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{{otheruses|香辛料|ニクズク属植物の一種|ニクズク}}
 
'''ナツメグ'''({{lang-en-short|Nutmeg}}、'''ナッツメッグ'''、'''ナットメグ'''とも)は、[[ニクズク属]]樹木[[ニクズク]]の[[種子]]またはそれを挽いて粉末にした[[香辛料]]である<ref name="fao1994">{{cite web |title=Nutmeg and derivatives (Review) |url=http://www.fao.org/3/v4084e/v4084e.pdf |publisher=Food and Agriculture Organization (FAO) of the United Nations |accessdate=2019-06-24|date=1994-09|format=PDF}}</ref>。ニクズク(''{{snamei|Myristica fragrans''}})は濃い色の葉を持つ常緑樹で、その[[果実]]由来の2種類の[[香辛料]]のために栽培される。ニクズクの種子からはナツメグ、種子を覆う仮種皮からはメース(mace)({{lang|en|mace}})が作られる。また、[[精油]]やナツメグバターの商業的供給源でもある。香辛料としての典型的な使用を超える量を摂取した場合、ナツメグ粉末は[[アレルギー反応]]を起こしたり、[[接触皮膚炎]]を引き起こしたり、[[向精神薬|向精神]]作用を持つ可能性がある<ref name="drugs">{{cite web|url=https://www.drugs.com/npp/nutmeg.html|title=Nutmeg|publisher=Drugs.com|date=2009|accessdate=2017-05-04}}</ref>。様々な疾患を治療するために[[伝統医学]]において使われているものの、ナツメグに既知の[[薬理効果]]はない<ref name=drugs/> 。
 
ナツメグ、ニクズクという語を[[ニクズク属]]の総称のように使うことがあり、特に「ナツメグ」として流通している[[木材]]は基本的に他種である。
 
カリフォルニアナツメグと呼ばれる{{仮リンク|アメリカガヤ|en|Torreya californica}}(''{{snamei|Torreya californica''}})は似た外観の種子を持つが、ニクズクとは近縁ではなく、香辛料としては使われない。
 
== ナツメグ ==
香りの主体となる成分は[[ピネン]]、[[カンフェン]]、[[オイゲノール]]、[[ミリスチシン]](Allyl -3,4,5-trihydroxybenzene-methylene-methyl ether)である。
 
異なる香りを持つ[[ニクズク属]]の2つの別種 {{仮リンク|ミュリスティカ・マラバリカ|en|Myristica malabarica|label=''{{snamei|M. malabarica''}}}}と {{仮リンク|ミュリスティカ・アルゲンテア|en|Myristica argentea|label=''{{snamei|M. argentea''}}}}は、香辛料としてのナツメグに混ぜ物をするために使われることがある<ref name=clovegarden>{{cite web |url=http://www.clovegarden.com/ingred/sp_nutmegz.html |title=Nutmeg |website=www.clovegarden.com |access-date=2017-07-22}}</ref>。
 
==メース==
[[File:Mace (জয়িত্রি).JPG|thumb|upright|メース]]
 
メースは、ナツメグの果実の果肉と種の間に、種を包む形に取り巻いている仮種皮を天日で乾燥させた香辛料である。収穫時は深い紅色だが、乾燥させると淡黄色、橙色、または黄褐色に変化する。[[ドイツ語]]や[[イタリア語]]などでは「ニクズクの花」(独:Muskatenblume{{lang-de-short|Muskatenblume}}伊:fiore{{lang-it-short|fiore di moscata)moscata}})と呼ばれているが、花ではない。ナツメグ(仁)よりも淡い香りでピリッとした独特な辛味と苦味があるが、その香味は、穏やかである。
 
==植生態と栽培==
[[File:Myristica Fragrans - ജാതിമരം.JPG|thumb|right|upright|ニクズクの木 (''Myristica fragrans'')]]
最も重要な商業種は、インドネシアの[[モルッカ諸島]](別名、香料諸島)中の[[バンダ諸島]]原産の[[ニクズク]] ''{{snamei|Myristica fragrans''}}([[ニクズク科]])である<ref name=nafta>{{cite news |author=Amitav Ghosh]|title=What Nutmeg Can Tell Us About Nafta |url=https://www.nytimes.com/2016/12/30/opinion/sunday/clove-trees-the-color-of-ash.html |quote= |newspaper=[[New York Times]] |date=December 30, 2016}}</ref><ref>{{cite web|last1=Dotschkal |first1=Janna |title=The Spice Trade's Forgotten Island |url=http://proof.nationalgeographic.com/2015/06/22/the-spice-trades-forgotten-island/ |website=National Geographic |accessdate=2017-04-13 |ref=forgot|date=2015-06-22 }}</ref>。[[マレーシア]]の[[ペナン島]]や、カリブ海(特に[[グレナダ]])、[[南インド]]の[[ケーララ州]](古代の書物では香辛料貿易の中継地として記述されており、以前はマラバルと呼ばれていた)でも栽培されている。17世紀の著作『{{仮リンク|ホルトゥス・マラバリクス|en|Hortus Malabaricus}}(マラバル植物園)』において、{{仮リンク|ヘンドリック・ファン・レーデ|en|Hendrik van Rheede}}は、[[インド人]]が古代の交易路を通じてインドネシア人からナツメグの用法を学んだことを記録している。
 
