]で覆った。リラは[[アポローン]]的中庸と平静さの徳と関連づけられた。これは[[ディオニュソス]]的な[[笛]]が恍惚と昂揚と対照をなすものである。
 
この楽器の実際の起源としては、南欧、西アジア、北アフリカの各地が挙げられている。リラを持つ半神(英雄?)譚は[[リュディア]]帝国に接する[[小アジア]](現在の[[トルコ]])沿岸部の[[アイオロス]]系または[[イオニア]]系のギリシア人植民地にみられる。<!--
Some of the heroes and imprors of the lyre were of the [[Aeolia | Aeolian]] or [[Ionia | Ionian]] Greek colonies on the coasts of Asia (ancient Asia Minor, modern day [[Turkey]]) bordering the Lydian empire.-->また、別のギリシア人入植地である[[トラキア]]は[[オルペウス]]、{{仮リンク|ムーサイオス|en|Musaeus of Athens}}、[[タミュリス]]のような神話上のリラの名人の生まれ故郷であると信じられてきた。
 
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== 構造 ==
[[Image:Lyre1913.jpg|thumbnail|200px|right|リラを演奏する女性。古代ギリシア風のポーズで1913年に撮影されたもの]]
リラのフレームは中空の共鳴箱からなっており、そこから2本の腕が立ち上がる。この腕も中空になっている場合がある。両腕はいずれも外側前方に曲がっていて、横木によって上端で連結されている。根元にも横木があり弦の振動を共鳴箱に伝える[[駒 (弦楽器)|ブリッジ]]になっている。上端の横木とブリッジまたはブリッジのさらに下にあるテイルピースとの間に[[カットグット|ガット]]弦を張る。各弦の長さは大きく異ならないが、単位長あたりの質量(太さ)と張力が異なる。これらの点は現代のギターやヴァイオリンといった弦楽器と共通である。最低音が奏者から一番遠くになるように構える。調弦法には2種類あり、竜頭を締める方法と、横木に弦をかける位置を変える方法があった<!--後者がうまく行く訳がよくわからない。原文:There were two ways of tuning: one was to fasten the strings to pegs which might be turned; the other was to change the place of the string upon the crossbar;-->。おそらくは両者が併用されたのであろう。
 
弦の数は時期によって異なり、土地土地でも異なったかもしれない。4、7、10弦のものが愛好された。指板が用いられたことを支持する文献的証拠は全く存在しない。弓が使われたこともありえない。平らな響板がそれを許さなかった(訳註、[[クラシック[[ギター]]をチェロの弓で弾くことを想像せよ)。一方、[[撥]]は普通に用いられた。右手で持ち高音弦(弦の上部?)を弾いた。使用しない場合はリボンで楽器に結ばれていた。左手の指は低音弦(弦の下部?)に触れた。
 
[[英雄時代]]のギリシアでリラが何弦で調弦法がどうだったかを示す証拠はない。[[プルタルコス]]は、[[:en:Olympus (musician)|オリュンポス]]と[[:en:Terpander|テルパンデル]]は朗読会にわずか3弦のものをが用いたという。[[テトラコルド]]を2倍にすることで、4弦の楽器から7ないし8弦の楽器がもたらされたように、[[トリコルド]]と6弦のリラとが関連づけられる。この6弦リラは多くのギリシアの古い花瓶に描かれている。楽器の細かい部分をきちんと表現するのはいささか面倒なことである点を考えると、これが正確な描写であるとはいいきれないが、わざわざ異なった弦の数にするとも考えにくい。右手の撥で弾いた弦を、左手の指で押さえる姿が常に描かれている。古代ギリシ文明が今知られているような姿をとる前は、リラの調弦においては幅広い自由と地域性が認められたのだろう。この点は古くから半音階や[[四分音]]が利用されていたことによって裏付けられており、いにしえの豊穣と、音調を洗練していこうとするアジア的な傾向とを示すものと思われる。
 
== 種類 ==
リラは今日でもギリシャのいくつかの地方では主要な民族楽器となっている。例えば[[クレタ島]]や北ギリシア([[マケドニア (ギリシャ)|マケドニア]])のポンティア人地域である。このタイプのリラは奏者の大腿の上に垂直に構えられ、ヴァイオリンと同様に弓を用いて演奏される。<!-- ここは現代の楽器の話なので、「リラ」とする。-->
 
* ギリシアの古典的リラ
** {{仮リンク|フォルミンクス|en|phorminx}}
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*他の民族楽器
** クレータのリラ
** エチオピアのクラル (krar) - 5もしくは6弦の竪琴。エチオピアやエリトリアで使われる撥弦楽器。[[五音音階]]に調律される。現代のクラルにはエレキギターのようにアンプ(電気的増幅装置)のついたものも存在する。伝統的には通常、木製で、布・ビーズによって飾り付けをされる。 クラルはしばしば居ごこちのよい食事の楽しい付属物として、アズマリ (azmari) と呼ばれる楽器演奏家兼歌手によってラブソングと世俗的な歌に伴われ奏でられる。
 
=== 現代のライアー ===
[[File:Leier at Musical Instruments Fair Japan 2018-10-20 ライアー.jpg|thumb|right|現代のライアー。[[楽器ショー#楽器フェア|2018楽器フェア]]ブース「A-02 [[浜松市]]」にて。]]
この楽器は、20世紀前半に、音楽家であり治療教育者であったエドモンド・プラハト (Edmund Pracht) によって新たに生み出されたものである。この場合は一般にLeier「ライア」または「ライアー」 (Leier) と呼ばれる(発音的には「ライア」が近い)。彼がスイスにある[[シュタイナー教育]]の治療教育の現場で働いていたことから、スイス、ドイツを中心としたシュタイナー教育の一環として用いられるようになった。現在は教育楽器としてより演奏楽器としてドイツを中心に世界中に広まっている。胴はゆがんだドーナツ形をしており、その一辺から他辺へ平行に[[半音階]]に弦が張られる。弦はすべて金属弦で、ピアノの白鍵にあたる弦は高く、黒鍵にあたる弦は低く張られる。右手は楽器の表から白鍵にあたる弦を、左手は裏からドーナツの穴にあたる部分を通して黒鍵と一部の白鍵にあたる弦を演奏する。音域の異なるアルトライア、ソプラノライアなどがある。[[スタジオジブリ]]のアニメ映画『[[千と千尋の神隠し]]』の主題歌「[[いつも何度でも/いのちの名前|いつも何度でも]]」の伴奏で用いられたことでも知られる。ドイツを中心に、いくつかのライアメーカーが製造している。
 
== 関連項目 ==
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{{Normdaten}}
{{DEFAULTSORT:いあ}}
[[category:弦楽器]]
[[category:古代ギリシア]]