「塩化カリウム」の版間の差分
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[[水酸化カリウム]]と共に、最も一般的なカリウム源として化学工業に用いられる。
工業原料の他、農業資材としてカリウム[[肥料]]としても市販されている([[単肥]]として売られるだけでなく、[[複合肥料]]の原料としてよく用いられる。)。
カリウムイオンは体内で、ナトリウムと共に[[膜電位]]の形成に寄与している。通常の状態ではカリウムイオン濃度は細胞内で高く、体液(血液も含む)中では低くなるように維持されている。腎疾患や高濃度の静脈内投与により[[高カリウム血症]]を引き起こされた場合、不整脈から最悪の場合は心不全にいたり死亡することがある。{{main|高カリウム血症}}なお、医学や獣医学などの分野では、動物に対する[[安楽死]]などの目的で心停止液としても利用される<ref>[[チオペンタール]](意識喪失)、筋弛緩剤(呼吸筋の無力化)とともに[[死刑]]の執行に使用される([[薬殺刑]])。[[ジャック・ケヴォーキアン]]の自殺装置に使用されたことにより、派生的に多くの[[安楽死|積極的安楽死]]の薬剤の一つとして知られるようになった(ジャック・ケヴォーキアンの[[ジャック・ケヴォーキアン#タナトロン|タナトロン]]参照のこと)</ref><ref>[http://www.med.akita-u.ac.jp/~doubutu/ouu/euthanasia2.html 動物実験における安楽死法 秋田大学バイオサイエンス教育・研究センター 動物実験部門]</ref>。また、[[アメリカ合衆国]]では薬物による[[死刑]]執行時に使用する薬物としても知られる。▼
赤外線領域での光線透過率が高く、[[塩化ナトリウム]]や[[臭化カリウム]]などと共に赤外分光用の窓や試料の封止材としても使用される。
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=== 肥料 ===
[[硫酸カリウム]]とともに代表的なカリ肥料であり、硫酸カリウムより安価なため選択される機会が多い。吸湿性は保存や取り扱い面で不利であるが、一方で土壌に含まれるリン酸三石灰に作用して可溶性の[[リン酸三カリウム]]に変化させる役割を果たす。吸湿性の高さは不純物の[[塩化マグネシウム]]の多寡による。乱用すると石灰分が流亡するため、有機質肥料などを併用ことがある<ref>塘隆男「カリ肥料」『新版 林業百科事典』第2版第5刷 p112 日本林業技術協会 1984年</ref>。
=== 医学 ===
{{main|en:Potassium chloride (medical use)}}
カリウムイオンは体内で、ナトリウムと共に[[膜電位]]の形成に寄与している。通常の状態ではカリウムイオン濃度は細胞内で高く、体液(血液も含む)中では低くなるように維持されている。[[低カリウム血症]]の治療として静脈注射されるが、薬剤の規定量が決められており、腎疾患などがある場合は投与に慎重さを求められる。[[WHO必須医薬品モデル・リスト]]の候補としても挙げられている。[[高カリウム血症]]を起こさない限りは安全であるが、高カリウム血症となった場合は副作用として、心停止の他、腹痛、消化性潰瘍疾患などを引き起こす。
;死刑
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:死刑の際には、three drug cocktail と呼ばれる 3つの薬剤が使用される。(1)意識を喪失させる薬剤(2)呼吸する筋肉を止める(3)心停止させる薬剤の3番目に使用されるが、(1)が正常に機能しなかった場合は、苦痛を感じることとなる他、手順が煩雑でミスが起きやすい。残酷で異常な刑罰を課すことを禁じる[[アメリカ合衆国憲法修正第8条]]に反するという意見もあり、一度の薬物投与で済む[[バルビツール酸系]]の薬物に変える議論も起きている<ref>[https://newrepublic.com/article/117641/three-drug-cocktail-death-penalty-used-oklahoma-mess The Three-Drug Death Penalty Cocktail is a Mess] 出版者:{{ill2|The New Republic|en|The New Republic}} 参照日:2021.7.17</ref>。
== 製法・産出 ==
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{{Indent|<math>\rm HCl + KOH \longrightarrow KCl + H_2O</math>}}
植物はカリウムを栄養素としており燃やして得られた灰から得られる塩(海藻を燃やして得られる藻塩、内陸部で植物を燃やして作られる灰塩)に多くみられる。また、海塩を作る際に出る[[にがり]]を構成している成分の一つである。
塩化カリウムの具体的な[[精製]]方法はいくつかあることが知られている。まず一つは[[溶解度]]の差を用いるもので、混合物を水に溶かし、水を[[蒸発]]させつつ連続して[[結晶化]]させるものである。この方法の欠点は、熱を加えるのに大きなエネルギーが必要で、コストが高くなりがちだということである。もう一つの方法は、いわゆる[[浮遊選鉱]]法である。まず混合物に[[飽和食塩水]]を加え、次に空気を[[懸濁液]]に吹き込み塩化カリウムの結晶を選択的に気泡に付着させ、その塩化カリウムの泡を表面からすくいとるというものである。[[塩化ナトリウム]]の結晶は底に沈んだところを回収する。この方法はコストを抑えることができる。他の方法としては、静電的なプロセスも用いられることがある<ref>{{Cite book|title=レイナーキャナム無機化学(原著第4版)|date=2009年3月19日|year=|publisher=東京化学同人|ページ=|page=167}}</ref><ref>{{Cite web|url=http://bsikagaku.jp/f-industry/KCl-industry.pdf|title=「肥料製造学」 塩化加里|accessdate=2020年6月8日|publisher=BSI生物科学研究所}}</ref>。
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