ナツメグ(ニクズク)の木は[[雌雄異株]]であり、有性的([[種子]])および無性的([[挿し木]]または[[接ぎ木]])に繁殖する。実生(有性)繁殖は50%の確率で雄株が得られるが、これらは実りが少ない。6-8年後に開花することを確認する以外には信頼性をもって性を判別できる手法が存在しないため、有性生殖では収穫量が安定しないことから、接ぎ木が繁殖の方法として好まれる。上胚軸接ぎ(苗木を使った割り接ぎの一種)、寄接ぎ、継ぎ芽接ぎが成功すると証明されており、上胚軸接ぎが最も広く採用されている。[[取り木]]も代替手法であるものの、成功率が低い(35–40%)ため好ましい方法ではない。
ナツメグとメースは似た官能的品質を有し、ナツメグがわずかにより甘く、メースはより繊細な芳香を有する。メースによって与えられる明るい橙色は[[サフラン]]の様な色合いのため、これは軽い料理でしばしば好まれる。ナツメグは多くの料理の風味付けのために使われ、現在西洋のスーパーマーケットでは大抵挽いたりすりつぶした状態で売られている。ナツメグホールは[[#ナツメグ・ミル|ナツメグのために特別に設計されたおろし金]]を使って家庭で挽いて粉末にすることもできる<ref>{{cite web|author=Oulton, Randal|title=Nutmeg Graters|publisher=CooksInfo.com|date=18 February 2007|url=http://www.cooksinfo.com/nutmeg-graters|accessdate=8 April 2018}}</ref>。
 
[[インドネシア料理]]では、ナツメグは様々な料理<ref name="MeyerVann2008">{{Cite book|author1=Arthur L. Meyer|author2=Jon M. Vann|title=The Appetizer Atlas: A World of Small Bites|url=https://books.google.com/books?id=qUOcpdtYIFwC|year=2008|publisher=Houghton Mifflin Harcourt|isbn=978-0-544-17738-3|page=196}}</ref>、主に[[ソト (料理)|ソト]]、{{仮リンク|コンロ (料理)|en|Konro|label=コンロ}}、{{仮リンク|オックステールスープ|en|Oxtail soup}}、スップ・イガ(スペアリブスープ)、[[バクソ]]、{{仮リンク|スップ・カンビン|en|Sup kambing}}といった香辛料の効いたスープで使われる。また、{{仮リンク|スムル|en|Semur (Indonesian stew)}}(ビーフシチュー)、ヨーロッパ伝来の {{lang|id|''bistik''}}(ビーフステーキ)、{{lang|id|''rolade''}}(ひき肉巻き)、{{lang|id|''bistik lidah''}}(牛タンステーキ)といった肉料理のためのグレイビーソースにも使われる。
 
[[インド料理]]では、ナツメグは多くの甘い料理や塩味の料理に使われる(主に{{仮リンク|ムガール料理|en|Mughlai cuisine}})。ケーララ州[[マラバール地方]]では、すりおろしたナツメグが肉料理に使われ、風味付けのためにデザートにも控えめに加えられる。また、[[ガラムマサラ]]にも少量使われることがある。インドでは挽いて粉にしたナツメグが(タバコのように)吸われることもある<ref name="Chapman2007">{{Cite book|author=Pat Chapman|title=India Food and Cooking: The Ultimate Book on Indian Cuisine|url=https://books.google.com/books?id=orHWFRMKf4EC|year=2007|publisher=New Holland Publishers|isbn=978-1-84537-619-2|page=16}}</ref>。
 
===果実===
[[果皮]]はジャムを作るために使われたり、あるいは薄く切って、砂糖と調理し、結晶化させて香りの良い飴にする。薄く切ったナツメグ果実の果肉からはインドネシアの {{lang|id|''manisan''}} というデザートが作られる。これは、風味を加えたシロップ浸け、あるいは {{lang|id|''manisan pala''}} と呼ばれる砂糖で覆われた乾燥したものである。{{仮リンク|ペナン料理|en|Penang cuisine}}では、乾燥して細く刻んで砂糖をまぶしたナツメグの皮がペナン独特の[[アイスカチャン]]のトッピングとして使われる。また、氷で冷やしたナツメグジュースを作るために、ナツメグの皮を混ぜ合わせたり(新鮮で青いピリッとした味の白色のジュースになる)茹でたり(より甘く茶色のジュースになる)する。インド・ケーララ州の[[マラバル地方]]では、ナツメグはジュースや野菜ジャム、チャツネを作るために使われる<ref name="Chapman2007"/>。
 
