「19式装輪自走155mmりゅう弾砲」の版間の差分

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[[File:Fire power 02 Type19 03.jpg|thumb|250px|走行中の試作車]]
[[File:HX77 (8x8) with RMMV MAC protected cabin.JPG|thumb|250px|試作車両に採用されたHXシリーズの8×8輪仕様]]
[[File:Fire power 02 Type19 02.jpg|thumb|250px|試作車の側面、地面にめり込ませる形のアウトリガーや排土板型の駐鋤を装備しない、本車独特の接地機器駐鋤が確認できる]]
近年の砲兵戦では、[[対砲兵レーダー|対砲迫レーダー]]、火光標定、音源標定、[[無人航空機|無人偵察機]]などの各種観測装置と[[戦術データ・リンク]]の発達により、砲迫の攻撃を受けると瞬時に射撃位置が標定され、反撃が実施される体制が確立されているためおり、短時間の射撃の後に陣地変換をする場合が多くなって([[:en:Shoot-and-scoot|シュート・アンド・スクート]])。19式装輪自走155mmりゅう弾砲が更新する予定のFH-70は牽引砲でありな自走が可能であるものの一方、その能力は限定的であり、また射撃準備や牽引体勢への移行に時間がかかるという欠点を持があていた。
 
本砲は、その問題解決するために火砲を大型のトラックと合体させ、射撃準備と撤去に必要な時間を削減している。ただしこの種の榴弾砲全般の問題ではあるものの、ヘリコプターを使った空輸が不可能になる等の欠点が存在する。
 
火砲は自らの射撃の反動を、砲口制退器、駐退機、駐鋤 (ちゅうじょ)、[[アウトリガー]]、自重等によって減衰させている。大型の装軌式火砲では、反動を自重と接地圧で吸収することが可能であるが、牽引式や装輪式の火砲の場合には駐鋤やアウトリガーを地面にめり込ませる必要がある。各国の装綸自走砲では、カエサルが駐鋤を、アーチャーがアウトリガーを採用している。ただし全周旋回可能な砲塔を持たず(ただし、左右各45°程度は旋回可能)な砲塔を持たず、装軌式や補助輪付き牽引砲のようにその場で旋回することが不可能なこの方式は、射界の外に敵部隊が出現した場合に車体ごと移動させる必要があり、対応に時間がかかる他、地面が舗装された市街地では駐鋤が使用できず運用に難があるという欠点が存在する。
 
試作車両では[[MAN (企業)|MAN]]社の軍用トラック[[:en:RMMV HX range of tactical trucks|HXシリーズ]]の8×8輪・右ハンドル仕様をベースとして採用している<ref name=norimono19-8-24/>。一方、19式ではイメージ図の段階では車体後部にドーザー型の駐鋤が描かれているが、試作車では底にスパイクを設置した平らな台形の駐鋤を接地させている。このため、従来の装輪自走砲と異なり舗装地での射撃が可能となる。
火砲は自らの射撃の反動を、砲口制退器、駐退機、駐鋤 (ちゅうじょ)、[[アウトリガー]]、自重等によって減衰させている。大型の装軌式火砲では、反動を自重と接地圧で吸収することが可能であるが、牽引式や装輪式の火砲の場合には駐鋤やアウトリガーを地面にめり込ませる必要がある。各国の装綸自走砲では、カエサルが駐鋤を、アーチャーがアウトリガーを採用している。ただし、全周旋回可能(ただし、左右各45°程度は旋回可能)な砲塔を持たず、装軌式や補助輪付き牽引砲のようにその場で旋回することが不可能なこの方式は、射界の外に敵部隊が出現した場合に車体ごと移動させる必要があり、対応に時間がかかる他、地面が舗装された市街地では駐鋤が使用できず運用に難があるという欠点が存在する。
 
