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*自己監査の問題
:監査委員である取締役が取締役会で議決権を行使することは、自己監査につながり、従前の監査役会設置会社よりも監査機能が低下するという指摘もある。なお、監査等委員会設置会社も同様の問題を抱えている。
 
== 商業登記 ==
本稿では、指名委員会等設置会社の定めの新設及び廃止の手続き並びに2006年の[[会社法]]施行に伴う登記について説明する。
*この節で、[[商業登記法]]は「登記法」と、[[会社法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律]]は「整備法」と記載する。
 
=== 指名委員会等設置会社の定め新設 ===
==== 概要及び登記事項 ====
委員会非設置会社は[[定款]]を変更して指名委員会等設置会社となることができる([[b:会社法第915条|915条]]1項・[[b:会社法第911条|911条]]3項22号参照)。この場合、[[監査役]]・[[監査役会]]を置いている場合、廃止しなければならず([[b:会社法第327条|327条]]4項)、監査役は任期満了により退任する([[b:会社法第336条|336条]]4項2号)。また、[[取締役会]]を置いていない場合、[[取締役会設置会社]]となり(327条1項3号)、[[会計監査人]]を置いていない場合、[[会計監査人設置会社]]となる(327条5項)。なお、指名委員会等設置会社となった場合、従前の取締役及び[[会計参与]]は任期満了により退任する([[b:会社法第332条|332条]]4項1号・334条1項)。'''会計監査人は退任しない'''ので注意が必要である。
 
指名委員会等設置会社においては[[特別取締役]]による議決の定めをすることはできない([[b:会社法第373条|373条]]1項)。また、[[特例有限会社]]には委員会を置くことができない([[s:会社法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律#17|整備法17条]]1項)。
 
指名委員会等設置会社の定めの新設は定款変更であるから、[[株主総会]]の[[特別決議]]によらなければならない([[b:会社法第309条|309条]]2項11号・[[b:会社法第466条|466条]])。
 
登記事項は以下のとおりである(2006年3月31日民商782号通達第2部第3-10(2)ア(イ))。
* 指名委員会等設置会社の定めを設定した旨、指名委員・監査委員・報酬委員の氏名、執行役の氏名、代表執行役の氏名及び住所
* 従前の[[取締役]]等が退任した旨
* 取締役等が就任又は重任した旨
* 取締役のうち社外取締役である者について社外取締役である旨(既にその登記があるときを除く)
* 変更年月日
 
登記記録の具体例については、2006年4月26日民商1110号依命通知第4節第5-6(1)を参照。
 
==== 登記申請書記載事項(一部) ====
'''登記の事由'''([[b:商業登記法第17条|登記法17条]]2項3号)は「登記の事由 指名委員会等設置会社の定めの設定」のように記載する。
 
'''登記すべき事項'''(商業登記法17条2項4号)は以下のとおりである。
* 指名委員会等設置会社となった旨及び変更年月日
* [[取締役]]が退任・就任・重任した旨及び取締役の氏名並びに変更年月日
* [[代表取締役]]が退任した旨及び代表取締役の氏名・住所並びに退任年月日
* 指名委員・監査委員・報酬委員が就任した旨及び各委員の氏名並びに就任年月日
* 執行役が就任した旨及び執行役の氏名並びに就任年月日
* 代表執行役が就任した旨及び代表執行役の氏名・住所並びに就任年月日
 
また、以下の事項を記載しなければならない場合がある。
* 取締役のうち[[社外取締役]]である者について社外取締役である旨
* [[監査役設置会社]]の定めを廃止した旨及び変更年月日、[[監査役]]が退任した旨及び監査役の氏名並びに退任年月日
* [[監査役会設置会社]]の定めを廃止した旨及び変更年月日
* [[会計参与]]が退任・就任・重任した旨、会計参与の氏名又は名称及び計算書類等の備置き場所並びに変更年月日
* [[特別取締役]]による議決の定めを廃止した旨及び変更年月日、特別取締役が退任した旨及び特別取締役の氏名並びに退任年月日
* [[取締役会設置会社]]となった旨及び変更年月日
* [[会計監査人設置会社]]となった旨及び変更年月日、[[会計監査人]]が就任した旨及び会計監査人の氏名又は名称並びに就任年月日
 
