「マテバシイ」の版間の差分

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'''マテバシイ'''(馬刀葉椎{{sfn|鈴木庸夫・高橋冬・安延尚文|2014|p=141}}、全手葉椎、[[学名]]:''Lithocarpus edulis'')は、[[ブナ科]]の常緑高木である。
植物分類上はマテバシイは[[マテバシイ属]]に属し、シイノキが属する[[シイ属]]とは同じブナ科でも別属に分類されるため、葉や幹などの外見はシイノキに似ているものの系統上はシイノキの近縁の別属である。日本に自生するマテバシイ属の植物は、本種と[[シリブカガシ]]の2種のみである。
 
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別名で、'''マテバガシ'''{{sfn|山﨑誠子|2019|p=80}}、'''マテガシ'''{{sfn|山﨑誠子|2019|p=80}}、'''マタジイ'''{{sfn|山﨑誠子|2019|p=80}}、'''サツマジイ'''{{sfn|山﨑誠子|2019|p=80}}、'''アオジイ'''、'''トウジイ'''ともよばれる。
 
== 分布・生育地 ==
[[日本]]の[[本州]]の[[房総半島]]南端、[[紀伊半島]]、[[四国]]、[[九州]]から[[南西諸島]]の温暖な沿岸地自生分布し<ref name="Watanabe">{{Cite book|和書|last=渡辺|first=一夫|title=アジサイはなぜ葉にアルミ毒をためるのか:樹木19種の個性と生き残り戦略|publisher=築地書館|year=2017|isbn=9784806715368|pages=101-107}}</ref>、[[本州]]の[[房総半島]]の南端、[[紀伊半島]]に分布している<ref name="Watanabe"/>{{refnest|group="注"|分類学データベース専門調査委員会({{Lang-en-short|Taxonomic Databases Working Group}}; 略称: TDWG、現在は「生物多様性情報規格 (TDWG)」[[:en:Biodiversity Information Standards (TDWG)|Biodiversity Information Standards (TDWG)]] と改称)のために2001年に提供された4段階による区分法では日本と南西諸島はあくまでも別の区分とされている点に注意されたい。1段階目のアジア-温帯(Asia-Temperate)、2段階目のアジア東部(Eastern Asia)という区分までは共通しているものの、3段階目で日本(Japan)と南西諸島(Nansei-shoto)という分けられ方をしている<ref>{{Cite book|last=Brummitt|first=R. K.|authorlink=:en:Richard Kenneth Brummitt|year=2001|title=World Geographical Scheme for Recording Plant Distributions|edition=2|location=Pittsburgh|publisher=Hunt Institute for Botanical Documentation, Carnegie Mellon University|page=42|url=http://www.grassworld.myspecies.info/sites/grassworld.myspecies.info/files/tdwg_geo2.pdf|ref=harv}}</ref>。}}。温暖な沿岸地に自生している<ref name="Watanabe"/>。人手によって、寺社の境内や公園などにも植えられている{{sfn|平野隆久監修 永岡書店編|1997|p=105}}。
 
== 形態・生態 ==
[[画像:Donguri.jpg|thumb|マテバシイの[[ドングリ]]]]
[[常緑]][[広葉樹]]の高木で{{sfn|山﨑誠子鈴木庸夫・高橋冬・安延尚文|20192014|p=80141}}樹高は15[[メートル]] (m) になる。幹は表面が滑らかな褐青色で縦に筋が入り、下部の枝がない樹形になる{{sfn|鈴木庸夫・高橋冬・安延尚文|2014|p=141}}{{sfn|山﨑誠子|2019|p=81}}。若枝は灰褐色で無毛である{{sfn|鈴木庸夫・高橋冬・安延尚文|2014|p=141}}
 
[[葉]]は[[互生]]してよく茂り、長さ95 - 20[[センチメートル]] (cm) の倒卵状長楕円形で全縁、葉身は厚い革質で厚く、表面が平滑で光沢がある濃緑色、裏面は灰緑褐色で細かい鱗毛が生えている{{sfn|平野隆久監修 永岡書店編|1997|p=105}}{{sfn|山﨑誠子|2019|p=80}}。
 