試作車両では[[MAN (企業)|MAN]]社の軍用トラック[[:en:RMMV HX range of tactical trucks|HXシリーズ]]の8×8輪・右ハンドル仕様をベースとして採用している<ref name=norimono19-8-24/>。一方、19式ではイメージ図の段階では車体後部にドーザー型の駐鋤が描かれているが、試作車では底にスパイクを設置した平らな台形の駐鋤を接地させている。このため、従来の装輪自走砲と異なり舗装地での射撃が可能となる。
 
{{装輪型自走榴弾砲}}
 
=== 砲 ===
搭載砲は、[[99式自走155mmりゅう弾砲]]に搭載されているした155mm52口径榴弾砲の技術を流用すると発表されており、公開されている想像図・写真でも反動を低減させる[[マズルブレーキ|砲口制退器]]が99式と同じものであることが確認できる。[[排煙器]](エバキュエーター) については排煙の戦闘室への逆流対策をする必要が無くなったため取り外されている他、砲身の基部には大型の[[駐退機|駐退復座装置]]が確認できる。
 
砲塔は全旋回は不可能だが、正確な旋回角は不明ながらも、展開訓練では、片側(左右各) 45°程度(左右合わせて90°程度以内)は旋回でき、車体を動かさずともその場で射撃ができるようになっている。
 
==== 使用弾 ====
使用される砲弾について発表されていない基本的に99式の砲と同等性能であり、砲弾や装薬も同じものが使用可能であるという<ref name=norimono19-8-24/>。このため、陸上自衛隊で採用されている[[M107 (榴弾)|M107]]やL15のような榴弾に加えて[[照明弾]]や[[発煙弾]]と言った弾種が使用可能であると考えられる。
 
砲弾の射撃に当たっ際しては、射撃指揮班 (FDC)による[[座標]]、[[高度]]、遮蔽物、[[天候]]、[[風向]]、[[風速]]、[[湿度]]、[[気温]]、[[コリオリの力]]、弾薬の状態にいたるまで加味した高度な計算により射撃方位角と射角が算定され、試射・修正射を行った後に効力射が実施されるが、射距離が伸びることの延長で[[平均誤差半径]] (CEP)は拡大してしまうする。近年諸外国では命中精度を飛躍的に高める[[グローバル・ポジショニング・システム|GPS]]誘導砲弾([[M982 エクスカリバー]]等)、[[レーザー誘導]]砲弾([[M712 カッパーヘッド]])、対戦車誘導砲弾 ([[Sense and Destroy ARMor|SADARM]])等が開発・配備されているが、そのような砲弾が採用されるのかは分かっていない不明
 
[[信管]]については自衛隊が公開していないため詳しく分かっていないおらず不明だが、諸外国と同じく地面弾着後衝突して起爆する瞬発式や、[[曳火]]射撃に使用される時限式やCVT(レーダー)式を使用すると思われる。
 
=== 装填装置 ===
榴弾砲は射距離を細かく調節する関係上、装薬の量を調整する必要があり、[[砲弾]](信管含む)、[[ガンパウダー|装薬]]、[[火管]]はすべて別々に装填される。
 
装薬について袋詰めされた装薬を組合せる薬嚢方式や近年諸外国で採用されているモジュラー(連結)方式、105mm砲などに採用されている分離薬莢方式、[[アメリカ軍]]が開発に失敗した液体装薬方式等が存在するが、19式装輪自走155mmりゅう弾砲がどのような方式を採用しているのかは不明である。
 
FH70や[[75式自走155mmりゅう弾砲]]は特定の射角でのみ装填可能な固定角装填方式を採用していたため、射撃するたびに装填位置に砲身を動かす必要があったが、99式については射撃の際に砲身を動かしていないためおらず、いかなる角度でも装填が行えると見られている。この方式は射撃速度が速くなるため、近年の榴弾砲でよく見られる1門の火砲の連続射撃によって「同時弾着射撃 ([[:en:Time On Target|Time On Target, TOT]]もしくは[[:en:Artillery#MRSI|Multiple Rounds Simultaneous Impact, MRSI]])」を実施する際に重要な要素となるが、本砲において採用されるのかは分かっていない不明
 