登記すべき事項を記録した磁気ディスクを提出する場合<ref>{{Cite web |url=http://www.moj.go.jp/MINJI/MINJI50/minji50.html |title=商業・法人登記申請における登記すべき事項を記録した電磁的記録媒体の提出について |accessdate=2007-06-25 |publisher=法務省民事局}}</ref>、「登記すべき事項 別添CD-Rのとおり」のように記載し、OCR用紙に記載した場合(1993年12月27日民四7783号通達第7-1)、「登記すべき事項 別紙のとおり」のように記載する。
 
'''添付書面'''(1961年9月15日民甲2281号回答、一部)は株主総会議事録([[b:商業登記法第46条|登記法46条]]・[[b:商業登記法第54条|54条4項]])、取締役会議事録(登記法46条)及び就任を承諾したことを証する書面(登記法54条1項・2項1号)並びに[[印鑑証明書]]([[b:商業登記規則第61条|登記規則61条]]2項ないし4項)である(2006年3月31日民商782号通達第2部第3-10(2)ア(ウ)参照)。通数も記載しなければならない(1961年9月15日民甲2281号回答)。会計参与の重任・就任の場合、[[登記事項証明書]]もしくは会計参与が[[公認会計士]]又は[[税理士]]であることを証する書面も添付しなければならない(登記法54条2項2号・3号)。会計監査人設置会社となった場合については[[会計監査人設置会社]]も参照。
 
'''登録免許税'''(登記法17条2項6号)は指名委員会等設置会社の定め新設の分が申請1件につき申請1件につき3万円であり([[登録免許税法]]別表第1-24(1)ワ)、各委員等の就任及び取締役等の就任・重任・退任の登記の分が申請1件につき3万円(資本金の額が1億円以下の会社については1万円)である(同法別表第1-24(1)カ)。なお、監査役設置会社の定めを廃止した場合又は特別取締役による議決の定めを廃止した場合もしくは会計監査人設置会社の定めを新設した場合(複数の場合が混在する場合も同様)、別途申請1件につき3万円を納付しなければならない(同法別表第1-24(1)ネ)。
 
=== 指名委員会等設置会社の定め廃止 ===
==== 概要及び登記事項 ====
指名委員会等設置会社は[[定款]]を変更して委員会非設置会社となることができる([[b:会社法第915条|915条]]1項・[[b:会社法第911条|911条]]3項22号参照)。この場合、従前の[[取締役]]及び[[会計参与]]は任期満了により退任する([[b:会社法第332条|332条]]4項2号・[[b:会社法第334条|334条]]1項)。'''会計監査人は退任しない'''ので注意が必要である。
 
また、委員会非設置会社となった場合、以下の会社は[[監査役設置会社]]となる。
* 大会社([[公開会社]]である場合、[[監査役会設置会社]]にもなる)
* 非大会社が[[会計監査人設置会社]]の定めを廃止しない場合
* 非大会社が公開会社である場合
* [[公開会社でない会社|公開会社でない]]非大会社が会計監査人設置会社の定めは廃止したが取締役会設置会社の定めを廃止せずかつ会計参与を置いていない場合
 
指名委員会等設置会社の定めの廃止は定款変更であるから、株主総会の特別決議によらなければならない([[b:会社法第309条|309条]]2項11号・[[b:会社法第466条|466条]])。
 
登記事項は以下のとおりである(2006年3月31日民商782号通達第2部第3-10(2)ウ(イ))。
* 指名委員会等設置会社の定めを廃止した旨
* 取締役・委員・会計参与・執行役が退任した旨
* 取締役等が就任・重任した旨、
* 指名委員会等設置会社の定めの廃止により[[社外取締役]]の登記を抹消する旨([[特別取締役]]による議決の定め〈911条3項21号・373条1項〉を設定した場合又は社外取締役が負う責任の限度に関する契約の締結についての定款の定めの登記〈911条3項24号・[[b:会社法第427条|427条]]1項〉がある場合を除く)。
* 変更年月日
 
