「特別縁故者」の版間の差分

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それでも相続人の不存在は生じ得るので、臨時法制審議会は昭和2年(1927年)の「民法相続編中改正ノ要綱」において、相続財産管理人が家事審判所の許可を得て前戸主と特別の縁故のあった者又は神社・寺院に対して相当の贈与をする制度の創設を提案した<ref>なお、日本民法は相続人がいない相続財産を法人とみなす珍しい制度を採っているが(951条)、この制度を採ったことと特別縁故者の制度とのつながりは指摘されていない。</ref>。昭和15年(1940年)に整理された「人事法案(仮称)第二編相続編」344条は、この要綱に沿って立案された{{Sfn|谷口知平ほか|2013|p=725}}。しかし、これらの提案は[[第二次世界大戦|戦局]]の悪化により立法されなかった。
 
終戦後に改正された日本民法の相続編は戸主制度を廃止し、相続人の範囲を比較的狭い範囲に限定したため、旧規定に比べれば相続人の不存在が多く生じ得ることになり、戦前の提案が具体的に立法された{{Sfn|谷口知平ほか|2013|p=725}}。被相続人と生計を同じくしていた者、被相続人の療養看護に努めた者、その他被相続人と特別の縁故があった者が請求し、家庭裁判所が相当と認めるときが対象となる
 
日本における相続財産分与の年間申立件数は、昭和40年(1965年)には189件、昭和60年(1985年)でも369件にとどまっていた。しかし、遺言やその代替としての民事信託の普及が遅いことと、少子高齢化の急速な進展(少子高齢化により、子も配偶者も親きょうだいもいない死亡者が増加する。)とに伴って、相続人のいない無遺言相続が急激に増加した<ref>昭和40年(1965年)の年間死亡数は700,438人であるのに対して相続人不分明を理由とする相続財産管理人選任等の申立件数は910件、昭和60年には同じく752,283人に対して2,576件であったものが、更に20年後の平成17年(2005年)には同じく1,083,796人に対して10,736件となり、更に10年後の平成27年(2015年)には同じく1,290,444人に対して18,615件に急増した。</ref><ref>最高裁判所(日本)事務総局編『司法統計』各年度版、厚生労働省(日本)「平成30年(2018)人口動態統計の年間推計」3頁</ref>。相続財産分与の年間申立件数も、平成17年(2005年)には822件となり、平成27年(2015年)には1,043件に増加した<ref>前掲最高裁判所事務総局編</ref>。