「日本のヘイトスピーチ」の版間の差分

公職選挙法<!--225条・230条・234条-->は公職候補への演説の妨害に関する選挙の自由妨害罪が規定されており、選挙妨害をした者には懲役4年以下の懲役刑・禁錮刑か100万円以下の罰金刑に、多衆集合して選挙妨害をした場合は「首謀者は1年以上7年以下の懲役刑・禁錮刑」「他人を指揮し又は他人に率先して勢を助けた者は6月以上5年以下の懲役刑・禁錮刑」「付和随行した者は20万円以下の罰金又は科料」の刑事罰が、選挙妨害を煽動した場合は1年以下の禁錮又は30万円以下の罰金の刑事罰がそれぞれ規定されている<ref name="mainichi_20160903">{{Cite news|title=ヘイトスピーチ 選挙中は野放し 政治活動との線引き課題|newspaper=毎日新聞 |date=2016-09-03}}</ref><ref name="asahi_20160804">{{Cite news|title=「選挙運動の形したヘイトスピーチ」 都知事選巡り課題|newspaper=朝日新聞 |date=2016-08-04}}</ref>。また、街頭でヘイトスピーチを繰り返すデモに「カウンター」と呼ばれる市民たちの反対運動が活発化しているが、公職選挙法の規定により、公職選挙における街頭演説におけるヘイトスピーチに対して目立った抗議の声は上がらないことがあるという<ref name="mainichi_20160903"/><ref name="asahi_20160804"/>。なお、公職選挙における街頭演説でといえども特定個人や特定団体を対象としたヘイトスピーチをする選挙演説については、信用毀損罪、名誉毀損罪、侮辱罪、脅迫罪や業務妨害罪といった既存の法律で事後的に刑事罰の対象となるが、漠然とした集団を対象としたヘイトスピーチをする選挙演説については一部の地方自治体のヘイトスピーチ条例を除けば刑事罰の対象とならずに事後的な法対処がない。公職選挙法に規定された選挙演説におけるヘイトスピーチについて問題視する意見がメディアに出ることがある<ref name="mainichi_20160903"/><ref name="asahi_20160804"/><ref>{{Cite news|title=ヘイトスピーチ 選挙演説の内容 どう対処すべきか|newspaper=毎日新聞 |date=2016-09-19}}</ref>。
 
日本国憲法や条約(批准済み)の中には以下のように人権保護を目的とした規定が複数存在するが、これらはいずれも直接的には行政府を拘束し規制するのが主目的であり、私人間には民法709条等の個別の規定の解釈適用を通じてその趣旨を実現するとする解釈が判例・通説の立場である{{refnest|group="注"|「人種差別撤廃条約は、国法の一形式として国内法的効力を有するとしても、その規定内容に照らしてみれば、国家の国際責任を規定するとともに、憲法13条、14条1項と同様、公権力と個人との関係を規律するものである。すなわち、本件における被控訴人と控訴人らとの間のような私人相互の関係を直接規律するものではなく、私人相互の関係に適用又は類推適用されるものでもないから、その趣旨は、民法709条等の個別の規定の解釈適用を通じて、他の憲法原理や私的自治の原則との調和を図りながら実現されるべきものであると解される。」2014年(平成26年7)7月8日大阪高等裁判所判決}}。また、日本政府も私人間については「私人間の関係において差別行為が生じた場合には、法務省の人権擁護機関において、その救済のため速やかに適切な措置がとられることとなっている。また、私法的関係については、民法により、不法行為が成立する場合は、このような行為を行った者に損害賠償責任が発生するほか、差別行為は、私的自治に対する一般的制限規定である民法第90条にいう公序良俗に反する場合には、無効とされる場合がある。更に、差別行為が刑罰法令に触れる場合は、当該刑罰法令に違反した者は処罰されることとなっている。」としている([[児童の権利に関する条約]]締結時日本政府回答)<ref>[https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/jido/pdfs/0804_kj03.pdf 児童の権利に関する条約 第3回日本政府報告(日本語仮訳)]</ref>。
 
* 1979年に批准した[[市民的及び政治的権利に関する国際規約]]が第20条第2項で、「人種差別扇動の言動は法を以って禁止する」、同規約第2条第2項は「規約締結各国は規約で認められる権利を実現するために適切な国内法制がない場合は整備する」とあるが、日本では既に憲法第14条第1項にて人種、信条、性別、社会的身分または門地により差別されないと定めているというのが日本政府の立場である<ref>{{PDFlink|[https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/000031106.pdf 市民的及び政治的権利に関する委員会からの質問事項に対する日本政府回答(仮訳)]}}</ref>。また同条約は処罰までは求めていない。
* 1995年に批准した[[あらゆる形態の人種差別の撤廃に関する国際条約|人種差別撤廃条約]]第4条では「人種的優越または憎悪に基く思想のあらゆる流布、人種差別の扇動を『法律で処罰すべき[[犯罪]]であること』を宣言すること」(a項)と、「[[人種差別]]を助長し及び扇動する団体、及び組織的宣伝活動その他のすべての宣伝活動を、『違法であるとして禁止するもの』とすること」(b項)とされているが、日本では憲法の保障する集会、結社、表現の自由等を不当に制約するおそれ、言論を不当に萎縮させるおそれ、刑罰の構成要件とするには刑罰の対象となる行為とそうでないものの境界がはっきりしないなどの点から、「憲法に抵触しない限度において義務を履行する留保を行っている。日本のほかにも[[アメリカ合衆国|アメリカ]]、[[スイス]]が留保を付しており、[[イギリス]]、[[フランス]]では解釈宣言を行っている<ref>[https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/jinshu/top.html 人種差別撤廃条約 Q&A] 外務省</ref>。
* [[日本国憲法第14条]]第1項では「すべて[[国民]]は、法の下に平等であって、[[人種]]、[[信条]]、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。」と、国民([[日本国籍|日本国民]])の平等権について明記されているが、この条文は直接的には私人間に適用されず、その趣旨は、「『民法709条等の個別の規定の解釈適用を通じて、他の憲法原理や私的自治の原則との調和を図りながら実現されるべきものであると解されるとされている<ref>2014年(平成26年7)7月8日大阪高等裁判所判決</ref>。
 
== 法理上の議論 ==