「練馬図書館テレビドラマ事件」の版間の差分

 
== 類例 ==
[[実業之日本社]]が刊行する[[小説誌]]『[[週刊小説]]』に、[[1976年]]([[昭和]]42年)9月13日号から[[1977年4]](昭和52年)4月1日号にかけて連載された[[森村誠一]]の推理小説『[[凶水系]]』には、実在の[[大田区立図書館|大田区立池上図書館]]の館名を明記したうえで、図書館員が捜査に協力する場面が描かれた。同館では職員同士の話し合いがもたれ、利用者が何を借りているかを容易に教えている点が問題となった。[[大田区教育委員会]]と大田区立図書館長に経緯を報告したが、具体的な支持は得られなかった。
 
1976年(昭和51年)11月25日、池上図書館の館長は実業之日本社に出向き、小説に登場する「図書貸出簿」は池上図書館には実在せず、だれがどの資料を借りているかはわからない貸出方法を採っている点、「常連が口をきけば2冊の貸出制限が4~5冊は借りられる」「名刺程度の身分証明で貸出カードを作れる」といった描写は事実と異なる点を説明した。その後も出版社側から連絡はなく、1977年(昭和52年)44月12日に再度池上図書館長が出版社側に説明を行った結果、同年5月19日に「単行本化に際し、館名と地名を変え、架空の図書館とした」旨が池上図書館長に報告された。図問研の図書館の自由委員会は、[[日本推理作家協会]]報1977年6月号に「図書館は[[日本国憲法第19条]]に根拠を持つ『読書の自由』を守る立場から、犯罪捜査に協力して利用記録を警察に見せたりしない。このことを[[推理作家]]に理解していただき、作品に生かしてほしい」とする主旨の文を寄せた。これに対し、森村は1977年7月発行の森村誠一長編推理選集第5巻月報に「森村が実際に利用している図書館では貸出簿がある。1館の例外もなく捜査に協力しないのであれば小説といえども事実に反することは書くべきではないが、法律上の[[守秘義務]]が存在するわけでもなく、実際には協力する図書館も少なくない。本作において、図書館の捜査協力は構成上不可欠の要素であり、図書館側の要請を受け入れることは作品の宿命を変えることとなる。これは[[思想・良心の自由|思想]]と[[言論の自由]]に対する干渉ではないか」と反論したうえで、「本作のような設定で、捜査協力が思想調査につながるとするのは被害誇大であると思うが、今後の作品においては図書館の権利のために協力するつもりである」と記している。本件は図書館の自由に関する宣言の改訂作業中の出来事であり、図書館に対する同宣言の普及に向けた問題提起となった<ref>{{Harv|図書館の自由委員会|1997|pp=141-142}}</ref>
図問研の図書館の自由委員会は、[[日本推理作家協会]]報1977年6月号に「図書館は[[日本国憲法第19条]]に根拠を持つ『読書の自由』を守る立場から、犯罪捜査に協力して利用記録を警察に見せたりしない。このことを[[推理作家]]に理解していただき、作品に生かしてほしい」とする主旨の文を寄せた。これに対し、森村は1977年7月発行の森村誠一長編推理選集第5巻月報に「森村が実際に利用している図書館では貸出簿がある。1館の例外もなく捜査に協力しないのであれば小説といえども事実に反することは書くべきではないが、法律上の[[守秘義務]]が存在するわけでもなく、実際には協力する図書館も少なくない。本作において、図書館の捜査協力は構成上不可欠の要素であり、図書館側の要請を受け入れることは作品の宿命を変えることとなる。これは[[思想・良心の自由|思想]]と[[言論の自由]]に対する干渉ではないか」と反論したうえで、「本作のような設定で、捜査協力が思想調査につながるとするのは被害誇大であると思うが、今後の作品においては図書館の権利のために協力するつもりである」と記している。本件は図書館の自由に関する宣言の改訂作業中の出来事であり、図書館に対する同宣言の普及に向けた問題提起となった<ref>{{Harv|図書館の自由委員会|1997|pp=141-142}}</ref>。
 
1979年(昭和54年)の図書館の自由に関する宣言改訂以降も、いわゆる刑事もののフィクション作品で図書館員が利用者の秘密を漏らす描写は<!--1994年1月の[[テレビ朝日]]{{Efn|name="NET"}}『[[さすらい刑事旅情編]]IV 本を読む女』([[朝霞市立図書館]])放送履歴に尋ね当たらず-->、1995年(平成7年)2月の[[日本テレビ放送網|日本テレビ]]『[[火曜サスペンス劇場]] [[女検事・霞夕子#新・女検事_霞夕子|新女検事霞夕子]]4 輸血のゆくえ』([[藤岡市立図書館]])などで相次いだ<ref>{{Harv|図書館の自由委員会|1997|pp=147}}</ref>。[[2003年]](平成15年)11月19日に[[テレビ東京]](テレ東)が放映した『夏樹静子サスペンス [[特捜刑事・遠山怜子]]』でも同様の事例があり、テレ東では図書館の信頼を損ねたことを謝罪し、[[再放送]]ではその場面をカットした<ref>{{Cite press release |title=図書館は読書の秘密を守ることについて(ご理解の要請)|publisher=日本図書館協会 図書館の自由委員会|date=2005-02-01|url=https://www.jla.or.jp/portals/0/html/jiyu/yousei.html|accessdate=2021-05-27}}</ref>。
[[刑事]]もの以外で図書館利用者の秘密に関する描写が議論になった作品としては、1989年(平成元年)の[[柊あおい]]による漫画作品、および同書を原作とする1995年(平成7年)の[[スタジオジブリ]]のアニメ映画『[[耳をすませば]]』が著名である。主人公の少女が、公立図書館の[[ニューアーク方式]]の読書カードに名前のあった少年に興味を持ったことから始まる物語であったが、映画化当時においてこの貸出方法は一般的ではなく、日本図書館協会の申し入れによりDVD化の際にその旨の字幕が付け加えられた<ref>{{Cite journal|和書 |author=大平睦美 |title=学校図書館の現状 : 私立K中学高等学校における図書館の変遷から |journal=大阪大学教育学年報 |issn=1341-9595 |publisher=大阪大学大学院人間科学研究科教育学系 |year=2009 |month=mar |issue=14 |pages=27-35 |naid=120004846535 |doi=10.18910/12350 |url=https://doi.org/10.18910/12350 |accessdate=2021-06-04}}</ref>。[[日本放送協会|NHK]]の[[連続テレビ小説]]『[[ぴあの]]』でも、利用者の貸出記録の照会に容易に答える図書館員が描かれ、問題視された<ref>{{Cite web |date=2002-08-01|url=https://www2.okiu.ac.jp/yamaguchi/kiyou/7-1yamaguchi.pdf|title=読書記録はプライバシーか? 「図書館の自由」に関する意識調査(2000年度~2002年度)|author=山口真也|format=PDF|accessdate=2021-06-07}}</ref>。
 
