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{{出典の明記|date=2013年10月}}
{{数量の比較}}
'''物理単位'''(ぶつりたんい)とは、[[物理学]]や[[計測学]]において、種々の[[物理量]]を表すための[[単位]]として選ばれた基準の量である。
 
== 概要 ==
単に'''単位'''と呼ばれることが多いが、物理量ではないもののための単位と区別する場合には特に「物理単位」と言う。本項において、特に断りのない場合は「単位」とは物理単位を指すものとする。
 
[[物理学]]や[[計測学]]において、単位は物理量の[[測定]]のための基準であり、それには明確で使いやすい定義が必要である。実験結果の[[再現性]]は[[科学的方法]]において重要である。そのためには測定の基準が必要となり、測定の基準を便利なものにするために[[単位系]]が必要となる。科学的な単位は、当初は商業の目的のために発展してきた[[度量衡]]の概念を様式化したものである。
 
複数の単位を組み合わせて体系としたものが[[単位系]]である。
単位系の違いは、基本とする単位('''基本単位''')の違いによるものである。現在、最も広く使われている単位系は[[国際単位系]](SI)である。SIには7つの[[SI基本単位|基本単位]]がある。[[SI組立単位|SIの他の単位]]は、これらの基本単位を組み合わせて表現することができる('''組立単位''')。
 
=== SI以外の単位系 ===
* [[メートル法]]
** [[CGS単位系]]
** [[MTS単位系]]
* [[自然単位系]]
* [[幾何学単位系]] ([[:en:Geometrized units|Geometrized units]])
* [[ヤード・ポンド法]]
* [[尺貫法]]([[市制 (単位系)|市制]])
 
== 次元としての単位 ==
[[国際単位系]](SI)の考え方および表記に従えば、物理量の値 (the value of a quantity) {{mvar|Q}}は、その数値 (numerical value) を示す数値 (number) {{mvar|n}} と単位 (unit) {{mvar|'''U'''}}との積として表される(従って単位の取り方に依存して数値は変更を受ける<ref name=nmij>外部リンク参照;{{PDFlink|[https://www.nmij.jp/library/units/si/R8/SI8J.pdf 国際単位系 第8版 日本語訳]|531&nbsp;[[キビバイト|KiB]]}} 5.3.1 量の値と数値、及び量の四則演算。</ref>)。乗法記号(×)は省略して、「半角数字+line-breakingしない四分の一角スペース<ref>日本語文中では、半角スペースで代用することが多い。</ref>+半角英文字」と表記することが標準的である<ref>[[Wikipedia:表記ガイド#単位]]。</ref>。<!--(「[[数学記号の表#算術記号]]」を参照)。物理量の値は単位系に依存しないが、その数値は単位系により異なる。-->
 
:<math>Q = n \times \boldsymbol{U} = n \, \boldsymbol{U} </math>
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:<math>\log (P / \mathrm{Pa}) = 0 </math>
 
なお[[国際単位系]] (SI) のルールでは、数値 {{mvar|n}} を示す場合には上記の商の形を用いる。従って物理量の値 {{mvar|Q}} の数値 {{mvar|n}} を数表の欄内に示す場合やグラフの軸に数値 {{mvar|n}} を付記する場合なども、それらのタイトル名としては単位 {{mvar|'''U'''}} で除算した {{math|''Q''/'''''U'''''}} の形を用いる(例:「圧力/Pa」)<ref>外部リンク参照;国際単位系第8版 5.3.1 量の値と数値、及び量の四則演算)。<name=nmij/ref><ref>{{refnest|商の形での表記では明確にわかるのだが、これらの数式における {{mvar|Q}} や {{mvar|'''U'''}} は単なる記号や名称ではなく、また単に『ある量という概念』だけを示しているのでもなく、四則演算可能な定量的実在を示している。(外部リンク参照;<ref>{{Citation|和書|author1=森川鉄朗 |author2=西山保子 |url=https://hdl.handle.net/10513/284 |title=科学教育における量の計算法について) |periodical=上越教育大学研究紀要 |volume=17 |number=1 |date=1997-9 |pages=365–375 |year=1997 |issn=0915-8162 }}</ref>}}
 
上記の物理量 {{mvar|Q}} や物理単位 {{mvar|'''U'''}} には[[量の次元|次元]]という概念が定められている(数値 {{mvar|n}} は[[無次元量]]である)。上記の式も両辺の次元は一致している。無次元量は {{math|log}} などのべき乗 {{mvar|x{{sup|n}}}} 以外の関数の引数に取ることができる<ref>ただし、式全体で次元のつじつまが合うならば、次元を持つ物理量を対数関数の引数に取る形が特に悪いわけではない。例えば、{{math|1=log ''P'' = log(1 Pa)}}。</ref>。
{{Main|次元解析}}
<!--単位とその基準とは区別されなければならない。単位はその定義によって固定されており、温度のような物理的な状態から独立している。それに対して、基準は単位を実際に現示するものであり、特定の物理的な状態の下でのみ単位を現示できる。例えば、メートルは単位であり、メートル原器は基準である。1メートルは温度に関係なく常に同じ長さであるが、メートル原器は特定の温度のときだけ1メートルの長さを現示できる。-->
 
