「宮崎早野論文問題」の版間の差分

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== 宮崎早野論文の社会的な影響 ==
「放射線障害防止の技術的基準に関する法律」第四条に基づき[[原子力規制委員会]]内に設置されている放射線審議会で、[[2018年]][[9月28日]]に実施された「第142回総会放射線審議会」<ref>「第142回総会放射線審議会 | 原子力規制委員会」のサイト令和2年3月21日、https://www.nsr.go.jp/disclosure/committee/houshasen/00000035.html</ref>において宮崎早野論文が取り上げられた。この審議会では、原発事故後に広範囲に放射線で汚染被害が拡大し通常の被ばく基準を上回った際、被害リスクや非難リスクとを踏まえたうえでの限度となる判断基準を検討しており<ref>「第142回総会放射線審議会 | 原子力規制委員会」のサイト平成30年9月28日、https://www.nsr.go.jp/disclosure/committee/houshasen/00000035.html、2021年年3月21日閲覧</ref>、[[ICRP]]勧告上の用語である緊急時の「緊急時被ばく」や中長期にわたる際の「現存被ばく」においての「放射線障害にかかわる技術的基準の策定」の参照研究の一つとして宮崎早野論文が言及された<ref>第142回総会放射線審議会「142-2号:東京電力福島第一原子力発電所事故の教訓を踏まえた緊急時被ばく状況及び現存被ばく状況における放射線障害防止に係る技術的基準の策定の考え方について(案)」平成30年9月28日、https://www.nsr.go.jp/data/000246876.pdf、13ページ、2021年3月15日閲覧</ref>。宮崎早野第一論文では「現在の空間線量から数十年間にわたる積算の実効線量」を求めており、空間線量と被ばく線量率の比例係数の平均値が0.15とされこれに基づき[[実効線量]]の換算が示唆されている。一方で、原子力規制委員会などが用いている「空間線量から実効線量」の換算方法では0.6(住居遮蔽係数が0.4、屋外滞在時間が8時間として1/3+0.4×2/3)を用いている。牧野淳一郎はこの点から、宮崎早野論文の結果を重視すれば現行の原子力規制委員会の空間線量から実効線量への換算係数が過大ではないかとの結論になりかねない点を指摘している<ref>牧野淳一郎「3.11以後の科学リテラシー№75」『岩波書店 科学』2019年3月号(通巻1039号)、267ページ。</ref>。実際には、放射線審議会内のまとめでは、宮崎早野論文の結果は「取り上げない」としたが「学術的な意義について全否定されるものではない」とし、「空間線量率と実効線量が関係づけられてる基準は、結果としてさらに相当程度の裕度があった」としている<ref>「第143回総会放射線審議会「143-1-2号 東京電力福島第一原子力発電所事故の教訓を踏まえた緊急時被ばく状況及び現存被ばく状況における放射線障害防止に係る技術的基準の策定の考え方について(案)(第142回総会資料142-2号からの見え消し)」のサイト平成31年1月25日、https://www.nsr.go.jp/data/000259696.pdf、16ページ、2021年年3月21日閲覧</ref>。また牧野はこの放射線審議会で参照されている福島県[[飯舘村]]の調査を行った「内藤論文<ref>『Measuring and assessing individual external doses during the rehabilitation phase in litate village after the Fukushima Daiichi nuclear power plant accident (Naito et al., J.Radio. Prot. 37, 2017』、https://iopscience.iop.org/article/10.1088/1361-6498/aa7359/pdf、2021年3月21日閲覧</ref>」にもこの調査論文の欠陥としてとして「空間線量率は航空機サーベイであり除染結果を反映できるだけの空間能がない」として、航空機サーベイでの空間線量値と実際の被ばく量との「関係を表せる」という点を指摘している<ref>牧野淳一郎「3.11以後の科学リテラシー№75」『岩波書店 科学』2019年3月号(通巻1039号)、268-9ページ。</ref>。
 
== 脚注 ==