2015年(平成27年)に『[[週刊少年ジャンプ]]』に掲載された[[麻生周一]]の漫画『[[斉木楠雄のΨ難]]』の「第170χ 図書館のΨ難」において名前の書かれた貸出カードを軸に進むストーリーとなっていることについて[[学校図書館問題研究会]]が学校図書館が利用者のプライバシーに配慮している旨の注釈をつけることを検討して欲しいと作者と編集部に申し入れ、編集部はプライバシー保護に関しては考えを共有しており作品作りに活かすことと合わせて、漫画は「現実ではありえない空想的ストーリーを描いたフィクション」であるため、貸出カードの悪用とは問題が異なり、真似ることが可能な現実的なストーリーならまだわかるが、そうではないため注釈をつけるのを断っている<ref>{{Cite web |date=2015-12-21|url=http://gakutoken.net/joj47vju2-49/?block_id=49&active_action=journal_view_main_detail&post_id=302&comment_flag=1|title=「斉木楠雄のΨ難」プライバシーにかかわる描写への対応|publisher=学校図書館問題研究会|accessdate=2021-06-10}}</ref>。学校図書館問題研究会は漫画『[[花よりも花の如く]]』第18巻<ref>{{Cite web |date=2019-03-15|url=http://gakutoken.net/opinion/appeal/?action=common_download_main&upload_id=1062|title=『花よりも花の如く』18 巻と『魔法にかかった新学期』2 巻における 利用者のプライバシーにかかわる描写について|format=PDF|publisher=学校図書館問題研究会|accessdate=2021-06-10}}</ref>、2007年(平成19年)に日本テレビ系で放送されたアニメ『[[名探偵コナン (アニメ)|名探偵コナン]]』第461話「消えた1ページ」<ref>{{Cite web |date=2007-03-01|url=http://gakutoken.net/opinion/?action=cabinet_action_main_download&block_id=305&room_id=1&cabinet_id=2&file_id=52&upload_id=500|title=「名探偵コナン」1 月 22 日放送 第 461 話「消えた 1 ページ」についての申入書|format=PDF|publisher=学校図書館問題研究会|accessdate=2021-06-10}}</ref>、2005年(平成17年)に[[フジテレビジョン|フジテレビ]]系で放送のテレビドラマ『[[みんな昔は子供だった]]』第3話の同様のシーンでも申し入れを行っている<ref>{{Cite web |date=2015-03-01|url=http://gakutoken.net/opinion/?action=cabinet_action_main_download&block_id=305&room_id=1&cabinet_id=2&file_id=57&upload_id=505|title=ドラマ「みんな昔は子供だった」第 3 回についての申入書|format=PDF|publisher=学校図書館問題研究会|accessdate=2021-06-10}}</ref>。
 
学校図書館問題研究会は漫画『[[花よりも花の如く]]』第18巻<ref>{{Cite web |date=2019-03-15|url=http://gakutoken.net/opinion/appeal/?action=common_download_main&upload_id=1062|title=『花よりも花の如く』18 巻と『魔法にかかった新学期』2 巻における 利用者のプライバシーにかかわる描写について|format=PDF|publisher=学校図書館問題研究会|accessdate=2021-06-10}}</ref>、2007年(平成19年)に日本テレビ系で放送されたアニメ『[[名探偵コナン (アニメ)|名探偵コナン]]』第461話「消えた1ページ」<ref>{{Cite web |date=2007-03-01|url=http://gakutoken.net/opinion/?action=cabinet_action_main_download&block_id=305&room_id=1&cabinet_id=2&file_id=52&upload_id=500|title=「名探偵コナン」1 月 22 日放送 第 461 話「消えた 1 ページ」についての申入書|format=PDF|publisher=学校図書館問題研究会|accessdate=2021-06-10}}</ref>、2005年(平成17年)に[[フジテレビジョン|フジテレビ]]系で放送のテレビドラマ『[[みんな昔は子供だった]]』第3話の同様のシーンでも申し入れを行っている<ref>{{Cite web |date=2015-03-01|url=http://gakutoken.net/opinion/?action=cabinet_action_main_download&block_id=305&room_id=1&cabinet_id=2&file_id=57&upload_id=505|title=ドラマ「みんな昔は子供だった」第 3 回についての申入書|format=PDF|publisher=学校図書館問題研究会|accessdate=2021-06-10}}</ref>。
 
== 脚注 ==