花期は6月頃[[雌雄同株]]{{sfn|平野隆久監修 永岡書店編|1997|p=105}}。雄花、雌花とも葉の付け根から直立して黄褐色の10&nbsp;cm程度の穂状花序をつけ{{sfn|山﨑誠子|2019|p=80}}、[[クリ]]の花のような匂いがする{{sfn|平野隆久監修 永岡書店編|1997|p=105}}。[[雄花]]の花序は黄褐色で長さ5 - 8&nbsp;cmあり{{sfn|山﨑誠子|2019|p=80}}、皿状の[[花被]]から長い12本の雄蕊が突き出る。[[雌花]]の花序は緑色で長さ5 - 9&nbsp;cmあり{{sfn|山﨑誠子|2019|p=80}}、3つに分かれた雌蕊がある。
 
[[果実]]は[[堅果]](いわゆる[[ドングリ|どんぐり]])で、長さ2 - 3&nbsp;cmの長楕円形、翌年の秋(10月頃)に熟す{{sfn|山﨑誠子|2019|p=80}}。下部は直径1.5&nbsp;cmの椀形の[[殻斗]]に包まれ、その表面につく鱗片は瓦重ね状に並んでいる{{sfn|山﨑誠子|2019|p=80}}。
 
冬芽は球形で淡緑色の複数の芽鱗に包まれて、葉の付け根につき、枝先に花芽が数個つく{{sfn|鈴木庸夫・高橋冬・安延尚文|2014|p=141}}。葉痕は半円形で、[[維管束]]痕が3個ある{{sfn|鈴木庸夫・高橋冬・安延尚文|2014|p=141}}。
 
== 利用 ==
樹木は[[街路樹]]、防風樹、防火樹として植栽される。材は建築材・器具材・木炭・薪<ref name="Watanabe"/>、果実は[[タンニン]]をあまり含まないため、[[アク抜き]]を必要とせず、そのまま炒って食用になる。炒って食べるとおいしく食べられる一方、生食でも食べることはできるが、あまりおいしくはない{{sfn|平野隆久監修 永岡書店編|1997|p=105}}。粉状に粉砕してクッキーの生地に混ぜて「縄文時代のクッキー」として味わうこともできる。
 
=== 植栽 ===
植栽可能地は、日本では[[東北地方]]南部から[[沖縄]]の範囲とされ{{sfn|山﨑誠子|2019|p=80}}、各地の暖地に植栽されている{{sfn|鈴木庸夫・高橋冬・安延尚文|2014|p=141}}。マテバシイは葉は大きく密につくため、列植すると遮音性が高まり防音効果が期待され、大気汚染にも強いことから、往来の多い道路沿い場所に最適な樹種であると言われている{{sfn|山﨑誠子|2019|p=81}}。植栽適期は、3月下旬 - 5月、6月下旬 - 7月中旬、9 - 10月とされる{{sfn|山﨑誠子|2019|p=80}}。
 
=== 加工食品など ===
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== 参考文献 ==
* {{Cite book|和書|author =鈴木庸夫・高橋冬・安延尚文|title =樹皮と冬芽:四季を通じて樹木を観察する 431種|date=2014-10-10|publisher =[[誠文堂新光社]]|series=ネイチャーウォチングガイドブック|isbn=978-4-416-61438-9|page =141|ref=harv}}
* {{Cite book|和書|author =平野隆久監修 永岡書店編|title =樹木ガイドブック|date=1997-05-10|publisher =[[永岡書店]]|isbn=4-522-21557-6|page =105|ref=harv}}
* {{Cite book|和書|author=山﨑誠子 |title=植栽大図鑑[改訂版]|publisher=[[エクスナレッジ]] |date=2019-06-07 |pages=80 - 81 |isbn=978-4-7678-2625-7 |ref=harv }}