登記記録の具体例については、2006年4月26日民商1110号依命通知第4節第5-6(3)を参照。
 
==== 登記申請書記載事項(一部) ====
'''登記の事由'''([[b:商業登記法第17条|登記法17条]]2項3号)は「登記の事由 指名委員会等設置会社の定めの廃止」のように記載する。
 
'''登記すべき事項'''(登記法17条2項4号)は以下のとおりである。
* 指名委員会等設置会社の定めを廃止した旨及び変更年月日
* [[取締役]]・[[社外取締役]]が退任・就任・重任した旨及び取締役・社外取締役の氏名並びに変更年月日
* [[代表取締役]]が就任した旨及び代表取締役の氏名・住所並びに就任年月日
* 指名委員・監査委員・報酬委員が退任した旨及び各委員の氏名並びに退任年月日
* 執行役が退任した旨及び執行役の氏名並びに退任年月日
* 代表執行役が退任した旨及び代表執行役の氏名・住所並びに退任年月日
 
また、以下の事項を記載しなければならない場合がある。
*[[会計参与]]が退任・就任・重任した旨、会計参与の氏名又は名称及び計算書類等の備置き場所並びに変更年月日
* [[監査役設置会社]]となった旨及び変更年月日、[[監査役]]が就任した旨及び監査役の氏名並びに就任年月日
* [[監査役会設置会社]]となった旨及び変更年月日
 
登記すべき事項を記録した磁気ディスクを提出する場合及びOCR用紙に記載した場合の記載例は新設の場合と同様である。
 
'''添付書面'''(1961年9月15日民甲2281号回答、一部)は株主総会議事録(商業登記法46条・54条4項)及び定款変更後の機関設計に応じて必要となる書面である(2006年3月31日民商782号通達第2部第3-10(2)ウ(ウ))。具体的には、代表取締役の選定に関する書面や会計参与の重任・就任に関する書面などである。通数も記載しなければならない(1961年9月15日民甲2281号回答)。
 
'''登録免許税'''(登記法17条2項6号)は指名委員会等設置会社の定め廃止の分が申請1件につき3万円であり(登録免許税法別表第1-24(1)ワ)、各委員等の退任及び取締役等の退任・就任・重任の登記の分が申請1件につき3万円(資本金の額が1億円以下の会社については1万円)である(同法別表第1-24(1)カ)。なお、監査役設置会社の定めを設定した場合又は特別取締役による議決の定めを設定した場合もしくは会計監査人設置会社の定めを廃止した場合(複数の場合が混在する場合も同様)、別途申請1件につき3万円を納付しなければならない(同法別表第1-24(1)ネ)。
 
==== 登記の実行 ====
変更の登記をする場合、[[登記官]]は変更に係る登記事項を抹消する記号を記録しなければならない([[b:商業登記規則第41条|登記規則41条]])。
 
=== 2006年の会社法施行に伴う登記 ===
整備法の施行日(2006年5月1日)に存在する株式会社で[[株式会社の監査等に関する商法の特例に関する法律|商法特例法]]における委員会等設置会社の定款には、取締役会・委員会及び会計監査人を置く旨などの定めがあるものとみなされた([[s:会社法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律#57|整備法57条]]・[[s:会社法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律#66|66条]]1項前段・47条)。
 
この場合、委員会等設置会社である旨の登記は登記官の職権により抹消され(商業登記規則等の一部を改正する省令(2006年(平成18年)2月9日法務省令第15号)附則2条1項10号)、委員会設置会社である旨の登記が登記官の職権によりされた(同省令附則2条3項1号ロ)。根拠となる法務省令の番号と登記の日付なども記録された(同省令附則2条4項)。この登記の記録例については2006年4月26日民商1110号依命通知第9節第1-5を参照。
 
== 関連項目 ==