== 基本単位・組立単位 ==
大部分の物理量にとって、その物理量の値を伝えるために単位は不可欠なものである。例えば、ある種の単位を使うことなく誰かに特定の長さを伝えようとすれば、その長さをその人に実際に感じてもらうしかない。
 
しかし、全ての量について、それのためだけの単位が必要というわけではない。物理法則を用いることで、ほとんどの量の単位は、他の量の単位の組合せとして表現することができる。その場合、それらの組合せの出発点となるいくつかの基本的な単位が必要となる。これを'''基本単位'''(きほんたんい)といい、それ以外の単位を'''組立単位'''(くみたてたんい)または'''誘導単位'''(ゆうどうたんい)という。組立単位は「(その単位系における)基本単位から組み立てることができる」ということであって、それは便宜の問題である。どの単位を基本単位とするかには選択の余地があり、異なる物理量の単位を基本単位とするいくつかの単位系が存在する。
 
SI基本単位は、実は最も小さな基本単位の組でない。より小さな基本単位の組が提案されており、それは[[電場]]と[[磁場]]が同じ単位を持つ。これは、電場と磁場が実は同じ現象が異なる形で現れたものであるという物理法則に基づく。いくつかの科学の分野では、SIよりもそのような単位系が好まれる。
 
1以外の比例定数を含まない、基本単位の[[冪乗]]の乗除だけ作ることができる組立単位を「[[一貫性 (単位系)|一貫性]]のある組立単位」と言い、全ての組立単位が一貫性のある組立単位である単位系を「一貫性のある単位系」と言う。例えば、国際単位系における[[メートル毎秒]]は一貫性のある組立単位であるが、[[キロメートル毎時]]は3600という比例定数を含むため、一貫性のある組立単位ではない。
 
=== 単位の組み立て ===
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* 量は数値と単位記号の積として扱うので、単位量を対応する単位記号で割ると、[[無次元量]]となる。2つの異なる単位記号をかけると新しい単位記号となる。例えば、[[国際単位系|SI]]における速度の単位は、メートル毎秒(m/s)である。[[次元解析]]を参照のこと。同じ単位記号同士をかけると、[[累乗]]のような表現をする新しい単位記号となる(例: m<sup>2</sup>(平方メートル))
* いくつかの組立単位には固有の名称がつけられている。例えば1[[ニュートン (単位)|ニュートン]](N)は1 kg m/s<sup>2</sup>に等しい。固有の名称を持つ組立単位は、他の単位の組み立てに使用することができる。例えば、[[表面張力]]の単位はN/m(ニュートン毎メートル)ともkg/s<sup>2</sup>(キログラム毎秒毎秒)とも表現される。
 
* 「密度は単位体積あたりの質量である」という表現は「体積の『単位』によって割られた質量」という意味ではない。この「単位体積」という表現は「数値1と現在使用している体積の単位記号の積によって作られる『体積』」を示す。たとえば体積の単位としてm<sup>3</sup>を用いている場合、「単位体積」は 1 m<sup>3</sup> である。ある均質な物質の質量を''m''、体積を''V''、現在使用している単位系での単位体積を''V''<sub>0</sub>とすると、この物質の密度&rho;および単位体積あたりの質量''m''<sub>0</sub>は以下のように表される。
*:<math>\rho = \frac{m}{V} = \frac{m_0}{V_0} </math>
 
== 単位の換算 ==
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SI文書においては、「一つの表現において,単位は一回だけしか用いてはならない」と、複名数ではなく単名数を使用することと規定している<ref>{{cite web|url=https://unit.aist.go.jp/nmij/library/units/si/R8/SI8J.pdf|title=国際単位系(SI)日本語版|page=45|accessdate=2020-09-06}}</ref>。
 
== 概要脚注 ==
<references/>
 
== 関連項目 ==
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==外部リンク==
*[http://www.convertworld.com/ja/ Convertworld.com]
*{{PDFlink|[https://wwwunit.nmijaist.go.jp/nmij/library/units/#si/R8/SI8J.pdf 国際単位系 第8版 日本語訳(SI)]|531&nbsp;(国立研究開発法人[[キビバイト|KiB産業技術総合研究所]]}} 計量標準総合センター)
*[https://www.nmij.jp/library/#si 国際単位系(SI)](国立研究開発法人[[産業技術総合研究所]] 計量標準総合センター)
*{{Citation|和書|author1=森川鉄朗 |author2=西山保子 |url=https://hdl.handle.net/10513/284 |title=科学教育における量の計算法について |periodical=上越教育大学研究紀要 |volume=17 |number=1 |date=1997-9 |pages=365–375 |year=1997 |issn=0915-8162 }}.
 
== 脚注 ==
<references/>
 
{{Normdaten}}