本砲では装輪式とすることで高い機動性を確保することに主眼が置かれており、車重およびサイズの兼ね合いから全自動装填装置の採用は見送られ、砲弾のみ自動、装薬は手動の半自動装填となっている。このため、操法人員は99式より1名多い5名となっている<ref name=norimono19-8-24/>。
 
[[尾栓|閉鎖機]]についてFH-70では垂直鎖栓式を採用していたが、19式装輪自走155mmりゅう弾砲の試作車では[[隔螺式|断隔螺]]式閉鎖機を採用している<ref>{{Cite web|url=https://www.mod.go.jp/atla/rikusouken.html|title=防衛装備庁陸上装備研究所広報ビデオ (令和2年版)|accessdate=20200613|publisher=防衛装備庁}}</ref>。
 
{| class="wikitable" align="none" cellpadding="4" style="background:#fff; text-align:center;"
[[ファイル:U.S. Army Sgt. Scott Cunningham, foreground, with Alpha Battery, Field Artillery Squadron, 2nd Cavalry Regiment, aligns the sight on an M777 howitzer to the collimator with the help of two Soldiers during 121025-A-TF309-006.jpg|thumb|250px|[[M777 155mm榴弾砲|M777]]に搭載されたパノラマ眼鏡を使用してコリメーター設置を行う[[アメリカ陸軍]]の兵士]]
 
榴弾砲は[[間接射撃|間接照準射撃]](目視できない敵に対する射撃)ために作られた砲であり、自衛目的などで行われる直接照準射撃(敵を目視して行う射撃)を除いては基本的に単体で照準を行うことが出来ない。敵および弾着の確認を行う[[射弾観測|射弾観測部隊]]、目標の確定と射撃部隊の選択を行う火力調整所 (FSCC)、射撃に使用する方位角や射角を計算する射撃指揮所(FDC)、そしてそれらの部隊と射撃部隊を繋ぐ通信システムが射撃において必要となる。
 
本砲が更新する予定のFH-70は、自己位置の評定に[[測量]]が必要であり、射撃に必要な[[方位角]]入力([[:en:Gun laying|射向付与]])するには、方向盤(Aiming Circle、[[方位磁針]]により正確な方位角を測定する装置)と各火砲に搭載されたパノラマ眼鏡の反覘(はんてん)法および照準点となる[[コリメーター]]や標桿等の設置が必要となっている。また、射撃指揮所(FDC)で計算された射角や方位角、信管の調整は無線や有線により音声で各火砲に伝えられていた。
 
このような人間によるアナログ方式の照準は陣地進入から射撃までの時間がかかり、また諸元の入力ミスや弾着の誤差が発生しやすい欠点がある。[[北大西洋条約機構]]や陸上自衛隊で射撃に使用される単位「[[ミル (角度)|ミル]]」は、円周を6400等分した単位で、1ミル間違えるだけで1km先で約1m、10km先では約10mの弾着のズレが生じてしまう。[[2013年]]には[[北海道]]の[[矢臼別演習場]]で訓練を行っていた[[アメリカ海兵隊]]がパノラマ眼鏡の操作を誤り20度ずれた状態で射撃を行うという事件も発生している<ref>2013年6月14日 読売新聞 目標20度ずれ誤射、専門家「信じられぬミス」</ref>。
 
このような問題を解決するため、他国においては[[慣性航法装置]] (INS)や[[衛星測位システム]]を使用する照準システムや射撃諸元の送信機能を有する[[戦術データ・リンク]]が開発されており、「カエサル」や「アーチャー」等の自走榴弾砲に関してはパノラマ眼鏡などのアナログシステムを一切搭載していない。
 
19式装輪自走155mmりゅう弾砲では[[火力戦闘指揮統制システム]] (FCCS) などから得た目標の位置情報や座標などをタブレット端末からタッチパネル入力するだけで照準が可能である<ref name=norimono19-8-24/>。また、システム故障や情報伝達が困難な状況に備えてコリメーターなども装備している<ref name=norimono19-8-24/>。
 
{| class="wikitable" align="none" cellpadding="4" style="background:#fff; text-align:center;"