==料理以外の利用==
ナツメグが使われた最古の例は、およそ3500年前のインドネシアのアイ島(Palau Ai)で見つかっており、これは陶器のつぼの{{仮リンク|シャード (考古学)|en|Sherd|label=破片}}上で見出された残留物に基づいている<ref>{{Cite journal|author1=Peter Lape|author2=Emily Peterson|author3=Daud Tanudirjo|author4=Chung-Ching Shiung|author5=Gyoung-Ah Lee|author6=Judith Field|author7=Adelle Coster|url= https://muse.jhu.edu/article/704187 |title=New Data from an Open Neolithic Site in Eastern Indonesia|journal=Asian Perspectives|year=2018|volume=57|issue=2|pages=222–243|doi=10.1353/asi.2018.0015}}</ref><ref>{{cite web |title=3,500-year-old pumpkin spice? Archaeologists find the earliest use of nutmeg as a food |url=https://www.eurekalert.org/pub_releases/2018-10/uow-3ps100318.php |website=EurekAlert! |accessdate=4 October 2018 |language=en}}</ref>。
 
[[19世紀]]までは、古代の人々はナツメグの存在を知らなかった、という説が一般的だったが、[[20世紀]]に[[古代エジプト]]の[[副葬品]]の中にニクズクのかけらが発見された。しかし、他の文明でもこれといった痕跡はなく、一般に利用されてはいなかったと見られている。[[6世紀]]にアラビア人によって[[コンスタンティノープル]]に「インドのくるみ」({{lang|la|nux indica}})という産物が伝来していた記録があり、それがナツメグを指すという説もあるが、[[ビンロウジ]]や[[ココヤシ]]の実の可能性もあり確定はできていない{{sfn|ギュイヨ |1987|pp=92-96}}。
 
ナツメグが記録に現れ始めるのは[[10世紀]]頃の事で、地理学者[[マスウーディー]]によってマレー諸島東部の産品として報告され、[[11世紀]]初め頃にはペルシアの知識人[[イブン・スィーナー]]によって医学的な考察がなされている。ヨーロッパで記録に現れ始めるのは[[12世紀末頃]]からだが、当時はナツメグよりメースの需要の方が高く、イギリスではメース約500グラムに羊3頭分の価値があった。
[[ナポレオン戦争]]中のオランダの[[空位時代]]の結果として、イギリスは一時的にオランダを抑えてバンダ諸島を支配し、土壌と共にナツメグの木を[[スリランカ]]、[[ペナン州|ペナン]]、[[ブンクル]]、[[シンガポール]]へと移植した<ref>Giles Milton, ''Nathaniel's Nutmeg'', 1999, London: Hodder and Stoughton, {{ISBN|0-340-69675-3}}</ref>(これ以前にもスリランカにナツメグの木が存在した証拠がある<ref>[http://www.exportagridept.gov.lk/web/index.php?option=com_content&view=article&id=136&Itemid=159&lang=en 'Nutmeg', Department of Export Agriculture website]</ref>)。これらの場所から、ナツメグの木がその他の植民地、特に[[ザンジバル]]とグレナダへ移植された。1974年に選ばれた[[グレナダの国旗]]には図案化された殻が割れたナツメグの実が描かれている。イギリスは自国の[[植民地]]である[[マレー半島]]南部への移植が試みたが結果的に失敗に終わった。1816年にオランダに支配権が戻り制限政策が1862年まで続けられた。ナツメグの栽培が自由化されたのは1864年のことである。オランダは[[第二次世界大戦]]まで香料諸島を支配し続けた。
 
[[コネチカット州]]とコネチカット州人の愛称である「ナツメグ州」と「{{仮リンク|ナツメガー|en|Nutmegger}}」は、一部の悪徳コネチカット人業者らがナツメグの木を少しずつ削り取り、「木でできたナツメグ(wooden({{lang|en|wooden nutmeg)nutmeg}})」を作ったという主張から来ている。「{{lang|en|Wooden nutmeg}}」という用語はペテンを意味するようになった<ref name="furer">{{cite web |author1=Rebecca Furer |title=What is a Nutmegger? |url=http://www.wnpr.org/post/what-nutmegger |publisher=Connecticut Public Radio |accessdate=29 October 2018 |date=12 August 2011}}</ref><ref>{{cite web|url=http://ctstatelibrary.org/CT-nicknames|title= Nicknames for Connecticut |publisher=Connecticut State Library |date=2018 |accessdate=29 October 2018}}</ref>。この物語は、ナツメグの粉を得るためにナツメグを砕くのではなく、おろし金ですりおろさなければならず、このことは製品の一部の購買者らには広く知られていなかったかもしれないことと関係しているかもしれない<ref name=furer/>。
 
==世界生産==
 
==出典==
{{Reflist|230em}}
 
== 参考文献 ==
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